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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/10/31 12:57  | 金融全般 |  コメント(6)

明治生命


ついに・・・表沙汰になりました。以下記事引用。


朝日新聞より
保険契約100件を偽造、勝手に署名
明治安田子会社 2005年10月31日09時00分  金融庁から半年間の業務停止命令を受けた明治安田生命保険の販売子会社で、大口の法人契約を成立させるため、職員らが契約書を100人分以上も不正に代筆し、契約者名の印鑑を勝手にそろえて押していたことがわかった。この契約をめぐり違法なリベートも支払われていた。親会社の明治安田生命は、朝日新聞の取材に対し、組織的な不正行為だったことを認めた。大手生保の法人契約で大量の不正が発覚するのは極めて異例だ。  不正が明らかになったのは「明治安田生命保険代理社」。親会社の明治安田生命によると、前身の旧明治生命保険代理社だった99年に、外資系証券会社の従業員を被保険者とする死亡保険の法人契約を締結。その際、代理社の職員11人が手分けして、証券会社の従業員約100人分の署名をしたり印鑑を勝手に押したりして契約書を偽造。病歴などの告知書も不正作成したという。  複数の関係者は、「名前を使われた従業員の大半は、保険に入ったことを知らなかった」と明かす。証券会社は代理社側からリベートをもらう前提で契約し、短期で解約しても返戻金とリベートを合わせ、払った保険料より多くの金を受け取れる仕組みだったという。明治安田は「加入を了解していた従業員もいた」というが、代筆だけでも保険業法違反だ。  契約の手間を省いて営業成績を上げる目的とみられ、代理社の部長3人や課長3人ら幹部が代筆に参加するなど組織的に行われた。印鑑の調達には、旧明治生命の営業職員も関与。この営業職員は旧明治生命の保険販売で何度も最上位クラスの成績を上げ、現在も明治安田の営業所長だ。  この契約を巡っては、旧明治生命側から外資系証券会社側に契約の見返りとして約2億7000万円が支払われ、東京国税局が「組織的な経費仮装で所得隠しに当たる」などとして追徴課税した。  旧明治生命側は「代理社の契約社員が独断でリベートを支払った」と主張。契約社員を退職させ、受け取った販売手数料約3000万円の返還を求めて03年に提訴。一審の東京地裁では今年3月に勝訴したが、控訴審では明治安田が大幅に譲歩する形で8月に和解が成立した。  明治安田は3月末、違法リベートの管理責任を問う形で、代理社の役職員や営業職員6人を、譴責(けんせき)や厳重注意処分にした。今回、組織的な不正行為の全容が明らかになったため、「処分を見直して厳正に対処したい」としている。


さて、この記事では一方的に明治生命が営業成績を上げるためにリベートを渡したような書き方になっているのですが、ついに表沙汰になりましたか!、と書きましたようにこれは完全にグルです。


外資系証券会社に居られたシニアなかたなら「おー、あれか!」と思い当たる事があるはずです。これは「キーマン保険」とか、「シニア保険」などと怪しげな呼び方をされ、本人には決して保険金が入る事の無い、実体の良くわからない生命保険でして、その手数料分今回のようにリベートで支店長のふところにはいったり、レシプロといってその保険手数料に見合うだけのコミッションを先物の発注などでその証券会社に支払うといったものでして、小回りのきく社員が2?300人程度の外資系証券では日常的に行われてきたものです。


支店長のふところに直に入るのはかなりエグイですが、取引による支払いであれば担当営業者も断り憎い。ですね。恐らくはその前後、その証券会社の先物や株式の明治生命との取引は激増している筈で、まあ、金融庁ならすぐ調べられるでしょうが、証券会社も営業努力の成果がたまたまその時に出た、なんて言い訳するので掴まえ難いのかもしれない。


まあ、あくまでも氷山の一角だ、ということです。明治生命ばっかし、なんで・・・というのはあるでしょう。他の生命保険会社ですと、せめてサインは本人にさせてくれ、と言っていたような覚えがあるので、本質的には代わりませんが、明治のガードが甘いのは確かですね。ここをご覧頂いている方は関係者も多いのでちょっと気が引けますが、今再び三菱という企業コングロマリットのあり方が問われるような気がします。三菱自動車の隠蔽にしても、明治生命の一連の不祥事にしても、三菱グループ独特の「どうせばれっこないよ・・・」、という何か不遜なものを感じるのは私だけでしょうか? 確かに三菱の名前は輝かしくそのために何事も犠牲にするのだという、ロジックは何となく理解はできますが、ここまで三菱続きではいろいろ勘ぐりたくなる所です。 この際全部膿を出し切る必要がありそうです。


 以上取り急ぎ・・・


日本株完全に踏んでまっせ。


 

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6 comments on “明治生命
  1. なぜ? より
    ???

    三菱の話が出ていたんですが三菱自動車の株価が上がってるのはなぜなんですか。それほど業績が回復してるわけでもありませんし。
    教えてください。

  2. Unknown より
    「民僚」なんですよね

    バブル崩壊をきっかけに、15年ぐらい前から「日本型経済システム」の問題点が指摘・批判されていますよね。対応策として、まず実施されたのは、「政治改革」、そして次に「霞ヶ関改革」。ところが、政治家と役人を滅多打ちに叩いて、憂さ晴らしをして、政と官のシステムを大改革してみたものの、暫くしても世の中思ったほど変わらない。そうして、世の中の賢明な人たちが、薄々気づいていることとは?そう次は「民間改革」です。このプログの著者は賢いと思います。言われてみれば当たり前のことでも、なかなか分からない人が多いのに、ずばり言い当てている。バブル崩壊の責任は民間にもあり。今まで焦点が当たらなかっただけで、官僚ではなく「民僚」が、民間企業の大組織の中で従来のやり方のままで、不遜にも、のうのうと生き残っている。そう捉えると、一連の事象は分かりやすくなるのではないでしょうか。
    「官から民へ!!」じゃないですけど、いま改革が必要なのは、実は、大民間企業の「民僚」かもしれませんね。もちろん政治改革も霞ヶ関改革も大事だと思いますけど、同様に、民間も大組織は改革が必要なんじゃないですか。競争に晒されて淘汰さればいいと思いますが、民間同士の「癒着」の構造って、あるのでしょうか?これはプログの著者にも意見を問いたいです。

  3. ぐっちー より
    有難う御座います。

    なぜ?さん
    なぜでしょうか?私も判りません(笑)。ハイイールド債などと違ってこういうことはよく起きるのですよ。多分もとの三菱自動車に戻れれば安い、とか考えている訳ですね。株式はケインズの言うとおり美人投票なんです。どんなにブス(失礼!!)でもみんながきれいだというときれい、ということになるというんですね。これしかないです、はい。

    上記の方へ
    ご意見ありがとうございます。一つ申し上げますと、現在の大企業のマネージメントについてということであればおおいなる「イエス」、アグリーです。バブルがはじけて一番責任を問われるはずの当時の執行部がどういうわけか経営者としてのうのうと生き残っている会社が多すぎる。一番被害に合ったのはまさにその下にいた、中間管理職で、彼等はリストラ、退職金カットなどで塗炭の苦しみを味わっている一方で一番責任をとらねばならん奴が居座っている・・・・これが現在の構造だと思います。アメリカと比べて欠けているのは株主のチェック機能。君たちが失敗の種をまいたのだろう、ということでアメリカなら総入れ替えだった筈。お互いに持ち合ったいた日本の企業は人のことを言えば自分にも火の粉が飛ぶのでみんな黙っていた。それがまだ残っている訳です。おっしゃるとおり、その意味ではおおいなる変革が必要でしょう、民間の大企業も。

  4. Unknown より
    大企業のマネージメントです

    すみません。「大企業のマネージメントについて」ということで・・・。

  5. 一匙 より
    保険業法

    門外漢でうまく説明できないのですが・・・
    いろいろ変な商習慣の膿出しで責められることはあるのだろうけれど、
    保険業法という法律は、なんて奇怪なんだろうと思うことが多々あるんですね。
    ヘンな商習慣などは、庶民の保険料から出る莫大な手数料がリベートの源泉になっており、
    その庶民向け商品の手数料率の高さを守っているのが保険業法だとしか思えないほど
    業界ラヴな法律だという印象です。
    自動車保険は次々に外資がディスカウントを提供しているのに、生保は絶対ヘンです。

    まあ何がいいたいかっていうと、白トリュフはいかがでしたかってことです。
    NYのZAGATで日本料理が高評価なのに、日本では「スタミナ苑」が首位になっているというのは、
    日本料理はNYで食えというつもりですかZAGATってことです(嘘)

    三菱自動車は日本だけで車を売っているわけではありません。
    映画「タクシー」を見ると、三菱ランサーがカッコイイじゃないですか。
    財務の膿が出て海外で車が売れて円安が進めば株は当然上がると思います。

     

  6. ぐっちー より
    どうも。

    一匙さん
    コメント賜り恐縮です。そうですね、生保ってなんか変ですよね。アメリカの保険会社も自分の国で十分儲かっているので今はいいですがそのうち力ずくでくるでしょう。またよろしくです。

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