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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2006/01/20 16:09  | 音楽 |  コメント(12)

今年のクラシック戦線


やれホリエモンだ、東証のタコ!だ、とか騒いでいると流石に魂のステージが落ちてきてしまい、疲れがたまって参ります(わしは江原啓之か・・・笑)。でも、これはほんとですね。


ということで表題。
これじゃ、競馬のクラシック戦線みたいですけど、実はクラシック、そう今年日本で行われるクラシック音楽のコンサートガイドでも書いて心の平安を取り戻したいと存じます。


昨年はよくも悪くもベルリンフィル+ウィーンフィル同時来日、しかもラトル対ムーティというガチンコ勝負がここ東京を舞台に行われた事がやはり一番の話題でしょう。
さて、今年はどんなもんですか?


まず、基本知識として日本では秋になりませんとろくなものが来ません。


というのもヨーロッパでは長い冬があけ、丁度イースターを迎える春こそがクラシックのベストシーズンの始まりでして、そこから夏休みのバイロイトなどに代表される音楽祭までがいわばレギュラーシーズンなのです。従いまして一流どころが日本に来るのはどうしてもそのあとになってしまう訳です。


ですから春先に来る人々は失礼ながら、まあ、2流と言った所で(ヨーロッパでは客を集めきれないという意味です)、その意味ではこの時期は国内の演目を探したほうがいいかもしれません。目に付くところでは小澤征爾新日本フィルのブラームスシリーズが5月に行われますね。ブラ1とバイオリンコンチェルトの組み合わせ、売り出し中のアラベラ・シュタインバッハーがソロなのでこの組み合わせはおもしろい。新日本フィルも小沢さんの時は同じオーケストラとは思えない音を出しますのでこれはお勧めできると思います。


さて秋の外タレ部門では、10月になりますと、なんとなんとルツェルン音楽祭のルツェルン管弦楽団がそっくりそのままのフルメンバーで初来日。しかもお相手は病み上がりながら、久々復活のクラウディオ・アバド!!
アバドは今更解説は不要でしょう。病気で療養していましたがついに復活、円熟味がますます増しており、どうも体調はあまりよくないようなのでラストランの可能性は十分。ルツェルン管弦楽団は、ベルリンフィル、ウィーンフィルのOBにヨーロッパの様々な一流オーケストラの現役を組み合わせた夢のオールスターオケですので、これが日本で聞けるというのも凄いし、アバドと組み合わせた音のケミストリーがどんなものになるか、ぐっちーですらマッタク想像できないという代物。これは聞き逃せません。


さらにさらに、同時期に来日するポリーニ!! とのコンチェルトが予定されており、どうもブラームスピアコン#2 が演目との評判。うーむ、これはとんでもない事が起こりそうであります。20世紀最後の大演奏が調合されるかもしれません。


11月にはウィーンフィルがやってまいります。
こちらでもよくコメントを頂いているシステム5.1さんご愛顧のアーノンクルとの組み合わせ。モーツァルトあたりは必ず入ってくるでしょうが、アーノンクル+ウィーンのモーツァルトはそれこそウィーンでもそうそう聞けないのでこれはプラチナ必至の演目です。何がなんでも行きましょう!


私はあまり得意ではないのですが、システム5.1さん銘柄で、ロシア人にしては妙に洗練されているマリス・ヤンソンスが11月に来ます(正確にはラトビア生まれなんですが、私にはロシア人のオヤジに見えます)。ヤンソンスはまあ上手いね、という感じの指揮者ですが、ロイヤル・コンツェルトゲボウは一度聞かれる価値がありますし、ヤンソンスとはとても息が合っていて、本当に美しい演奏を聞かせる組み合わせです。


ロイヤルは昔、アムステルダム・コンツェルトゲボウといっていたのでこちらのほうが馴染みのある名前かもしれませんね。名前の通りオランダのオーケストラですが、オランダは地理的に欧州の真ん中にあるのでそれこそヨーロッパ中の名手を集めたというオケでして、とにかく滅茶苦茶上手い。いわばヨーロッパのインターナショナルオケとも言うべき存在で、ウィーンフィルを後期ロマン派に忠実な欧州の伝統的オケと位置づけると、その対極にあるオケがコンツェルトゲボウと申し上げて良いと思います。いわば「欧州未来形オケ」ですね。大変モダンな音が出ます。


これを小沢さんあたりが振ってしまうと何となく「早い、安い、うまい」、になってしまい、あまりにもきれいにまとまりすぎて 「おいしいんだけど、何かが足りないな?」になるのですが、野趣たっぷりのロシアオヤジが振りますと、あーら不思議、おいしいブイヤベースにロシアきのこを入れたようなお味になる訳ですな、ってわかりますかしら? 初体験のインターナショナルなお味をお楽しみください、という所でしょうか。


後はポリーニが当然リサイタルをやる訳でして、もう、これについては解説はいりませんでしょう。残念ながら後藤みどりねえさんは来ないみたいですね、今年は。


という事でこれらを全部見に行くと占めて30万くらいの予算ですが、決して見て損はないチョイスだと思います。海外旅行一回諦めてもらえればOKですもの。


ぐっちーはその日に備えて今からお金を貯めている訳です。
ですから、あまり飲みに誘わないで下さい。お願いします。
あっ、でもおごっていただけるならいつでもOKですが(笑)。


では、よい週末を!!

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12 comments on “今年のクラシック戦線
  1. かんべえ より
    もうひとつのクラシック

    クラシック戦線で稼いだお金を、
    クラシック戦線に投入する・・・というのは、悪魔のささやきでしょうか?

  2. おおみや%バイト君 より
    いやぁ

    上の方に悪魔のささやきがあるようですが….

    せっかくマンデル先生からお告げが降ってくる
    ことですし、去年の有馬のこともありますし、
    ここは別のクラシック戦線へのご参加を是非
    ご検討いただきたく

  3. Hache より
    ありゃま

    心が洗われる記事を拝見してコメントが数が2となっておりました。コメントもさぞかし充実したものと思いましたが・・・。別の意味で充実していてぐっちーさんの背中が煤けているように思いました。極悪師匠のコメントを読んで思わずキーボードカバーの上にお茶がこぼれてしまった時点で負けでした。「解脱」しようとすると、下界は楽しいよと囁くなにかが現れる微笑ましい光景ですね。

  4. desire より
    始めまして^^

    初めて訪問させて頂きましたが色々と勉強になる内容でじっと色々拝見させて頂きました
    又来させていただきます

  5. 樹衣子 より
    クラシック戦線参加予定

    こんばんは☆
    昨年秋に、ベルリン・フィルをベルリンまで聴きに行ったのに、確かに会場はカラヤンの本拠地、カラヤン・サーカスでしたが、日程変更でベルリン・ドイツ交響楽団(指揮:佐渡裕さん)になってしまいました。。。

    >アーノンクル+ウィーンのモーツァルト

    だからというわけではありませんが、今年の私の目標管理のトップは、ウィーン・フィルを絶対に聴きに行くことです。生誕250年でこの組み合わせを聴き逃したら、一生後悔しそうです。ただ、チケットがとれるか心配。

    ヴァイオリン族としては、ヒラリー・ハーンも聴きに行く予定です。彼女はもう知名度抜群で売れていますが、音楽家に関しては、先物買いでっす。
    それでは、いつも楽しくて読みごたえのある記事をありがとうございます。

  6. ぐっちー より
    うーむ

    すばやいコメントを頂きまして感謝申し上げます。ぐっちーもあれこれありNYK対応で居残りですのでさくさくお返事してしまいます♪

    かんべえ先生
    いやはや、そう来ましたか、参りました(爆)。
    悪魔どころじゃないっすね、ホント。まあ、やめられないでしょうけどね。目標にするのはやめときます(笑)。

    おおみや%バイト君さん
    はい、おっしゃる通りかと(笑)。

    Hacheさん
    まったくでありますな。まあ、わかっちゃいるけどやめられない、と至極名文句なわけです、はい。

    desireさん
    いらっしゃいませ。お目汚しになっていない事を望むばかりで御座います。また来て下さいませ。

    樹衣子さん
    お久しぶりです。そうですよね。これは聞かなきゃいかんですよ、絶対に。
    当然チケット争奪戦はかなりのものになるでしょうね。私はサントリーホール会員向けの優先予約に賭けてます。まだ先の話ですが頑張りましょう!

  7. 一匙 より
    マリス

    新春のニューイアーコンサートで絶賛されてましたから
    競争率が高くなるような気がします。
    それにしても、深夜まで居残り大変ですね。
    くれぐれもお体に気をつけてくださいまし。
    なんか囁きがあってもキニシナイ!
          (♪2月にはフォーシーズンに白トリュフが来ますぞ?
          (♪酒が飲める飲めるぞ? 酒がのめるぞ?

    >かんべえ先生
    新春のパイロン・ウイーン氏の予言は、まだでしょうか。
    是非是非お願いいたします。

    >東証
    システムの投資は、よくわかっていている人がやらないと駄目なんで
    今の東証の人ではなく、
    ?システム構築におけるゴーン氏みたいな方をアメリカから連れてきて
    陣頭指揮してもらい
    ?新生銀行のインド人、パワー山フレックス男(仮)さんを借りて
    インド人部隊を作り
    ?並列化されたシステムを1から構築する
    のが、最短で賢明だと思われます。
    このままだと市場としての価値がなくなってしまいます。

    与謝野金融担当相がご自身の権限で予算を使うのです。
    応急・緊急措置ですから、断固としてやるべきでしょう。
    株や投信の購入・解約にシステムで支障がでるなんて、もってのほかです。
    日本を救うために、与謝野氏も、中川農水相なみに貢献できる筈なのです。

    予算といっても、東証の利益をシステム投資にあてるのではなく、
    リーマンブラザースとかHSBCとか日興とか野村が
    去年のみずほ事件で東証に拠出した資金を使うんですよ!
    これ言うの私が初めてかな?
    あの資金の使い途に、これ以上有効なことってありますか?
    与謝野氏が動かないかぎり、あの資金はガキの金銭教育だとかいって
    溶けてしまうのに
    本当にもったいないですね。

  8. システム5.1 より
    ヤンソンス

    はいはい、私の銘柄ですねヤンソンスは。でも、アーノンクルは違いますよ(笑)。ヤンソンスは間違いなくラトビア人。でも、暗くなく、闊達な指揮者。上手いかなあ(笑)。一応、私も指揮者をかじったことがあるのですが…。昨年秋のバイエルンに続き、今年はロイヤル・コンセルトヘボウですが、これもグッド。この組み合わせではペトルーシュカのSACDなんかお勧め。録音も良く楽しめます。今年のニューイヤー、最近では出色の出来ではないでしょうか。一言で、聞いていて楽しかった。それから、ヒラリー・ハーンも好きです。若くてあっさり。ムターの対極にいます(今、このコメント、ムターのモーツアルトのバイオリン・コンチェルトを聴きながら書いています)。

  9. 浅野里奈 より
    pko

    一般人にはPKOらしき取引とは、どのように見抜けばよろしいですか。

  10. ぐっちー より
    なるほどね

    一匙さん
    ウィーンフィル・・・おっしゃるとおり激戦でしょうね。
    東証・・・名案だと思います。それ使えばかなりありますからね。いっぺんにシステムアップ可能ですね。

    システム5.1さん
    アーノンクルは違った?? だめだな?、酔っ払ってると(爆)。まあ、ヤンソンスで勘弁して下さい。

    浅野里奈さん
    買い方、ということですね。今東証で買う人は外人、個人、投信、そしてPKOとおよそ分けられる訳です。個人はライブドアみたいなものしか買わないし、外人はストラテジーをかなりクリアーにして買ってくるので自動車!! 金融!!とか指定してきますのでこれもすぐわかる。投信も設定内容がわかっていますからそれと注文をだす証券会社の組み合わせですぐわかる。PKOはそういった脈絡からマッタク無関係に、価格を上げる事が目的ですから、言ってみればインデックスに近く、かつインデックスではありえんような巨額な注文がでるのですぐわかる訳です。一般の方でもとりたてて大きな材料がないのに、あらゆる銘柄、特に225採用銘柄が一斉に上がって画面が赤くなっている時は間違いなくPKOと判断して頂けます。政府関係者、及び当事者である郵政の指定単の担当部署などは今でも「そういう事実はない」と答える事になっています。いかにも日本的ですね(笑)。

  11. 只野主任 より
    コンセルトヘボウの変化

    ハイティンクがシェフだった頃は花曇り、春霞などと言われその渋いくすんだ音色に溺れるファンが多く、SKD、VPOと同じくインターナショナルな響きではなかったと思いますし、実際彼もその変化を嘆いていますし地元での批判もあるようです。シャイーの時代にそうゆう変化が起きたと思われますが、実演でもシャイーにはぴったりの妖艶なけばく派手な、なにかフィラデルフィアを思わせる魅力的な音色でした。しかしシャイーと同じエンターテナー系のヤンソンスにも馴染むと思われた響きがどうも硬く荒く感じられてバイエルン放送響、VPO,BPOでの名演と比べると期待していただけにちょっとがっかりします。なにかハイティンク時代のあの響きが二度と取り戻せないとてつもなく大切なものだったように思います。あの響きでヤンソンスを聴きたかった。

  12. 只野主任 より
    ozawa の変化

    欧米人から視れば、小澤征爾は足りないものを求められているわけではなく、早い、安い、うまいに加えてリズム感、響きの自然を連想させる色彩感に全く作為を感じさせない音楽そのものと思わせる魔術師に観えると思います。まさにぐっちーの愛する素直な日本人?中にはボストン響のあるトランペット奏者のように求める人もいましたが、団員、聴衆から総すかんを食います。だって響きを構造的に組織するなんて頭の片隅にもないバーンスタインがBSOを振ったときの酷さを聴けば解るでしょう。(VPOではカバーしてくれますが。)その点で小澤征爾は100%カラヤンの弟子で、佐渡裕はレニーの弟子です。ところが巨匠になるためにはそれを気にしてかドイツグラモフォンのプロコフィエフ交響曲全集のあたりからテンポの作為的な揺れが目立ち、以前のキレも消えてきました。カラヤン没後?周年BPO記念演奏会の悲愴交響曲ではミスキャストと思わされました。やはり求められてはいないものを自らが求めては自滅です。

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