2007/08/06 09:31 | サブプライム | コメント(11)
ああ、回ってしまった・・・
アメリカ金融市場の混乱はもう収束した、なんてコメントをあちこちで見ているが、こいつらあほじゃなかろーか・・・・と思う。
私はこの種の仕事ではお金をもらっていないので無責任なことを書きまくっても一向にかまわないのだが、彼らはお金をもらっているということを考えるならちとひどすぎるだろう。実はその辺のエコノミストや日経の記者がとんちんかんな記事を書くのは理由は簡単で、海外ネタは英語ができない、というのも大きな原因だけど、正しい取材先にあたっていない、というのが大きいな原因であります。
本当の事情を知っている人に会っていない(もちろん相手にされていないというのが大きいが)、或いは裏話が聞ける友達がいない。これは実にシンプルな話で、例えばドメスティックな日本国債の記事ってのは毎日報道される。そしてこのマーケットを語る場合、絶対にはずせないという人が私の知る限り4人ほどいるのだが、この誰一人として取材を受けていない、というケースがほとんどだ。それを読まされたり聞かされたりするのだよ、君たちは・・・
アメリカ金融市場についてはもっと鮮明で、特に今回のようなサブプライムから派生する最先端の問題を書こうと思えば当然何人かキーマンが頭に浮かぶ訳だが、日本人が話を聞きにくることは(日本の金融機関の現地の駐在員を含めて)ないね、とみなさん断言をしている。電話があるのは君だけだね、というテイタラク。話しやすく、親切で聞きやすい人に取材にいっちゃうんですよ。アメリカ人でかつ、なんとか大学の教授ならいいか、って感じ。元FRBの理事とかね。暇があるし、お金が欲しいからいくらでも取材は受ける。でもね・・・多分彼らはCDOの仕組みは知りませんからね(笑)。レバレッジがどのくらいかかってるかとかはぜんぜん知らない。
だから、今回も収束した・・・とかって話になるんだろうけどね。 あのね、収束どころかますます大変です。第4コーナーをまわっちゃっいましたって感じです。
ニュースを追って行きますので自分の頭で考えて見ましょう・・・・
アメリカンホームモーゲージという住宅ローンの融資会社がついに倒産と発表。規模としては全米2位ながら、いわゆるサブプライムではないまともなクラスターの融資を扱っていたローン会社としては初めての倒産になる点が重要。サブプライム関連は最大手のニューセンチュリーが4月に倒産、その他あわせて12社ほど潰れているがこのクラスは始めてだ。4月からこの7月までに何がどう変わってきたのかをあらわす重要な倒産事例ですね。
KKRといえば一流の投資会社。特にLBOでは第1人者ですが、イギリスへいくとあちこちで見つかるドラッグストアーのブーツ社に対するLBOが空中分解、組成不可能となったようだ。
見方によれば、これはアメリカの案件ではないし、まして住宅ローンとは全く無関係な商品で、この融資がつかないというのは一見荒唐無稽のようだけれど、結局融資を出す予定だったドイツ銀行、JPモルガンがキャンセルしたことが原因。総額10億ポンド、約2450億円程度の融資を見送るというのだからどこまで信用収縮が進んでいるか想像してみるといいですね。住宅ローンだけを見ていてはいけないのでありまして、リスクテークの余力がなくなってきた大手の金融機関がこれから次々とディールをキャンセルしていく筈です。
最後に重要な証言。今回の火元であるベアスターンズのCFO、モリナーロは今回の格下げを受けて
「自分が働いている22年の間で最悪のクレジットクランチだ」と発言、話題をさらっております。あのLTCMとかエンロンのときはおろか、22年前、1985年といえばまさにあのS&L危機が始まった年ではないですか。さすがにあれを上回るクレジットクランチは無いと思ってましたが、当時の経験者の中からこういうコメントが出てくるのは要注意。当時あまりのひどさに「クレジットクランチ」という言葉を使うな、と報道規制されたくらいで、最終的には1400億ドルに上る政府資金が投入されたという結末・・
今回がそれを超えない・・・・とはだれも言えなくなりつつあります。 火元のベアスターンズは最高値160ドルから30%の下落。一番モーゲージに縁がないモルスタの株価でも最高値75ドルから約20%の下落、これらのファイナンス機関はチョークスリーパー状態ですね。ついでに、こういうのも・・・
かの、ウォーレン・バフェット率いるバークシャーハザウェーの4?6月第2Qの収益はこのサブプライムの最中、前年同月比33%アップ、投資利益はなんと6億ドルを超えると発表。この火事場で一体何をやってるのか・・・下期はおちるだろう、なんてコメントがついているけど、うそつけ!
この会社、全米で「空売り」が一番上手な会社です、はい。
やはりここはさすが・・・・というべきでしょうか。
では!
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11 comments on “ああ、回ってしまった・・・”
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元々アメリカの不動産バブルは、
日本の資金を入れさせて起こしたもの。
不動産関連の金融商品は、売りしか有り得ないし、
スプレッドも拡大している。
しかも、アメリカは、借金国。
今のアメリカは、金欠病なのだ。
金融危機が起こって、当たり前の状況だ。
日本が、米国債を売れば、
ドルは、紙屑になる。
まずは「暑中お見舞い申し上げます♪」
連続の猛暑日のように、熱いのですね。。。
アメリカでも日本でも老後と言えば「年金」
日本の年金はお上の使い込みで破綻寸前。
アメリカの年金はサプライム飛び火でどーなるの
かしら。。。
老後の不安は日米一緒?
バークシャーって保険料を原資にバイアンドホールドなイメージがあったんですが、空売りもバシバシやるんですか。
ぐっちーさんが以前(今も?)勤めていらした会社よりも利益上げてるというのは流石に伊達じゃないって事でしょうか…
米国の住宅ファイナンスの地震が起こる度に、訪問読者しています。
2月、3月が第2コーナーで、5月が第3コーナー、ここまでは、サブプライムとその抵当証券の引き受け手の崩壊。そして、いよいよ、JPとかモルスタとかのインベス、ドイチェBKとかのコマースに地震が伝わりだしたのですね。
BIS規制の緩和について、エントリーを期待しています。
先週金曜(8/3)の米CNBCで、Seabreezeマネジメントの Doug Kass という人が、ぐっちーさんと同じような警告してましたよ。
10年くらい前までは、FRB以外に市場のレバレッジを操れる組織は限られていた。ところが最近は、デリバティブが拡大しすぎたために、この状況がどう終焉するのか、まったく見当がつかない、と。
このDoug Kass氏は、何週間か前にもCNBCに出て似たような警告をしていましたが、CNBCの各種の番組の大勢は、「サブプライム内でなんとか収拾できる」という沈静化論でした。
ぐっちーさん、さすがです。
それからウォーレン・バフェットは、今年の春頃に株主総会か何かの集いがあったころ、「とあるアジアの国の通貨を買った」と言ってたそうです。
その時の文脈から言って、「日本か中国か」のどちらかだったのですが、レポーターが、「もしそれが判れば、私も所持金を全部投資して引退し、小さな島に行きたいわ」と匂わせたので、日本の方だなと思いました。
バフェットは「一年後を見てなさい」と言ったそうですが、彼にはこの状況がわかっていたのでしょう。
株は空売りで大もうけ、通貨は円高投資で大もうけ。。。
ダブルでウハウハでしょう。
回ってしまった、って
目が回ったのか、悲鳴が地球を一巡したのか、ルーレットが回ったのか・・ルーレットは回る物だし、
慌ててはいかん、とぐっちーさんは賢者の石を舐めながらおっしゃる。
が、
『天罰を受けるぞ』
と、さんざん稼いだエライさん、投機家が申されてから、そんなに時間はたっていない。
最後の審判が下るわけじゃないが、善良な皆の衆が一番天罰を受ける、のは算盤が合わない。
ガ、それで帳尻が合わせるのが歴史の教訓である、
とグッチーは語った。
赤いお方は最初から稼がせてもらえなかった。日本のヤクザ映画にも劣るぞ、申されないか。
楽しくて、勉強になります!
T/Bさせてください♪
判断に悩む局面に来ています。
クレジット市場の行き過ぎの是正なのか、
逆回転の始まりなのか。
クレジット市場では、
米国市場ではクライスラー、欧州市場ではブーツ
が1つの試金石となると見られていました。
見事、1つがコケました。
1部の内容の悪いLBO案件は中止や遅延に追い込まれていますが、他の多くのLBO案件は成立しています。
案件の内容次第では成立するのを見ていると、
行き過ぎの是正のような気がするのですが・・・。
ブーツやクライスラー以外にも
大型案件はこれからも多数出てきます。
この8/9月が山場なのかもしれません。
Blackstoneの上場がピークの象徴として語り継がれるかもしれませんね。
なるほど、彼のノウハウを持ってすれば、安すぎ
る株だけでなく、高すぎる株も見えるわけかぁ。
種銭ためてる間に、少しでも勉強と勘磨きやって
おきます、はい
初めまして。tattariaと申します。
ぐっちーさんのHPを最近知り、とても参考にさせて頂いております。
今日、なんでダウが上げているんだろう・・・。楽観的過ぎますよね。この株価自体不思議です。