2007/06/14 09:54 | サブプライム | コメント(7)
今一度アメリカの経済状態をチェックする
のどもと過ぎればなんとやら、とはよく言ったもので、ダウはあっという間に187.34ドル戻って引けまして、上昇幅だけ見ればほぼ11ヶ月ぶりの数字。これまでの狼狽ぶりがうそのような回復です。
きっかけはベージュブックの内容と小売売上高・・・・だそうですが、いずれも予想の範囲内ですし、突然好感してあがるような内容では決してありません。債券売りが一服したことも要因ですが、一時的反発に終わらなければいいけどね、と今回は冷静に見るべきでしょう。
というのも、日本ではほとんど報道されることはありませんが、引き続きアメリカにおける住宅市場が軟調であるという事実がほとんど無視されているのです。CNNなどを見ているとトップニュースになるのですが、最近注目されているのは住宅ローンのいわゆる差し押さえ率というやつ。
ローンを払えなくなると金融機関はその住宅を差し押さえにくる訳ですが、アメリカの住宅ローンはMBSを通じて供給されるため、国債の金利水準に直結しており、ここ1?2ヶ月の金利上昇により、住宅ローンにおける支払い金利の増加が著しいであろう・・・と先週書きました。
当然払えなくなる人が頻出しまして、全米の差し押さえ率は昨年の前年同月比なんと90%アップ!! カリフォルニアなどが最もひどいのですが、ネバダ州ではなんと166戸に1つが差し押さえ物件というデータも出てきてさすがにびっくり!!
最近では、頭金もなしに年収3万ドル程度のサブプライムぎりぎりの世帯がローンを抱えて10万ドル程度の家を買いますので、住宅ローン金利の感応度の高いアメリカでは金利上昇は大変なダメージです。これだけの差し押さえ率ですから、ミドルゾーンの年収5万ドルー7万ドル世帯も直撃されているはずで、少しでも失業率などが上昇すれば住宅ローンによるダメージは相当なもの。
当然自動車などのローンにも響きますので、ここ1ヶ月の金利上昇のダメージを引き続き図り続けることが肝心です。CDSももちろん広がり始めていますが、全体としてはまだまだタイト。時間はかかりますが、同じように金利上昇のダメージが特に格付けの低い企業の金融を圧迫しますので、倒産率が上昇するかどうか、特にCやCCなどのかなり低い格付けの企業群の倒産率は現在1%台と信じられないような低水準ですから、引き続き注意する必要があります。
その意味で・・・
繰り返しになりますが、アメリカ経済が危機に直面するとなるとこの住宅セクターと企業倒産率が大きく動き出す(金利上昇がきっかけで)ということが必ず起きる筈ですので注目が必要です。いずれの数字も日経などはきちんと報道しないのでウォールストリートジャーナルの電子版などで確認をするくせをつけましょう。
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7 comments on “今一度アメリカの経済状態をチェックする”
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住宅ローンの門前払いが五十万件、と流されていたので、流石にやばいとあちらさんも手を打っているのでしょう。米の利下げを既に市場は織り込んでいるのではないでしょうか?
米トヨタでさえ販売奨励金を付けなければ売れない、と言われていますし、ガソリンの高騰、ハリケーンの発生予報の高さ、まだまだ???の連続帯で、イラク戦出費の増大といってもベトナム戦に比べればまだ%が低い。
それよりも爆弾よりも、正体不明のヘッジファンドテロの方が恐いのではありませんかねぇ?金をテロに使うことを考えている連中がいるんじゃござんせんか??
CNNが貴殿と同じことを言っていたのを思い出します。アメリカ市場の動向は引き続き要注意ですね。
いつもながら貴重なコメントをありがとうございます。
>政治には関心が乏しい、と来なくてはならない
たいこもち過ぎてあいた口がふさがらないんですけど、
方やぐっちーさんからは、あんまりそういう雰囲気は感じないんですよね。ところが、お2人はわりと近しいようで。まーったく縁もゆかりもない一ブログ読者としては不思議だなぁというかぎりです。じゃぁ読むなって感じなんですけどね、そこはやはり鋭いことは鋭いので、ついつい読んでしまいますが。
またですか!
あなたは状況が悪くなるといつも、「危ないぞー気をつけろー!」、
良い時は、「いいねー絶好調ー!」って
そんな世の中のムードそのまま言ってなんの役に立つんですか。
悪い時こそ、「大丈夫、これはこうこうでこうだから心配しすぎるな」と
良い時こそ、「調子に乗るな、こうこうでここらが注意だ」
って逆の情報が欲しいんです、冷静な。
常に一貫した僕らのアイドル堀古さんが更新しましたよ↓
「第197回 長期金利の上昇を受けて」
https://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/wallstreet/in05_report_wallstreet_20070611.html
偶に覗かせて頂いていますが、クラシックカー市場も去年の秋頃は完全に売り手市場だったですが、今は車を選べる状況、更にはお金を掛けて半分位までレストアしているのに、完成途中で格安で売りに出ている車も目立つようになってきております。
ブルームバーグを見ていたら、中国が米国債を売るのでは?
との問いに、グリーンスパンは
『買い手がいない』
同じような事を、我が国の債権ですが、福井総裁が今日言ってますね。
壮大なる踏み倒しであります。
米国は安泰でありますな。
上の方、米さんののクラシックカー市場ですか?
車次第でありますが・・・最近アメリカ製のロールスが日本にかなり入ってきてますね。程度は良さそうです・・・お一つ、どうぞ
日本の企業は従業員の給与を上げれないのですね。
利用者がお金を使わないと思っているからでしょうね。
景気がよくなったといっても、みんながお金を使わないのですから、無理ですね。
何がいいのでしょうね?もう必要ないことにお金を使おうって人も少ないですよ。全てのサービスに飽き飽きしている日本人は多いですから。ネットのおかげでしょうか?企業努力のせいでしょうか??
みんなが喜んでお金を使える日本になればいいのでしょうがね。