2008/10/22 23:26 | サブプライム | コメント(10)
二重帳簿
昨日ご紹介した田丸さんの本にイタリア語の複式簿記を「二重帳簿」と訳して大笑いになった話が紹介されていました。実は私にも全く同じ経験があります。
今話題のCDOの商品説明のプレゼン。
Double-Entry、なので完璧だ、 と強調したかったわけですね。SPCの経理処理もきちんと「複式簿記でなされる」、とそいつは英語で言った訳ですよ。
わたしだってね、頭の中ではわかってたんですよ、きちんと経理処理されてますよ、複式で・・・と言うつもりが、
「きちんとした二重帳簿で管理されています」、
とやっていたらしい。
「きちんとした、ばれない二重帳簿の商品ならみんなほしいわな」、
と場内大笑いだったよ、とあとから聞いたのですが、こっちはその場は必死でまったくわかりませんでした。
それ以来、私が商品説明に行くたびに、「ぐっちーさん、その商品、まさか二重帳簿じゃないですよね」、としばらく冷やかされたもんです。これは危ないですね、職業柄(笑)。
さて、混乱はなかなかおさまりませんね?、っておさまる訳ないじゃん、と普通に思います。一番安全なはずだった金融機関、しかもメガのスーパーバンク、それもたった一日だけのONファイナンスが崩された、という現実があります。
普通危ないといころから順番にやられるでしょ。だから一番レバレッジが高いヘッジファンドにまず来るでしょう。次にやはりレバレッジの高いノンバンク。そしてこらえきれなくなってセンターバンク周辺に来る(はず)。
しかし、今回はよりによってセンターバンクからトラブルが始まった。ヘッジファンドはどこいった??
これは日本でも経験がありますね。相手が倒れたらこっちもつぶれてしまうので、銀行という所はまずは「追い貸し」で延命させる。
これが曲者で、そうなると、せっかくの資本注入も、かえって金融機関に余裕ができてしまうので、追い貸しをやめて思い切りトリガーを引き、倒しにかかる。一度地獄を見ているだけに(こちらも潰れかかっているだけに)この決断は早いはず。
しかもHFは総額で実物資産の5倍とか10倍あると言われている。公的資金で一息ついた金融機関が貸しはがしに来たら、今の株価の下がり方じゃすまないだろう。
大丈夫なのかな?、と思うでしょ? だから、繰り返しますけど損失金額をゼロならゼロで確定するのが先で、資本注入はその後でするべきなんです。その間を政府が保証していればよかった。順番を間違ってますね。
そしてなんと日本でも銀行救済法を通そうとしている。国会議員は賛成派も反対派もいつのまにか「海外の有価証券による損失の被害に基づいて」、と説明している。
あほか。
地獄を見ているアメリカの金融機関を横目で見ている日本の金融機関に資本注入をしたところで自らの体力温存に回るだけで、融資になど回る訳がない。焼け太り、です。
何度も言うけど、アメリカ発の証券化商品の損失そのものでは日本の金融機関はなんともない。へのかっぱ。
「何ともある」のはこれから、日本の国内の証券化商品が棄損してからであって、そのリスクは高いと思うが、その意味では資本注入の前にそれらの買い取り機関をきちんとつくることが先決だと口をすっぱーくしていってきた。
そうすればその損失額をゼロならゼロと算定、バランスシートから外してあげて、一方経営者責任を取らせてから資本注入するという本来のプロセスが踏める。自民党も民主党もわけがわかっていないのと、銀行のマッチポンプに乗せられてしまっていて見るに堪えない。日本の銀行に今、資本注入しても全く意味ないですから。
僕は金融政策の専門家ではないのだけれど、実際貸し渋りを解決するのはそう難しくないでしょ、公的資金入れるくらいなら。
日銀に余剰資金を積んだ銀行からはすべてペナルティーを取り、資金繰りのへたくそな銀行、ということで毎日新聞で名前を公表する。あっという間になくなるでしょうな。いざ、足りなくなったら強制的にとればいいから心配ないし。オペのレートまで固定できるのだから、これは自由自在でしょう。
そうなれば、各銀行は余っている限りペナルティーは取られるわ名前が公表されるわ、ということになるので余剰資金があれば何かに投資をするしかない。
これらは必ずしも中小企業に向かう保証はないけれど、ゼロに近い国債投資に向かうなら景気対策も兼ねてばんばん国債を発行してやればいい。万が一にでも株に回れば景気浮揚効果がある。融資に回ればばんばんざいでしょ。要するに金融機関に滞留している資金を引きずり出す知恵を出すことが対策のすべてです。
昔は豚積みが続くと頭取の首が飛んだ、なんていったもんだけどね、いまはどうなっちゃたんだろうね・・・
グーグルフォン、いい感じですね。欲しいかも。では!
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10 comments on “二重帳簿”
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そう思います。マイナス金利を取っちゃえばいいと思います。
赤褌の旦那の耳元で囁いてみたら・・、
きっと
毒薬を注ぎ込まれたと思うだろうな。
赤旦那の財閥って、地方の小で、その経営感覚じゃ
二重帳簿の方が正訳でありましょう。
二重権力
ときたら、衆院と参院の首相で、これまた二重帳簿といった方が解り易いか。
こんばんは。ブタ積み、ヤキトリはもはや死語です。それとちょっと気になってここ数日の準備状況を見たのですが、超過準備は全銀ベースで数千億円から1兆円前後で、あまりないです。貸し出し増やすには金融庁検査を甘くするのが一番良い方法かもしれません(苦笑)。
貸し剥がしをが発生するのは、当局が検査を行う場合らしい。
だから、「今後は、検査止めます。」と言えば良い。
地銀がどれだけ米国の金融商品を買ってるかはまだ分かってない。
貸し渋り対策が目的なら、国金で直接貸せばいいんじゃないんですかね。
銀行を助ける必要は別に無いですし、そもそも助けるほど酷い状況ではないですし。
てかそんなに借り手はいるんでしょうか。そんなに居るなら金利はこんなに低くないようにも思いますが。
となると結局まともな借り手が居ない、てな話になるんじゃないんですかね。上場企業は金余りでガンガン借金を返してますし。
麻生さんもさんざん「こんな低金利で金を借りないなんて状況は普通経済や経営の世界では想定されてない」てナ事を言ってますし。
成るようになった結果、今の低金利なのに貸し渋りという不思議な状況になっているので、別にいまさら対策なんて打たなくていいように思いますけどね。
アメリカなんとか安値更新しないで持ちましたね。銀行ブタ積みはドラめもんさんのところでなんども。経済は雰囲気ですからね。11月の中央銀行会議でなんとか合意がでていきなり一?78円とかにならないことを祈るばかりです。いきなりルールが変わっちゃいますからね。しかし、韓国大丈夫なんどろうか。
私ははっきりいいます。金融担当大臣をやってください。自民党のお馬鹿大臣ではだめだとおもいますので。といってもなれるもんでもないんですよね?そう簡単には。
自分の失敗を書かれた点を高く評価します(笑)
国民新党が出した緊急金融安定化対策についての提言の中にとんでもない項目が混じっています。もうとっくにご存知かもしれませんが…。
http://www.kokumin.or.jp/seisaku/20081017.shtml
「大阪証券取引所における「日経225先物取引」は、投機マネーとして、現下の株乱高下の一因となっており、早急に廃止する。」だそうです(笑)。しかし経済が本当に逼迫してくるとこういうデマゴーグが勢力を伸ばさないとも限りません。笑って済ませられないものを感じますね。