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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2007/02/28 12:54  | サブプライム |  コメント(4)

がちがちのコラレーション


ダウは416.02の下げ。日経もシカゴを受け前場は644円安。まあ、こうなれば仕方ないですな。ここもと危険因子(サブプライムの住宅ローンの延滞率上昇、代替エネルギー銘柄バブル崩壊など)を取り上げてきましたので、こちらの読者の方はほれ来た、とあまり驚かれていないかもしれません。


今年はみなさんかなり利益が出ていますから、再々書きましたように、一部、こういった「ハイリスク物」に大量に資金を投入している金融機関などが損を埋めるために流動性の高い所でリクイデーションを行うと売りが売りを呼ぶ展開になるものです。


一方、従来ですと中国株などの「マイナーリーグ」には大手の機関投資家や一流のHFが手を出す事はなかったのですが、全体的にタイトなクレジットマーケットを反映し、元来手をださんようなマーケットにも資金が回るようになっているために、中国株あたりの下落がなぜかアメリカにもフィードバックされるという、表題の通り、「がちがちのコラレーション」になっているのも事実です。


元来はこのあたりのリスクマネー(中国株投資やインド株投資に向かう資金)は分散されているのでこういう動きにはなりにくかったのです。


つい2週間前まではだーれもこんな事態は予想していなかっただけに衝撃は大きいかもしれません。ただし、このあとの動きを予測することはそれほど難しくありません。


ダウ、S&Pの下げ幅は丁度あのフォード・GMクライシスと同じくらいです。その意味で絶好調だったアメリカのクレジットマーケットが踏みとどまれるかが勝負です。前回はあそこが踏みとどまったため今のブルマーケットが形成されたともいえ、ここからさきは一重にクレジット市場の行く末にかかってきます。


ここが崩れてくれば、或いはヘッジが効かなくなってくれば大量の資金がリクイデーションに回り、誰も止める事はできないでしょう。その場合はアルトマン教授のご託宣どおりですね。個人的にはここ数日で収まってしまえば丁度いい調整になるのではないか、とまだ楽観していますが、どうでしょう。


住宅ローンについてもハイクオリティーを見ると、例えばファニーメイなどは全体の0.2%程度しかサブプライムをもっていません。その意味では相場全体に与える実質的な影響は小さいというのが真実です。


しかし一方では、利益のかさ上げのためにこのあたりや、ハイイールド社債(BBBなどではなく、それこそC,CCなどの破壊的格付けの債券)に投資を集中してきた連中にとっては一連のヘッジ手段が本当に機能するのかどうか、正に正念場となります。

表面上はCDSでリスクをヘッジしているので、いわば保険をかけているつもりですが、実際にトリガーを引いてみたら、相手にそれをカバーする資金がなかったなどということが起こるのかもしれません。更に元本の4倍などのレバレッジをかけたCPDOなどの商品も散見され、その意味では掛け率の上がったギャンブル場のようなもので、実際の参加者に本当に支払い資金余力があるのかどうか、それこそが鍵を握っており警戒が必要であります。


余裕のある方は、降りられるものなら降りて、再度投資チャンスを探す、というのが王道でしょう。特にCDO, MBS、ハイイールドなどのロークオリティーに資金を置かれているのなら流動性のあるうちに逃げるべきです。ここは本当に流動性がなくなれば叩くに叩けないセクターです。


質への回帰(Flight to quality)ということが よく言われるので短期債券を買いたくなるかもしれませんが、これもしばらく待った!! 損失の穴埋めのためにこのあたりの一番流動性の高いと所を売ってくる可能性があるのであせって飛び込まないようにしてください。ここはしばらく我慢。


こちらでは当面、引き続きサブプライムとクレジットに注目しつつレポートをお届けしていく事に致します。


以上、取り急ぎ・・・

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4 comments on “がちがちのコラレーション
  1. バッファロー66大尉 より
    大丈夫ですたい

    当方株を少々嗜んでおりますが、去年の相場で懲りて、今年は「ロング/ショート鞘取り」のポジションをガチガチに組んでおりました。

    なので大丈夫ですたい(笑

    それにしても個人投資家というのは何故「買い」でしか考えられないのでしょうか?

  2. ジンベイの声 より
    Unknown

    私は銀行で米国債券のディーラーをしておりますが、昨日の値動きは異常の一言に尽きます。

    ぐっちーさんご指摘の通り、この値動きは一連の米国サブプライム問題に加えて、中国当局による規制のため、中国A株が大暴落したことが大きく影響しているわけですが、昨日の値動きは9・11テロ並みであり、そこまでの値動きは全く予想できませんでした。

    サブプライム問題や代替エネルギー問題もそうですが、週末にグリーンスパン前FRB議長が、2007年後半の米国リセッションについて”Possible”と発言し、これを月曜、火曜とCNBCなんかがガンガンに放送してたことも、市場に大きな影響を与えたみたいですね。

    相変わらずグリーンスパンの影響は大きいというか、バーナンキの議会証言は無風に近かったのに、前議長のたった一言をここまで大々的に報道する米メディアもどうなんどうろうな?って思いますね。

    この動きって続くんでしょうかね?

    どう思われます??

  3. ペルドン より
    ガチガチ・・・

    あれですね、

    ぐっちーさんは株が下がった下がった・・アブねぇーなんて時の方が、生き生きしてますねぇ。

    切ったはったの火事場が好きなんですねぇ、危機管理が行き届いてると、感心します。

    もう少し言うと、バッチリ感じてたんでしょう・・・

  4. ペルドン より
    がちがち・・・

    今スカパー!のアサヒ・ニュースの深層で、

    かんべぇさんが、今回の騒動は日銀の利上げにあるのでは・・なんて、お喋りでありますが、ぐっちーさん、囁いたんでしょ。

    まぁね、

    日本の自尊心を妙にくすぐる説でありまして、

    福井総裁、日の丸鉢巻して、1%上げてみましょうか?!

    日本やら油の金を使って、

    同じ面子が席を変え、彼方此方で、ビクつきながらギャンブルしている、と分かっただけで、

    はい、結構でありました。

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