2007/06/20 08:56 | サブプライム | コメント(4)
じみ?な話題ですが・・・・
あまり注目されていません、というか日本では話題にも上がらんので、仕方がないから私が書きます。
まず、昨日発表のアメリカ5月分住宅着工件数。前月比2.1%減、中でも一戸建ては3.4%と大幅減、サブプライムが集中している西部ではなんと20%減!!というとんでもない数字。
金持ちの多いニューヨークを中心とする北東部は16%増加していますから今回の二極化は注目に値します。まあ、もともとアメリカの場合GDPや消費などのマクロ指数に及ぼす影響は高額所得者の上から5%でほとんど決まるので、こういったサブプライム問題はアメリカ経済全体には影響がない、という指摘がありますが(というかそういう指摘が大多数ですが)、それはマクロの問題であって、それらに信用を供与している金融セクターにとっては重大問題であるということを忘れてはいけません。今のところ問題は起きていないように見えますが、細かく見ると出てきているのです。
モーゲージ(MBS)に関する運用およびリスク管理では全米ナンバーワンといっていい、ベアスターンズが自ら運用するモーゲージファンドの救済に15億ドルを投じると発表が昨日さりげなくされていますがこれは大変な話です。
MBSそのもの、およびそこから派生するIO/POなどの証券はレバレッジがものすごく高いのですでに、過去にこれを扱ったファンドが何社も倒産しているというモーゲージ業界。古い方はご記憶でしょうが、これを専門に扱っていたキダー・ピーボディーなどの大手証券会社が80年代に何社も倒産、これらを救済しかけたファーストボストン、ペインウェーバーなども危うく巻き添え倒産に追い込まれる寸前まで行きました。
実際に運用に携わった方はご存知のとおり、この商品は返済率の予測が大変難しく、昨今のように金利が急騰しますと
返済率が予測を超えて下がる→償還期間とともにデューレーションが極端に伸びるが、その予測は不可能→そのため価格下落率の計算が狂い、ヘッジのために更に売る→更に相場を押し下げる
という悪循環に陥る訳です。HFですからそれらに更にレバレッジを掛けていますから生でMBSを保有しているリスクとは比べ物にならないくらいのリスクを負っている。ベア・スターンズクラスになるとNASAで使用しているのと同じスーパーコンピューターを5台保有してそれこそミニッツバイミニッツで下落率を予測していますから、ここがやられている、ということは他はもっとやられている、ということになります。
USTの残高のおよそ5倍は残高があるMBSですし、格付けも高いために(信用格付けと証券の価格リスクを混同している金融庁のみなさん、要注意!!)、アメリカの金融機関も大量に保有している訳で、このベアーのニュースは他人事ではありません。
一方、HF、と言うよりM&Aなどでも有名になりましたが、まあ、HFと呼びましょう・・・ブラックストーングループのIPOの予定日が5日繰り上がりました。ファンドに対する税制改正法案が上院を通ったため、という見方も一部にはありますが、これは間違いなく需要過剰によるものでしょう。主幹事はモルガン・スタンレーですから彼らのやり方からすると、上場後の加熱を懸念して前倒しにしたと考えていいと思います。
ブラックストーンの場合、何せ、順番をすっ飛ばして未上場から一気にNYSEに上場ですから(通常はピンクシートから始まって、OTC, ナスダックなどを経ないとSECの上場基準が厳しいためなかなか通りません)本当は投資家にすれば懐疑的にならざるを得ないのですが、「なにするものぞ」の前倒し。ご存知のとおり中国政府はこの株式を20%取得することになっており全米有数の投資ファンドの大株主になる訳です。お見事ですな。
もちろん彼らはこれまでにもブラックストーンにお金を預けています。これは運用を委託しているという範疇ですから、担保されているのは運用資産そのもので、債券だったり株だったりする訳ですからブラックストーンが潰れてもゼロにはなりません。
しかし今回は出資ですらかブラックストーンが潰れればすべてパーになります。そのレバレッジは通常の政府及び中央銀行の投資という範疇を超えているように見えなくもないですね。
しかし、ブラックストーンの持つアメリカ経済に与える影響力、彼らの投資を通じて発揮されるアメリカ企業全体に対する影響力を考えれば安い投資かもしれません。ブラックストーンの大株主となればその株主の意向を無視できるアメリカ企業は多くはありません。このあたりの出資もきわめて高度な政治的判断が窺い知れ、ただひたすらアメリカ国債を買い続けている日本の国家戦略はなんなんだろう・・・と思わずにはいられません。
日本もお金のあるうちに有効な使い方を見つけるべきですぞ。
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4 comments on “じみ?な話題ですが・・・・”
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はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
じみで古くて新しい・・
なんかアチラサンで騒がしいですねぇ。
ローチさんはどう言っているでしょうか?
神託が必要とされる今・・・余りにもグローバル化がせわしく切ないので、従業員の方々は落ち着いて仕事に励めないのでは。
中国政府の本質は共産政権であっても、博打好きという本質が変わらない。当然大金を懐に鉄火場に出てきますよ。米英は心得てお待ちしていたのです。今は中国旦那がタニマチ。
最初は勝たせてもらうのが日本の時代劇の筋書き。
当節原爆なんぞもって、おどして回るのは古風すぎる。テロ組織に売ったら、確実に此の世から抹殺されます。
虎穴に飛び込んだのか、誘いこまれたのか、円高にして日本は高見の見物してますか?
よぅ、中国の旦那、景気よく張った張った・・・
日本の場合は中国ほどケレン味を国がもつ必要はないんじゃないですかね。民間のファンドでも十分かと。
>アメリカの場合GDPや消費などのマクロ指数に及ぼす影響は高額所得者の上から5%でほとんど決まる
それほど消費がすごいのですか。お金持ちはあまりお金を使わないという印象があったので。
日本も同じなら中間層没落もたいしたことではないということになりますね。