2005/04/05 18:00 | 金融全般 | コメント(0)
本日のマーケット 長期と短期のシナリオ 原油・株・為替
誤解が多いのですが原油高はアメリカにとって決して悪材料ではありません。産油国であるアメリカは高ければ高いほど掘削可能な油田が増える(コストに見合う)訳でして、中国が自国生産の頭打ちにより大量の輸入を余儀なくされている事で原油高がかえってアメリカにとって切り札にもなりかねない、という指摘があります。ゴールドマンの105ドルは大げさですが、原油の高止まりは十分予測しておかねばなりません。翻ってドル高・・・というのが従来のパターンですが、そうなるのか、先日申し上げた決済のユーロへの転換がどれだけ進むかが為替にとって大きなポイントだという訳です。
円安を好感して株高ではありません。これはある種「ほりえもん効果」といっていいかもしれない。私の所に相談に来られる様々な経営者の方は今回の事件でいとも簡単に株を買い集められてしまうという現実を突きつけられました。たかが2000億の時価総額の赤字会社にやられてしまう、うかうかしてられませんね。いろいろな意味で配当性向をあげることも含め対抗策が必要です。
その意味では株価全体が押し上げられる可能性大なのです。特に外人はこのことに注目しており、今後いわゆるブルーチップの買い増し(銘柄としては全く心配がないが、持合が多すぎることと、配当などに不真面目だったことでなかなか買えなかった)が真剣に検討されるかもしれません。それもこれも経営者の方々の考え方一つですが、時価総額が全体的に低くなり、かつ円安のお陰で外人から見れば割安に見える、というのが本音でしょう。
ちょっと話がそれますが、これからは企業防衛上円高が絶対に必要です。円安になれば輸出が増えるなどというのは10年前の話。いまやトヨタも現地生産の比率をあげ、ちょっとやそっとの円高ではびくともしない。問題なのはむしろ過度の円安で、これによって日本企業大バーゲンセールになってしまいます。このあたりはひどく誤解されているんです。フジのケースは外国人持ち株制限があったこと、相手がちょっと「おっちょこちょい」だった事がダブルでラッキーだった訳ですが他の業種ではこうはいきません。
M&Aに長けた外人投資家に狙われないうちに防衛策を打ち出す必要がありそうです。ただでさえGDPの150%も借金(国債、ただしGDPは名目)がある国です。流れが円安になればちょっとやそっとでは止まらない覚悟が必要です。そうなれば上場株式は外人の餌食なのだ、と考えて頂く事を経営サイドの方には強くお奨めします。
ちょっと長くなりますが、先日の文春で書かれた堺屋論文にあるように、リッチな団塊の世代がいよいよ退職金を手にする時期が近づいています。何せ人口が多い。我々からみた彼らのポジションはただの「円ロング」、100%の円ロングポジションです。一部でも外貨に振り向けたときのインパクトはこれまでの比ではない。このことが長期円安の引き金を引き、ひいては日本企業の買収を容易にするのだということを、ゆめゆめ忘れないようにして頂きたいものです。(これはあくまでも長期のシナリオですので)
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