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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2008/09/23 00:47  | サブプライム |  コメント(21)

アメリカ金融帝国の終焉


まるで悪夢でも見ているようだ。衝撃のニュースといえる


日本語の記事を見ていてもこのマグニチュードは全く伝わらない。


Investment Bank というアメリカに生まれ、アメリカで栄え、世界の金融を支配したビジネスモデルがついに終焉した。まさに帝国の崩壊・・・・・。


The Wall Street that shaped the financial world for two decades ended last night, when Goldman Sachs Group Inc. and Morgan Stanley concluded there is no future in remaining investment banks now that investors have determined the model is broken.


The Federal Reserve’s approval of their bid to become banks ends the ascendancy of the securities firms, 75 years after Congress separated them from deposit-taking lenders, and caps weeks of chaos that sent Lehman Brothers Holdings Inc. into bankruptcy and led to the rushed sale of Merrill Lynch & Co. to Bank of America Corp.


“The decision marks the end of Wall Street as we have known it,” said William Isaac, a former chairman of the Federal Deposit Insurance Corp. “It’s too bad.”


Goldman, whose alumni include Henry Paulson, the Treasury Secretary presiding over a $700 billion bank bailout, and Morgan Stanley, a product of the 1933 Glass-Steagall Act that cleaved investment and commercial banks, insisted they didn’t need to change course, even as their shares plunged and their borrowing costs soared last week.


By then, it was too late. As financial markets gyrated –the Dow Jones Industrial Average whipsawed 1,000 points in the week’s last two days — and clients defected, executives at the two firms concluded they had no choice. The Federal Reserve Board met at 9 p.m. yesterday and considered applications delivered that day, said Michelle Smith, a spokeswoman for the central bank. The decision was unanimous, she said.


ウォールストリート流に訳すと・・・


昨夜、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックスが投資家の信頼を失った投資銀行であり続けることには未来が見いだせないと結論付けた時、ほぼ20年にわたり世界の金融の成り立ちそのものであったウォールストリートが死んだ。(中略)


先週、7000億ドルに及ぶ金融の整理統合を統括したポールソンの母校であるゴールドマンサックスと、1933年のグラススティーガル法による商業銀行と投資銀行の分離の申し子であるモルガンスタンレーは、急落する株価と底ぬけした借入コストの増大をものともせず、方向転換の必要はないと断言していたが・・・その時はすでに遅すぎたのだ。(中略)


彼らから出された通常銀行への転換という申し出を却下できる人間はFRBの中にはいなかった・・・・


となる。


投資銀行を廃業して通常の商業銀行になり、その一部業務として投資銀行を行い、従って経営はFRBの傘下に入る。

それはアメリカが世界に誇る直接金融、資本市場による自由かつ競合的な資金調達を間接金融より優位にしてきた世界の終焉を意味する。


銀行による預金の保有はその保全を前提にするため、レバレッジや自己資本比率など、様々な制約を受けることになる。それを監視するのがFRBだ。


一方これまで投資銀行はFRBから独立し、その分より効率的な業務を行い、多少のリスクを物ともせず、資本市場を有効に機能させ、当然配当や、彼らの給料は商業銀行のそれをはるかに凌いできたのだ。


しかし棄損した資本の修復はもはや不可能で商業銀行としてFRBの足かせを受けることと引き換えにその資本とブランドの保護を優先した結果がこれだ、と言える。


100年に一度・・・・まさにこれも100年に一度の歴史的ムーヴメントと言っていいだろう。 日本の新聞ももう少しこのあたりをきちんと伝えてもらいたい。


いずれにせよ、純粋な投資銀行という業態は本日をもって消滅したことになる。

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21 comments on “アメリカ金融帝国の終焉
  1. 立田 より
    Unknown

    商業銀行の中の投資銀行セクションの人の給料は、投資銀行並に高い気がしますし、

    商業銀行の中の投資銀行セクションがやっていることは、投資銀行と同じ(あこぎな事をやっている)気がします。

    私のこの辺の認識は間違えているでしょうか・・・?。

  2. ぺルドン より
    アメリカ金融帝国の崩壊

    百年に一度、
    ではありませんね。
    資本主義が始まって以来であります。

    英米資本主義の終焉であります。
    後は
    我々にはお馴染みの・・護送船団方式・・お上を上目遣いに見ながら、
    原点に戻り、グットフェロー、リレーションシップに基づく、
    社会主義であります。

    海賊金融帝国は終焉を迎えたのであります。

    CNNでクエートの首長は、
    「アメリカの決定は遅すぎた」
    と湾曲的に申されておりました。

    われらの鈍感力は筋金入りでありますれば・・

  3. ぐっちーFAN より
    こんちゃ

    ぐっちーさん、こんにちわ(^^

    田中宇の国際ニュース解説
    http://tanakanews.com/

    田中宇さんによると

    アメリカはわざと自分で自滅して
    世界を多極化させる作戦みたいですよ

  4. ホイホイ より
    Unknown

    投資銀行、凍死w

    おカネのない投資銀行なんて、
    ガソリンのないクルマと同じ。

    よっぽどFRBママから公定歩合貸付の
    お小遣いをもらいたかったんでしょうな。

  5. seg より
    Unknown

    これら投資銀行がこれまで果たしてきた役割について
    解説して頂け無いでしょうか?
    リスクテイカーとしての功罪。特に発展途上国の
    経済発展と絡めて解説してもらえるとありがたいです。
    彼ら投資銀行が無くなってしまうと、困る方々が
    沢山いるのではないかと心配しております。
    彼らの代わりは誰になるんでしょうか?
    リスクを背負えるのはアメリカ以外にいるのですか?

  6. Unknown

    いつも楽しく拝読させていただいております。

    今回の記事ですが、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーが投資銀行をやめて普通の銀行として業務を行うということですが、市場へのインパクトはどれくらいのものなのでしょうか?

    いまひとつ実感がわきません。

    つぶれていないのだから何も変わらないのではと思ってしまうのですが?

    いかがでしょうか?

  7. 呉呉 より
    終わりましたか。

    2年ぐらい前から読んでいます。
    専門外なので、金融の意味は良くわからないのですが、雰囲気を味わっていました。
    「モルスタもしくはゴールドマンが倒産したり救済合併をされた場合につきましては、
    あまりにも見識が無かったということでこのブログは終了させたいと思います。」
    との記事を見ていたので、
    「ゴールドマンサックスとモルガン・スタンレー、銀行持ち株会社に移行?FRBの規制下に」
    の報道の後、どんな記事が出るのか、興味を持っていました。
    これからも、金融会の空気の伝わる、記事を楽しみにしています。

  8. mmissuhoです より
    投資銀行廃業宣言

    >いずれにせよ、純粋な投資銀行という業態は本日をもって消滅したことになる。

    みすほ銀行広報です。いつも参考にさせていただいて
    います。 もう時代遅れだって言ってたのについ
    最近宣言してしまいました。 改めて宣言して
    いいですか 投資銀行廃業宣言

  9. 通りすがり より
    Unknown

    騒ぎすぎだと思いますよ。
    特にに日本法人に関しては特に何がかわるわけでもないでしょう。
    彼等の給料が急に下がるわけでもないだろうに。
    何かビジネスで制限があるとも思えませんね。

    単に流動性が低下してレバが足りなくなって資本を増やしただけ。また流動性が戻ればレバをかけて利回りが上げるだけ。その繰り返し。

  10. YT より
    Unknown

    銀行持株会社化、とはいえ現行のリスク規模を落とさずにすむのであれば、大局変わらないように思えてしまうのですが、どうなんでしょうか。当座の危機回避のためのテクニカルなリストラクチャリング、というわけではなく、一時代の終焉ということになるのか、いまひとつよくわかりません。。
    しかし、欧州はまだ静かですね。

  11. 始発電車 より
    マルクスさん大正解!

    まぁ冗談ですが、高度の資本主義が遂に社会主義化するフェーズに突入した訳で、これを予言したマルクスさんはジュセリーノより凄い!投資銀行帝国主義は崩壊したんですね。

  12. けろよん より
    お彼岸

    テレビ朝日のしたり顔の解説さんのレポート
    「ビジネスモデルとしての投資銀行の終焉」
    と比べるとずいぶん遅れていますよ。

  13. 証券関係者w より
    Unknown

    行き過ぎた資本主義(投資銀行業務)が終焉したという所でしょうか?
    資本主義の定義にもよりますが、本来の資本主義(商業銀行業務)はとりあえず細々と生き残るのではないでしょうか?
    次の展開は何か?ですが、グローバリズムから(自己保身的な)ブロック経済への移行があるとしたら、ダイナミックな経済拡大はしばらくなさそうです。
    株式市場の低迷が続きそうですね。

  14. POPPO より
    儲けのネタ

    通常の商業銀行に化けた純粋な投資銀行は儲けのネタを何に求めるのでしょうか。
    爆弾や地雷を山ほど抱えている銀行にのんびり預金するような間抜けはめったにいません。
    結局看板を付け替えただけで、鉄火場で規制を受けながら稼ぐ運命、FRBの官僚を出し抜くにはよほどの手品が必要となるし、官僚の習性として前例の無い事象には拒否反応を示すから、今までのようにあざとく儲けることは不可能。
    似非商業銀行が業績向上する目処は無いに等しいと思われる。MSに投資する三菱UFJは利益を吸い取るどころか吸い尽くされるような嫌な予感が汁。w

  15. かぼす より
    ひと安心

    (↓大きな声)
    ぐっちーさんの書き込みがないとさみしいのです。

    ぐっちーさんの書き込みは正義感があって
    誰も教えてくれない本当の事を教えてくれて
    ドキドキワクワク読んでぶっちゃけ興奮します。

    18日の書き込み以来、心配で心配で…

    ペルドンさんのおしゃれなコメントも読めなくなるし…

    でも、これでぐっちーさんのブログが続く!!ので
    とてもうれしいです。

    がんばれ!がんばれ!ぐっちー!
    (↑応援してます。)

    腰と背骨は心配してます。お大事に?海老みたいに横向きにねっ

  16. Unknown より
    Unknown

    \”さて、これだけ大きいことを言っていますので、モルスタもしくはゴールドマンが倒産したり救済合併をされた場合につきましては、あまりにも見識が無かったということでこのブログは終了させたいと思います。これをはずしているようではプロの金融マンとはいえません。\”

    これまでブログ更新お疲れさまでした。ぐっちーさんのブログが終了してしまうのは残念ですが、歴史の一場面に立ち会えたんだと考えるようにします。

  17. TT より
    Unknown

    新聞やニュース読んでも まったくわかりませんでしたが、ぐっちーさんのおかげでやっとわかった気がします。投資銀行が普通の銀行が変わる瞬間に、レバリッジの解消とか 強烈な津波はくるんでしょうか?

  18. takashiman より
    Unknown

    こんばんは。はじめまして。
    投資銀行の終焉とありますが本当に終焉でしょうか?

    投資銀行の存在そのものに欠陥があったのなら、
    このまま終焉で新たなシステムが今後生まれると思いますが手段や過程の結果であれば、また必ず復活するはずだと思うのですが。

    また、世界トップクラスの頭脳と感性をもつプロ集団の各企業がこぞって倒れるほどの大失敗するのはどうしてなのか疑問です。景気は悪いですが、それでも儲けてる個人はたくさんいますし、何もそこまで損しなくとも・・と思います。勘弁してほしいです。

  19. Kuro より
    プロに振り回されています。

    今の投資銀行業界、わずかな血栓で多臓器不全を発症したように見えます。1930年代とは違い、現代では病の特定と前置治療が可能にもかかわらず、自己診断で未承認の劇薬を常用した結果、FRBへ緊急入院。他の治療法はないのでしょうか、、。有事債をつくるとか、

  20. フジタホルダー より
    TOB

    ゼネコンのフジタがゴールドマン・サックス子会社にTOBされることになりました。これも今回の現象の一端なのでしょうか。
    よい会社を買って長く持つのが個人投資家の勝つ方法だ、と貴方のブログでうかがったのですが、投資銀行のパワープレイに敗戦処理を強いられたようで…無念です。

  21. トンkun より
    Unknown

    リスクは自分たちで勘定していたわけで、それで全世界の金融に悪影響を与えないで欲しかった。
    自分たちのゲームだったのだから。
    実体価値のあるサービス&プロダクトの少ないイギリスなども、もう本当に見習わなくて良いですね。

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