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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/11/17 09:53  | 考察 |  コメント(8)

ローカライゼーション(ローカリゼーション)成功の秘訣


ヤンキースの松井選手が契約更改したと思ったら、夜はルマンの松井選手がシュートを決める・・・世界中松井旋風でありますな。今日本人で一番有名な苗字は多分マツイ・・ですね。さて、今日は直接マーケット話は殆どないのでお忙しいディーラーの皆さんは後で読んで下さいませ。


おととい宮崎の話を書きまして、グローバライゼーションに飲み込まれていく地方都市の状況に触れましたが、いろいろなご意見を頂きました。中でもアメリカはどうなんですか?というお問い合わせが、まあ多いだろうとは思ってたのですが、かなりありまして、詳しくは改めて書きますが、おしゃるとおり、埋没していく都市もある一方で究極のローカライゼーションを計りむしろ大成長を遂げている都市がアメリカにはかなりあるのです。


代表例はラスベガス。ここ3年間で12のホテルが新しく進出、土地の値上がり率はマンハッタンを抑えて全米No.1!!。
だって砂漠なんすよ、ただの。こんなとこ、値上がりする訳がない・・・と誰しもが思いますよね。でもすごい値上がり・・・という事で、これはこれでかなり書く事がありますので、また改めて書きましょう。


一方、日本はてんでだめなのか・・・というご質問もかなりありまして、実は日本でもローカライゼーションの成功例、とも言うべきものが出てきているのも確かです。ある仕事でかかわったのですが、場所は北海道・旭川市。


私の大親友Tは、彼の頭からおねーちゃんと夜のネオンを取り除くとほとんど何も残って無いという下品なやつで、親友というのも憚られるのですが、どうも1年くらい前から、しろくま!!、とかペンギン!!とか訳のわからん事を叫びながら、旭川通いを始めたのです。(地元の方に伺った所、アサヒカワではなく正式にいはアサヒガワなんだそうです・・・知らなかったです・・・)。


当初仲間内ではついに銀座、六本木には飽きたらず、旭川にあるクラブ「しろくま」「ぺんぎんちゃん」とかいう若いねーちゃんのケツでも追っかけてんだろ・・・などと囁いておりまして、感のよろしい読者の方はピンと来られてるでしょうが、まあ、オヤジの想像力などはこの程度なもんでありまして、しっかし、どうも本物のしろくまやペンギンを見に行ってるらしいぞ!!という話に至り、


「でもねー、そんなもん、北海道まで行かなくたって上野動物園にいるだろー」


、ということでこの時点ではやはりクラブ説が有力だった訳ですが、お分かりのように彼は何を間違ったのか、はたまたそれほど衝撃的だったのか、旭山動物園にはまっていた訳でした。


旭川市は北海道第2の都市なんですが、もともとは王子製紙の企業城下町として発展してきました。昔は製紙業といえば一大花形産業でして、今で言えば製鉄業をも上回るGDPを叩き出していました。その後環境問題や、自動車などの先進工業が発展した為に徐々に衰退、旭川も王子製紙と共に衰退の一途を辿った訳です。今の子供達に王子製紙と聞いてもおそらく「スモークサーモンの会社?」とか答えが返ってきそうな位ですが、昭和30年代の王子製紙と言えば泣く子も黙る・・でありました。


さて、旭川市は王子製紙依存から脱却すべく努力を続けた訳ですがなかなか上手くいきませんでした。ここにはいくつかキャッチフレーズがあり、そのひとつに北海道のへそ、というやつがあります。これを使い、旭川は北海道の真ん中にあるのでまさに「へそ」、そのため北海道の全ての海、オホーツク海、太平洋、日本海が均等な距離にあるので、あらゆる海の幸が集まります!と大宣伝を打つのですが、よく考えてみるとどこの海にも面していない内陸の都市なので、何一つ本当に新鮮なものがない、という事になりまして、イマイチ決め手に欠けた訳です。


もう一つの資源はラーメンでして、これはラーメンブームのお陰で旭川ラーメンなるカテゴリーが確立された訳です。東京でも話題の山頭火なんてのが旭川ブランドであります。まあ、しょせんラーメンですが、ラーメンツアーとかでやってくる妙な奴もおり、そこそこは頑張ったようですが、所詮ラーメン二郎程のインパクトも無く、既にラーメンブームも去りつつありまして、ラーメン屋も次々に倒産しておった訳です。


そこへ!!・・・
出てきたのが旭山動物園、という訳であります。
ご存知のようにこれも実は閉鎖される予定でしたが、泣きの涙で旭川市が1億円を投じた万馬券がこの動物園でした。そしてこの起死回生の一発が大当たりしまして、今では上野動物園を遥かに上回る動員数を誇り、動物園・水族館では日本一の集客力。夏だけで170万人を集めるというのだからこれは一大事でありますな。
親友Tによれば、、


しろくまが飛び込み、とかペンギンがそのへんをのそのそ歩きかつ泳ぎ回り、ライオンの腹が見えるんだよ!!」


という事になりまして、映像を見るまではオヤジには全く理解不能だったのですが、DVDを見せてもらい、はー、よく考えたもんだなー・・・と今では思う訳です。


最北端の動物園であり、何せ冬はシベリア並みの寒さ、夏はアマゾンのような暑さ、北海道のど真ん中で何一つ売り物がない・・・という状況を逆手に取ったこのビジネスモデルは究極のローカライゼーションが底流にあるぞ!! と亡くなったドラッカーさんが生き返りそうな成功例といっていいでしょう。


そしてもう一つのポイントは女性と子供を狙ったという点。子供の好奇心、そしてその母親が喜んで連れてきそうな・・・というコンセプトです。
マクドナルドの藤田田も「女・子供の口を狙え!!」がターゲットでしたし、スターバックスのハワード・シュルツはその自伝によると 


「いかに女性が一人で入りやすいか。そのためにどうやったらおっさんが入りにくい店にするか」


が最初の店作りのコンセプトだ、というのですから、この面からも旭山動物園は成功の条件を揃えていた訳です。その意味ではオヤジターゲットの温泉+ゴルフではどうも厳しそうで、やるとすると温泉+エステあたりが本命なんでしょう。
ということで、究極のローカライゼーションの成功例をご紹介致しました。

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8 comments on “ローカライゼーション(ローカリゼーション)成功の秘訣
  1. より
    なるほど成程。

    「いかに女性が一人で入りやすいか。そのためにどうやったらおっさんが入りにくい店にするか」

     女嫌いの私は、、、駄目だな。

  2. おおみや%バイト君 より
    旭山動物園

    そういえば、ここ火曜日のProjectXにも
    でてましたね。あの展示施設は、まさしく
    アイデアの勝利ですね。金がないときから
    温めてたもののようです。

    そういえば、今年の春にJR北海道の某駅に
    いってみたところ、ここのパンフレットが
    山積みになってましたねぇ。

  3. tezzan より
    Unknown

    「行動展示」という奴ですね。ほんとに面白いらしいです。白熊のブースでは、強化アクリルで仕切られたプールの斜め下あたりから、白くまさんを見るらしいですが、白熊から見て、人間の頭が水面から出ているのがアザラシの頭に見えて、餌だと思って、それに向かって白くまが飛び込むと、お客さんは白熊がダイブするところを下から見れるという風になるらしいですねぇ。よく考えられてます。

  4. taejun より
    Unknown

     旭川遊園地、最近、プロジェクトXに出てましたよ。

  5. 一匙 より
    いかに女性がひとりで

    大戸屋のことかと思いました。

  6. mizuho より
    やっと名前がわかりました

    コンサルさんが言っていたんです。上野動物園より入場者数が多い動物園。と。そんなのあるんかいな。  ありました。
    旭山動物園だったんですね。

  7. より
    Unknown

    おっさんが入りづらいもそうだが。
    貧乏人ほど変な見栄をはるというのもありなんだ

  8. ぐっちー より
    遅いお返事ですみません・・・

    鴎さん
    だめですか(笑)。私は喫煙者さえいなければ、と思いますが。男女はあまり関係ないですね。

    おおみや%バイト君さん
    taejunさん
    そうですか、プロジェクトXですか。知りませんでした。情報痛み入りまする・・・

    tezzanさん
    そのようですね。結構考えられてるそうです。やってみるとなーんだ、ということなんでしょうが、何でも初めは大変なんですな。

    一匙さん
    大戸屋・・・ですか。入った事無いんですが、こんど行って見ます♪

    mizuhoさん
    いや、ほんとですよ。私も始めはそんなのあるわけねー、と思ってましたし、旭川と聞いて絶対うそだとおもいましたもん。

    @さん
    大いにありだと思います。私も思い当たりますので(笑)

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