2005/05/10 13:36 | 社会 | コメント(0)
イラクで日本人拘束・・・斉藤さんのこと
何を言いたいかと言いますと、今回の米国によるイラク占領の特徴はラムズフェルドの究極の産軍複合政策にあります。つまり、表面上米軍は当初から計画通り派遣人数を減らしつつあり、またその作戦展開規模に比べ極めて小数の軍人しか投入していないと胸を張って「効率的な戦争だ」などといういわば「捏造」を当初から行ってきている訳です。軍人は確かに少ないかもしれませんが、当然その他業務は全て民間に移管されます。もちろんお金は払う訳で、文句あるかね、ということにはなるんですが、民間人の命が危険にさらされている事に変わりはありません。
もとより命に差があるとは申し上げませんが、軍人の犠牲を減らすために民間人が犠牲になると言う構図には変わりありません。これを称して「小規模な作戦展開」により「効率的にイラクを解放した」とラムズフェルドは言った訳です。ちょっと??ですよね。
今回はたまたまイギリスの警備会社の社員だった齊藤さんが被害に合われている訳ですが、他にもなじみのあるところでは、郵便業務はFEDEXが、現地の輸送運搬業務はOshkosh Truckが、現地の軍隊の食堂はかの有名なハリ・バートンの子会社がそれぞれ受け持っています。他にも兵隊が使う携帯電話のモトローラ、面白いところではP&Gなんかも請け負っていて、それぞれが保守、サービスのために民間人を社員として送り込んでいるのが実情です。これらの業務は例えばベトナム戦争ではそれぞれ、通信兵、輜重兵などとして全部軍人が取り仕切っていた業務です。
もともとアメリカの産軍複合の歴史は長く、例えばコカコーラはベトナム戦争で急成長した会社です。兵隊とともにコカコーラのタンクを背負って、あちこち走り回ってコーラをついで回った訳です。これが戦後のコカコーラのシェアー急拡大に大いに役に立った訳ですが、当然社員の戦死者がたくさん出た訳です。
ただ、今回これほど大規模にPMC(Private Military Services)が展開された例は過去に無く、当然日本人も多数働いているので、いつかこういう被害が出るのでは、と恐れていた訳です。こういう民間企業には簡単な武装警備会社(これもPMC)が付いてはいるのですが本職の軍人ではありませんから、そのリスクたるや自衛隊の比ではありませんし、当然狙われます。
見えないところでこういうリスクが増え続けており、アメリカ国内でも「要は民間が肩代わりしているだけではないか」という議論がようやく増えてきました。
齊藤さんに関してはとにかくご無事を祈るだけですが、こういったリスクを背負ったイラク問題と言うものを今一度見直してみて頂きたいと思い、触れてみた次第です。
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