2009/01/17 17:24 | サブプライム | コメント(27)
バンカメはどんがめで終わるのか(笑)・・・
金曜日のニューヨークはしびれてしまいました。 昨年11月以来の数々の緊急金融救済策をもってしても下がり続ける金融株は危険なサインであると書いてきましたが、昨日はそれがサインから現実になったと言ってよいでしょう。
バンカメ。
要はメリルの買収に耐え切れず、ついに追加支援を要請、200億ドルの追加資本注入及び1180億ドルの損失保障!! を政府から受けることに。
ご存知のようにBOAは既に政府から緊急出資を受けており、結論から言えばメリルリンチの買収の完全な読み違え(計算違い)、といことになりますね。(昨年1月に25億ドルで買収し、極めて割安に買った、と豪語していたカントリーワイドは結局その後1億ドル程度の価値しかないことが判明しましたことを思い出します。)
この支援のニュースでBOAの株価は元来上がらなければなりません。 しかし、結果は7.18ドルでクローズ。最安値の7ドルまでタッチしてしまい、上がるどころか危険水域を完全に越えています。
ついでに道連れのシティーはこれも3.5ドル。
倒産前のAIGより低い株価ですから市場からは「倒産認定」されていると言われても仕方がない。 結局のところ7000億ドルのTARPを使っても金融機関どれひとつ救済できなかったわけです。
いったいどれをつぶしてどれを残すのか・・・・
これをはっきりさせないと市場が疑心暗鬼のまますべての倒産を織り込んでいってしまうのです。取り付けが起きないのは預金保険機構のお陰で、インターバンクもFRBが保証しているので落ち着いています。
政府が保証するのかしないのか・・・はっきりしない取引は、たとえばそれがアメリカ国債の売買などであっても心配になるため、流動性を失ったりしているという本末転倒な結果になりました。
日本の時のように「銀行はつぶさない」、というメッセージがはっきりするまで市場は混乱が続きます。 日本には、「そうか、あの日債銀でさえ潰れないのか」、と悟った瞬間から金融機関リスクは国家リスクと認識され、急速に取引が平静を取り戻した、という経験があります。
さらに、これも再々申し上げていますが、そもそも証券化商品はすでに価値がゼロ、であるという認識に立っていないからおかしくなるのであって、今必死に買取機構の設立をはかっている、とポールソンは発表しましたが、正直一年遅い。
メリルが80とか90とかで評価していたCDOはそれはAAAがついていても実際は20で売れるかどうか、という数字だったわけですからね。
それを20で一部売却(ほんの一部のレバレッジとローンでしょう)、それ以外今残っているものをゼロとすると2000?3000億ドルのマイナスはさらに出てくるはずですから、事実上これを抱え続けていては復活不能。
そこにさらに昨今の経済不振でその他事業法人の負荷がこれからかかるわけで、このままで持ちきれるはずがない、といのが常識的な線、でしょうね。
株価全体を見ると昨日は不思議な日で、これだけ救済案が出た金融セクターが総くずれ、S+Pでいくと指数に対し26%もの下落インパクトを与えています。結局指数全体がプラス6で終わっていることを考えると金融セクターの足の引っ張り方はすさまじいとも見れますね。
全体像でみればいま小売指数に代表されるようにマクロの数字が極めて悪いわけです。しかし、金融セクターはこの時点で立ち直り始めている・・・・というのが過去50年、それこそ1929年以来の景気回復パターンなのです。
そして大体1年?2年くらいのラグを持って実体経済が立ち直ってくる。今回はサブプライムで金融機関に損失が表面化してから(当初はえらく過小評価だったわけですが)既に2年が経過し、マクロも相当悪くなっているにも拘らず、昨日判明したように金融セクターがさらに悪くなっている訳です。
これこそ過去に経験したことのないパターンで、これだけの富裕層が直撃を受けた景気後退は戦後今回が初めてなのです。 実は1929年も富裕層がダメージを受けたために株価急落が大恐慌につながった訳ですが、それは今回も同様です。
1929年当時と違うのは、そのアメリカ自身が大赤字という点で、これは余計に悪いと言えるかもしれません。いづれにせよ、金融セクターがこんなことを繰り返しているようではマクロの回復は夢のまた夢、ということで状況を甘く見てはいけません。
日本は外貨建て資産の比率が低いおかげで助かったのですから、これもくどいようですが、サブプライムと同様の仕組みをした国内版CDOの劣化に今から対処しておくことが必要です。
その意味では第3Qで2500億も減損をかけてきた三菱はたいしたものかもしれません。なぜかここ5年で増えてしまった持ち合い株なのですが、案の定今回その直撃を受けているのが実情です。
また、これだけ景気が悪くなればリストラされたり給料が下がったりする訳ですからローンの中核である住宅ローンが劣化するのは間違いありません。アメリカのことを笑っている場合ではなく、ここは金融庁がふんどしをしめてそれらが証券化された国内CDOのシニア部分の償却を強制するしかありません。
ベアスターンズなき今、これらにハードビットをだして買えるところはありませんので、理論値がどうこう言えども売れなければ価値はゼロ、ということです。余裕のある今なら全部償却できるでしょう。
日本の銀行が3月決算で度胸をきめてこのあたりをきれいにしてしまえば、その後はひょっとするとひょっとする、かもしれません。
今回は自力更生なるか、注目です。
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27 comments on “バンカメはどんがめで終わるのか(笑)・・・”
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いつも興味深く読ませてもらっています。
ブルンバーグは、ブルンバーグですね。
日本名表記のブルームバーグはどうしても誤りに
思えます。
きちんと外人上司にもの言える日本人社員が
いなかったということでしょう。
歴史は繰り返しますね?。人間ですから(笑)
いつも、ありがとうございます^?^b
米国は新しく一からやり直すしかない訳ですから、そのシナリオを作成しているのでしょうから、将来を見据えて、今を生き抜くしかないでしょうね。
既に大量の金を大量の企業に費やしました。
しかし、そもそも論で言ってしまうと、今のお金では足りる訳がありません。
と言いますのは、金融危機発生直後の米国の損失は、IMF発表では全世界で1兆3,000億ドルなので、7,000億ドル近かったと推察出来るのです。
と成れば、少なくてもその5倍の3兆5,000億ドルは必要だったでしょう。
ワシはもっと多くて5兆ドル必要だと書いたんですが、奇しくも大前研一氏が同額の5兆ドル必要だとコラムで書かれました。
しかし!
そんな金を何処から持ってくる?
ですよね。
このまま破局に向かってまっしぐら、と言う感じでは無いでしょうかね?
事態は深刻過ぎますね大前研一さんが誤りを指摘されてましたね!
バンカメについて、単純に「予想以上に悪い決算発表と株価下落」と表面だけ見ていました。
目から鱗であります。ありがとうございました。
自分は相場マニア(自称)であります。
この世界(相場)は関わるもの全て(結局は世界全体)
を見渡せなければ正しい判断は下せません。
相場にはドローダウンと言う言葉があります。
釈迦に説法ですが、今ドローダウンしようとしている
のはアメリカです。ですがそれが本当ですか?
政策対応すべきは住宅ローンだよね
トヨタの国内生産ラインが損益分岐点を割り込む。
いったいどうなるんだ?
まさしく、恐慌に突入している。
茹で釜のカエルのように、それは当事者には分からない。
後世、歴史家が言う、あれが恐慌のサインだったと。
ちょっとやそっとでは、クルマは売れんよ‥
いつも貴重な情報を載せていただき感謝しています。色々批判する人も多いでしょうが、これからも頑張ってください。
ブッシュとポールソンの置き土産。
オバーマは毒ワインに毒饅頭と承知の上、ドルが半値になつても平気ではありませんか?
他に世界で流通する通貨がない。
誰かはドルでへそくってるそうだから(笑)、円に換えた?
バーナンキは日本の「失われた世代」の権威者だそうだけど、あの頃の日本と今のアメリカじゃ規模が違う。取り巻く文化も人種も違う。日本人はちょいと変わった民族なのです。
ですから
お役にはたたない。
何を今更慌てたって・・
それなりに落ち着くのであります。
「ふんどしをしめて」
なんて古風だなぁ、Tバック男性用、と言い直しましょう。我が国の首相が泣いて喜ぶな・・
駄目な銀行や金融機関には退場してもらい、
一から金融業界を立て直さないといけないのだが、CDS爆弾の絡みで解体できないw
このままズルズルと時間と税金を浪費して、
金融機関の体力が削れたところでCDS爆弾炸裂。全世界で起こる、支払い不能の嵐…。
が、一番やなパターンですね。
そうならないことを祈ります (-人-)
リーマン・ブラザーズの時のようにCDSを
対消滅で大幅に削れればよいのですが…。
80年ではなく100年に一度と世間では言われていることに危惧を感じます。グリーンスパンは大恐慌ではなく当時のイギリスの頭打ちを指して言っているのではないかと。
レーガン以来のアメリカは貿易赤字を貿易外黒字で埋める戦略を取りましたから、その点は過去のイギリスに近い気がします。
また、イスラエルがいつにも増して騒いでますけども、ソビエト崩壊時には地域紛争が多発し、世界の警察役を世界がアメリカに求めてどうにか押さえ込んできました。
金融崩壊の火消しにアメリカが手間取るようだと、中東地域だけでなく封印されていた紛争が復活の可能性があります。また北朝鮮や中国が何をやり始めるか知れたもんじゃありません。
いっそのことゼロ査定だけではなくて、例えば競売物件を政府で買い上げ更地に戻して住宅不動産の在庫調整を急進するとか、極端なことにトライしてもらわないと時間切れになるかも知れないなーと思ってたりしてます。
というのは日経平均の99年?先週までのチャートとNYダウの1928?1938年のチャートの波動に似たところがあって、且つとても危険な臭いがしてきたからです。
オバマがルーズベルトに化けるとは思いませんが、次の人はわかりません。
ともかくゼロ金利でもこの有様です、そしたら金融技術だけでは追いつかないので担保の現物資産の需給改善も同時にやらないと、日本の二の舞かな?と思ってます。
結局財源確保の為にはこういうのをやらなければならないのでしょうか↓?
http://president.jp.reuters.com/article/2008/11/17/5FA76538-B1F7-11DD-BEF3-2B2A3F99CD51-4.php
ブッシュ氏は靴投げつけられている暇があったのならポール損氏といっしょに各国にお金を出してもらうよう頭を下げて回ってもらいたいです、今からでも・・・・。
シニアその他に関して、もう金融庁はフンドシをゆるめていて、(http://www.fsa.go.jp/policy/basel_ii/index.html の○平成24年3月31日までの特例というやつ)
キタナイものがみえちゃいそうですよ。
まともにやったらおこめやさんとかが大変なんでしょうね。
いずれにせよ、第3四半期と第4四半期のUFOを比べればわかると思いますが。
>金融機関リスクは国家リスク
実はアメリカ自体はAIGの国有化始め、金融機関は潰さないというメッセージを発しているんですよね。
ところが問題はそのアメリカ自体の国家リスクがぐっちーさんも度々ご指摘のようにかなり怪しいと。
金曜もゴールドが上がったり、ドルの信認問題が燻ってますよね。
最終的には債権国が踏み倒されるんでしょうし、要はそのタイミング待ちといったところじゃないでしょうか?
チーズはどこへ消えたのでしょうか
国内の住宅ローン資産劣化の問題、確かに心配ですね。
住専の処理以降、住宅ローンは銀行と一部ノンバンクの独壇場となっています。
当然その中にはリスクの高い借り手へのローンも多い訳で。
アメリカと違いノンリコースでない分が違うものの、
今後の住宅ローンの不良債権化は注視したいですね。
株に回るおカネなんて、どこ探しても無?いっていう状況になるんじゃないんですか???
>その後はひょっとするとひょっとする、かもしれません。
思わせぶりで、気になりますが‥(笑)
もうひと波やってきそうな感じです?
http://zai.diamond.jp/servlets/Query?SRC=zai/serial/column&cate=hirose&art=53&page=2
米国の累積負債は12兆ドルです。
この天文学的数字は、ドル本位制と言う事で、今までは数字だけの赤字でした。
しかし、ユーロの誕生でドル本位制が崩れたので本物の赤字に成りつつあります。
輪転機を廻しても駄目、と言う事ですね。
で、去年度でしたっけ?
財政収支が5,000億ドル近くの赤字。
正直言って企業なら破産が妥当ですよね?
真面目な話しで、オバマ氏がいつギブアップするんだろう?と考えております。
はじめまして。
アメリカドルは嫌われていますね。
どの経済政策を示しても、通貨の動きが辛口評価です。
イスラエルの停戦要求に米国債の売りが効果的かも。。
度胸を決めたら大きいところでも….まあ必死の先送りで再び市場は混乱するようで。
過剰消費の国があったということは、過剰生産の国があったということです。
どこの国ですか?
どこの国か存じませんが気の毒なことです。なにせ米国は、これからなりふり構わず貿易黒字国になるんですから。
欧州崩壊の序曲がなりました。
歴史をひもとくと大恐慌も元はイギリスから。
ついに始まったかという感じです
今まで、陰謀論系のサイトでしか読めなかったアメロの話しがYahoo Newsに大っぴらに書かれています。また、為替のチャートのサイトでも、米ドルの取引に対しての警告として書かれています。
こういった話しは今までは表の社会で言うと、一笑に伏されるものだったのですが、、、
ぐっちーさん、一笑に付してください。
フーゾクの広告、同じのが2件続いてアップされてますよ(笑)