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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/07/27 08:52  | 金融全般 |  コメント(9)

実は伏兵が・・・・


円安です。為替はこれだけ。
元のインパクトは何度も申し上げている通り、政治面でのインパクトに限られ、日本円に大きな影響を与える段階ではありません。昨日有名どころのファンドマネージャー(アメリカ人)10名にインタビュー、「円安の材料はなーに」と聞いた所、驚くなかれ、「小泉自爆解散」だそうです。少なくともNYKではそう認識されています。しばしば日本人が「えっ!!」 と思うような事がNYKで取りざたされるという良い例です。ただ、認識頂きたいのは小泉さんというのはアメリカでは評判がいいのです。だから辞めたら大変だ、となる点はご考慮くださいね。

お騒がせGMがここ5年間なんとかやってこれた最大の功労者である金融子会社のGMACを売ってしまう!!(わきゃーないだろ、と思うものの)噂で右往左往致しました。何が出るかわからん、というのが金融界でして、それにしてもびっくり度満点の噂でした。

(その後、GMACのローン債権の一部を売却と発表があり、どうもこの話を取り違えた奴がいたようです。いやはや・・・・)

さて、今日のお題「伏兵」。
中国関連で日本に影響が一番大きいのは実は今回の切り上げではなく、こちらではないか、と我々マーケット関係者で囁かれている事件があるのです。7月1日に改定された中国の通関申告制度の改正であります。

これまで、海外での買い物は一切関税が掛からなかったのですが、これにより海外での買い物が5000元を超えると課税される事となったのです。ざっと見ると金、銀などが10%、電気製品、時計、化粧品、アパレル(多分かばんなんかも含まれてます)が20%、たばこ、酒は50%など課税されます。5000元というと約7万円ちょっとですので、ちょっと買い物するとすぐ超えてしまうことになります。

一見、何が大変なんだ?? という事でしょうが、中国人とお買い物に付き合った方ならピン、と来る筈です。彼等の買い物熱、消費熱はすさまじいものがあるのです。旅館、ホテルなんかどうでもいい(サービスなどのソフトにお金を払うと言う感覚がまだ余りない)、とにかく「物」に対する欲求は日本人の比較になりません。かつ、既に年収一億円を超える所得人口は(きちんと把握出来ている人だけ数えても)日本を上回り、恐らく5000万以上でも今年で逆転です。その彼等の最も好きなお買い物ゾーンが、日本、ジャパン、リーベン!!なのです。

特に彼等の日本製品に対する信仰はすさまじく、時計などちょっと間違えるとすぐ日本ブランドの「中国製」なんかに出会う訳ですが、値段が倍であっても「メードインジャパン」に固執します。
エルメス、ビトンなどのブランド物も、上海などに回ってないものがいっぱいあるのでそれらをそれこそ「死に物狂い」で買いまくり、持って帰って自慢する訳です。まあ、この辺は30年前の日本かもしれませんが、買い方は半端じゃありません。

つまり、日本の消費はこういうリッチな中国人に相当かさ上げされてるんじゃないのか?? という事なのです。そんなばかな?? とおっしゃらないで下さい。事実私は友人に頼まれてアテンドした中国人は銀座のエルメスでキャッシュで2,000万円払ってました。私は倒れそうだったのですが、店員のおねーさんは慣れたもので、「中国の方はいいお客さんなんです」という事でした。

今回程度の関税なら金持ちなら払うよ、というかもしれませんが、税金なんて払うのが大嫌いな中国人のこと、一大ブームの「日本でのお買い物」がこれにより冷却され、お金が違うほうに向く可能性も否定できず、その影響を日本はモロに受ける事になるのです。秋口に消費関連の数字が落ちてきたら間違いなくこの影響だと私は思いますけど。

さて、この人たちは今度は何を買うんでしょうか? 基本的に土地所有を認めていないので、中国人から見ると買うなら海外の不動産ということになるでしょうが、いかんせん持ってきて自慢できる代物ではない。私はずばり、高級車ブームと見ています。既にかなり高級車が売れてきてるとはいえ、台数から言えばまだまだ。海外で買い物しない分、レクサス色違いで3台もってるぜ、なんてやりそうだなー、などと思っている訳です。ということでこの材料も注目しておいて頂きたいわけですね。では!

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9 comments on “実は伏兵が・・・・
  1. 牛熊 より
    百貨店売上

    確か6月の百貨店売上高がプラスになっていたと思うのですが。
     一応クールビズで売上伸びたなんて解説ありましたが、もしかするとご指摘の中国の通関申告制度の改正前の駆け込みなんかが微妙に影響していたのかもしれませんね。

  2. 恐るべき中国人

    なるほどねぇ。本日のぐっちさんのエントリーを
    拝読させていただいて、ようやく、なんで日本
    企業がシナに進出したがるのか理解できました。
    私の目には、どう見ても負のリスクが高すぎる、
    という印象だったんですが、それ以上に儲かる
    可能性もあるんですねぇ….

  3. 雪斎 より
    Unknown

     モノを造るのに頑張る日本人とモノを買うのに頑張る中国人ですか。よろしい買って頂きましょう。しかし、こういう話は大事ですね。政治系の知識層は、こういう話が判らずに、無邪気に「対中強硬」論をぶちあげてしまっています。
     それにしても、銀座エルメスでキャッシュで2千万円分の買い物とは…。これは凄いわ。

  4. 中国の超富豪

    昨日もいろいろな人と話す機会があり中国の二極分化も話題になりましたが銀座で2000万の現金買い物はなすごいですね 日本でも先日福井の人が三越のキテイちゃんの宝石つき人形577万円なり1名さま限りを娘に買うという御仁がいましたが
    確かに何買うかも興味ありますね

  5. ぐっち より
    お世話になります。

    ++牛熊さん
    暑さでやられてませんか? コメントどうも。実際そんなことだったら笑ってしまいますね。でも楽しみです。

    ++おおみや%NEETさん
    いつもどうもです。いや、実際そうだと思いますよ。怖いかもね?と思いつつも購買力を目の当たりにすると、やはり腰が浮くんじゃないでしょうか(笑)

    雪斎殿
    いつもありがとうございます。いや、おっしゃるとおりでたかが買い物、ですけど、こういうレベルで交流が積みあがっていく事も大事だと思います。あと、サービスには金を払わん、と書いてしまいましたが、女性は大分変わってきていて、例えば美容院、エステなどはやはり東京に来てとんでもないお金を払っていきます。これもすさまじい、です。

    ++星の王子様さま
    なんか変ですね、これ(笑)。お久しぶりです。持っているほうはけた違い、ですね。アテンドするほうも大変で、商社時代の友人で晩御飯を1週間ご馳走になったのはいいけど、毎日瀬里奈でしゃぶしゃぶ食わされたと嘆いていたのには笑いました。

  6. やじゅん より
    こんにちは

    一面的・抽象的なイメージの「中国」にとらわれるのではなく、こうした生身の付き合いを見ることは、とても大切と思いますね。

  7. ぐっち より
    どうも!

    **やじゅんさん、いつもどうもです。
    おっしゃるとおりかと思います。極端な話、彼らは政府、中国政府そのものに自分が帰属している意識は極端に低いです。じゃ、いくら儲かるの??というきわめて資本主義的な部分を一人一人は追求できる訳で、その意味では十分「話のできる相手」だと私は理解しています。また、いろいろご意見を聞かせてください!

  8. Baatarism より
    買い物は良いのですが…

    これだけ日本にお金を落とす中国人がいるのが、下の記事に書かれているような貧富の差の拡大の結果だと思うと、素直には喜べませんね。
    このような貧富の差の拡大は中国社会に混乱をもたらし、その余波は日本にもやってくるわけですから。

    http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/bbff4e40000dd489b76e5d5c936b2352

  9. まかぼろ より
    搾取

    中国人の金持ちは日本人の比ではありません。その原因はなんといっても人口、搾取して得られる蜜の量が半端じゃないのです。

    彼らの羽振りは半端じゃありません。貴金属、宝石、高級腕時計はもちろん、中には不動産までも「キャッシュ」で購入します。(カードを使わないのは証拠を残したくないのでしょう。)

    また、高級料理店は常に満員です。もっともその大半はおそらく接待。半分は企業家、残り半分は役人です。ここでは役人はまさにただ食い。接待される場合はもちろん、接待する側になっても公費(血税)で落としますから。人民の「血汗銭」はこうして毎日党幹部の×××と化しているのです。

    この記事を中国BLOG記事アーカイブプロジェクトに推薦しておきました。

    http://www.chinawalkers.net/weblog+details.blog_id+51.htm

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