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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2015/05/12 11:13  | マーケット |  コメント(4)

ギリシア プロレス 最終局面 決め技は?


ギリシア問題・・・・有料で紙数を費やすのも申し訳ない程度の話題なので、一応こちらで取り扱うことにします。

状況としてはこの記事が適切に解説しています。

http://www.nytimes.com/2015/05/11/business/dealbook/imf-and-central-bank-loom-large-over-greeces-debt-talks.html?_r=0

ポイントを抜き出しておくと・・・・

Greece is expected to repay 750 million euros, or $840 million, to the monetary fund on Tuesday as scheduled. For the rest of the year, however, its debt repayments to the fund and the central bank total nearly €12 billion.

Discussions in the Greek government have included assessing the pros and cons of not paying the central bank and the monetary fund … a few of the debt specialists … contend that they have a strong intellectual case for defaulting on debt owed to the central bank and the monetary fund. For too long, they assert, Greece has been stuck in a cycle of having to borrow more money to pay off maturing debts. And each time it borrows more, it must accept economic austerity measures that deflate its economy.

抄訳
当面の7.5億ユーロの返済についてなされるだろう。しかし、年内には更に120億ユーロの返済が必要となる。現在様々な憶測があり、ギリシア政府内では実際に支払いを停止した場合(踏み倒した場合)にどういうことがおきるのか、という議論がなされ、また、専門家の中には既にギリシアは完全な自転車操業に陥っている、という指摘をするものもいる。いずれにせよ、追加借り入れを可能にするためには緊縮策を受け入れることが必要だ。(終わり)

要するに、最初の危機が2010年ですから、あれからもう5年も経っており、債務も約50%を踏み倒し、再建を図ったものの、既に借りたものの支払いはまさにその返済のために消耗されてしまい、何一つ経済の進展に貢献しなかった・・・・そうこうしているうちに経済成長が全くしていない・・・稼いでいない・・・にも関わらず、債務だけが増え続け、今やGDPの200%にもなって仕舞っていて、にも関わらず、緊縮策は受けない、という強硬姿勢を貫いている、というのがギリシアの現状と言う訳です(ギリシアのような収入の全くない国の債務比率と日本のそれを比較してはいけません、昔の民主党のように)。

今思えば(当時もワタクシは書きましたが)、初動でギリシアをユーロから外していれば、今頃復帰が議論されていたかもしれません。それほどユーロと言う単一通貨には解決しがたい欠陥があるのです。何せドイツと同一通貨を使っている訳ですから、ドイツに準ずるの経済力がなければ国際競争力を持たないのは当然です。

また、同じ域内でも例えば観光1つをとっても、通貨による調整効果はありませんので、設備の整った南仏あたりの施設と競争するにはそれなりの設備投資をしなければならない訳です。さもなくば安くするしかない。しかし、安くすると収入が減る訳ですから益々ジリ貧になりますよね。

この時、通貨(為替)という調整弁があれば同じ料金でも外国から見ると安く見えるので収入が増える、ということもあるのです(銀座の中国による爆買い、もこの影響があります)。

いずれにせよ、ここまで来るとギリシアに追加融資をするというのはEU各国の国内事情が許さず、相変わらず短期融資を繰り返し先送りするか、今の延期されている融資枠(72億ユーロ)の最終期限である6月330日をもって終わりとするか、の選択をするタイミングが迫ってきている訳ですね。

5年間もこうして揉めているので国際金融市場はこの問題は既に完全に織り込み済み。

時々、今でも「ギリシア情勢の混乱で株価が云々・・・」と言う記事を見ますが、そうなると 「ジャイアンツが首位から陥落した為に株価が下落」という解説も可能になってしまいますので、くれぐれも騙されないようにしてください。こういう解説をしている輩は今後も信用しない事です。

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4 comments on “ギリシア プロレス 最終局面 決め技は?
  1. ペルドン より
    6月330日

    手が・・震えているな・・
    悪女か・・悪いジゴロに・・
    引っかかった・・ミスター・ユーロor マダム・ユーロ・・
    いずれにせよ・・多額の手切れ金狙い・・
    もっと・・質の悪いプーチン大帝・・涎を流して・・手を足を延ばし・・搦め手・寝技・・好きなんだ・・この体位・・(笑

    「ジャイアンツが首位から陥落した為に株価が下落」
    違うんですか・? 信じていたのに・・
    その内・・
    「カープが首位から陥落した為に株価が下落」
    と解説する金融マン・・知ってるんですが・・・(笑

    後釜を狙う文人執筆者って・・JDさんですよね・・・(笑

  2. パードゥン より
    ユーロ中銀を作って

     ギリシャは安くユーロを仕入れができるというのはどうですか?
    1000億ユーロの国債発行に対して、2000億ユーロが
    ユーロ中銀より現金支給される(笑)

     日本でも、地方は1000億円の税収に対して、地方交付税とかで
    2000億円の収入があったりして、実例あるじゃん(笑)

  3. Totoro より
    Club Med

    通貨統合、Euro導入前後10年チョイを英蘭で働いてました。当時、長期休暇はClub Medの国々(スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャ)で家族とぼーっと過ごしたもんですが、選んだ理由、メリットは物価が安い=お得感でした。
    Euro導入後はその最大メリットが無くなったわけで、観光だけではなく製造業もダメージ受けるわけですね。
    今の勤務先はEuro導入の甘い誘いに乗ってone of themに工場進出しましたが、10年間日の目を見ず撤退しました。高い授業料を払ったものです。

  4. Kosei より
    中南米

    貴重な情報誠にありがとうございました。
    デフォルト認定は1ヶ月後の7月30日になるのでしょうか。
    今年の秋はぐっちーさんシナリオどおりになりそうですね。
    最終的に一番影響を受けるのはヨーロッパですね、中国に
    してもロシアにしても。

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