2010/10/13 07:52 | マーケット | コメント(15)
破綻は予測可能
当欄はもちろんアエラでも破綻すると断言していた商品の一つであるラブホテルファンドが遂に破綻。
何人もの読者の方からお礼のメールを頂いてしまい恐縮していますが、破綻は十分予測可能でした。
アエラのO記者によるとアエラに書いたのが2008年6月だそうで、どことは言いませんがそのファンドを大々的に宣伝していた経済専門誌も当時多数ございましたので「破綻する」と断言するのは結構勇気がいりました。でも確実に「破綻」が予見できたのです。
それを「奇跡の商品」として証券化して販売したのですからまあ、すさまじい。
百歩譲っても所謂生産人口の高齢化によりそういった産業の「長期低落傾向」は2000年以降極めて鮮明であったのです(笑)。
これは一つの例ですが、他の商品も似たり寄ったりです。もう今更どうしようもないでしょうけどね。
以下記事を引用します。
ホテルファンドに賠償請求へ=出資者に償還、元本の2割未満―高配当で注目集める
時事通信 10月10日(日)2時40分配
高い利回りをうたって、各地でラブホテルを運営するファンドへの投資を勧誘した東京都内の不動産関連業者が、8月に運用期限を迎えた出資者に元本の約16%しか償還できないと通知したことが9日、分かった。損失は総額30億円を超えるとみられ、一部の出資者は業者側に損害賠償を請求する準備を進めている。
問題となっているのは、グローバル・ファイナンシャル・サポート(GFS、渋谷区)が2007年夏、1口50万円、予定利回り年8.4%で出資を募った「HOPEラスト優先出資匿名組合」。GFSのファンドは、ラブホテルを扱う点や配当率の高さに注目が集まり、経済誌などで紹介されていた。
GFSは募集要項で、総額50億円をホテル購入などに充て、営業で出た利益から出資者に配当すると説明。3年後にはホテルを売却し、代金を償還するとしていた。
出資者側の弁護団によると、最初の2年間は配当があったが、GFSは今年8月、「不動産市場が失速し、ホテルの評価額が約17億円にとどまった。運用期間を延長しなければ、1口8万24円しか償還できない」と通知した。
弁護団代表の荒井哲朗弁護士は「わずか3年で大暴落したという説明には強い疑問がある」と指摘。「高配当を過度に強調した勧誘が行われ、リスクについて説明義務を果たしていない」としている。
グローバル・ファイナンシャル・サポートの話 取材は受け付けていない。
原因は簡単で、生産人口が縮小し続け需要は減少の一途をたどるのに、不動産ファンドだけは未来永劫そのビルや住居にテナントや店子が入り続ける前提に立っていること。
家賃が下がるという前提になっていないこと。(それどころか大多数は上がるという前提になっています。付加価値をつけることで家賃の上昇が可能だそうです。うそだということは六本木ヒルズや六本木ミッドタウンに行ってもらえばわかります)
建物の修繕等に関する実行可能性及び費用見積もりが極めて甘いこと(住民のうち一人でも修繕に反対すれば集合住宅では修繕不能になる可能性が高く、その場合は資産価値はおろか、良い借り手はどんどん出ていき、ますますキャッシュフローは悪くなる。その時に8掛けで損切ればいいようなものだが、証券化商品になっているために他の不動産もろとも売却するのは大変な労力がかかるのは当然)
そもそも建物が値下がりするという前提が全くないこと・・・等々
従いましてそうこうしているうちに建物の価値はどんどん下がり資産価値そのものが売っても回復できないまでに沈んでいきます。
シニア債権といえども結局2割程度残ればいい方なのではないでしょうかね。
ということで証券化商品の原資産としては日本の不動産は極めて不向きです。未来永劫利益を生み出しうるような企業とは訳が違うし、アメリカのように建物そのものが100年を前提に作られているようなものでもない。ここは日本の特殊性なのです。
ということで騙されなくて本当に良かったですね、ということになりますがすべて予見可能ということもよく覚えておいてください。
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15 comments on “破綻は予測可能”
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あまがみ大王降臨します
東京大手町に月坪6万円を超える不動産が存在しているのも事実。
東京大手町から歩いて10分の所に月坪1万円でも店子が入らない不動産があるのも事実。
地方都市の中心市街地で月坪1.5万円で店子が見つからないと嘆いているオーナーは、地域間格差という訳のわからん理屈で無理やり納得し、座して死を待っている。
生産年齢人口が減れば、オフィス床需要が無くなるのが当然。空室が目立つのも当然。
しかし、世の中には、景気が悪いからと妙に納得しようとする空気が蔓延している。
こんな状況が、約20年続いている。
出生率という数字もいかにも怪しい。
産める人の絶対数が減っているのに、出生率ばかりを追っかけている人達は本当に頭大丈夫か?問題は、率では無くて、実数。
地方都市のあるデパートは、過去10年間前年度比マイナス5%の売り上げと言ってきて、気付いたら10年前の売り上げの半分になったと嘆いていた(笑)
ラブホテルファンド破綻の件はぐっちーさんの予想通りでしたね。
しかし,まだまだ予備軍があります。筆頭はパチンコファンドでしょうか。
サラ金がダメになり,個人の所得も減ってパチンコホールだけが供給過剰の中,
高利回りのファンドなど無理だと思うのですがね。(笑)
いつの世も名前を変えて怪しい投資商品は出てくるものです。
昔,「抵当証券」。今,「リート」。
>証券化商品の原資産としては日本の不動産は極めて不向きです。
海外の特に新興国、途上国の物件はもっと危ないって事になりませんか?
現地の人が支払えるわけのない、外国の富裕層目当ての物件が異常に沢山あります。3桁くらいあるのでは?
私は某国に居るのですが、最近新築されたコンドミ SVの物件なんて1/10も入居していません…
そして日本の場合は、過度に細分化され分母が大きかったような気がしますが…
日本に限らず世界中の証券化商品が危ないのでは?
最近気になるのが、今まで事務所にふんぞり返って、ゴルフに夜遊び釣りを楽しんでいた 欧米人個別に営業回ったりしてる事でしょうかねwww
なのは・・
ラブホテル・・知悉・・
研究費・・愛宕山の如し・・
研究女性パートナー・・大奥の如し・・
ビデオ使用・・消し忘れ多し・・
闇のルートで・・ぐっちーさんと・・出遭えるか・?・・
酷いファンドはゴロゴロあるようで。
あんなものいいわけないだろ、とさんざんボロクソ喚いていたブリ・・・ゲホゲ゙ホ・・・にもそれは酷い・・・ゲホゲホ・・・元本がいくらになって・・・ゲェホげホ
風邪が流行り始めております、ご自愛のほどを。
チリ鉱山事故、助かってよかった。
いやいや、パチンコはまだ伸びシロがあります。アニメ制作会社の買収や出資をすごい勢いで進めていますので、そのうちにパチンコ限定商品が出てくるのは確実です。(円谷プロダクションの51%の株式はパチンコ開発販売会社のフィールズ株式会社が所有など。)アニメのパチンコ限定グッズを出したり、韓国のプロダクションに出資して韓流スターの限定ブロマイドをわんさか刷るとか、提携してくれるコンテンツがなければ自分たちでコンテンツまで作ってしまうなど何でもやってくるでしょう。
と、偉そうに言ってますがイラクディナール詐欺に騙されそうになった人間の言うことです。最近ではペニーオークションにひっかりそうになりましたし、本当に心のスキマに入り込んでくるような物が多いですね。そういえばアニメ制作ファンドは軒並み失敗したんですよね。なんでだろう。
やっぱりそうなんだなあ。
うまい話には裏がある。
高い金利にはうそがある。
最近、リートいいかなあ?と思ったんだけど・・・。
だまされるところでした。
ありがとうございました。
皆さん、自慢話はしたくて、しようが無いんだね。ウズウズしているのだ。まあいいだろう。
で、ぐっちーさんの自慢話は、何だっけ?あそうかファンドの話だったね。
Jリートとか、怪しげな不動産ファンドは危ないよということが、見事的中したんだね。よーく分かりました。
お見事!ってか。これからも先取り情報をお願いしまーす。
どっかの国の中央銀行がREITを買い取るとか言ってましたねえ。
元はと言えば税金を、ゴミを買うことに使うんですよね。
まったく、そんなバカ政府を選んだ国民の顔が見たいです。
REITに関しましては、いろいろと論点はあると思いますが、いくつかの点について述べさせていただきます。
まず、「家賃が下がるという前提になっていない」というのは一方的な見解でありまして、景気が悪くなると家賃が下がるのは当たり前のことです。それを考慮に入れないのはよっぽどうかつな投資家のみです。もともとREITには利回りの保証はありません。
次に、確かにご指摘のように費用見積もりが極めて甘いなどの欠点はあると思います。それ以上に、そもそも不動産の鑑定評価額が極めて恣意的に決められているような場合も散見されますし、スポンサー企業の物件を無理やり高額で購入させられているようなこともあるようです。その点についてはREITを含む不動産証券化商品の持つ欠点といえるでしょう。
最後に、「そもそも建物が値下がりするという前提がない」というのも一方的な見解でして、物件価値の本質的な減少は減価償却費を内部留保することによってヘッジされているわけです。それを次の物件の購入に当てることもできますし、資本的支出として物件の改修にも利用できます。市場の需給によって物件の価格が変動する事に対しては、ある意味どうしようもないわけですが、価格が下落したときに対する含み損は、もともと鑑定評価を適切に行って物件を安目に購入することである程度は回避できます。また、長期的な資産運用という観点に立てば、将来景気が回復して需給が改善されると、含み損が解消される可能性もあるわけです。(REITにはラブホファンドHOPEのような償還期限はないわけですから。)
騙されるという訳ではありませんが、情報を的確に分析できないと損をするということは事実だと思います。たしかにHOPEはひどいと思います。これについてはもともと情報があまり開示されていなかったわけですし、投資には十分注意を払うべきでしたね。
確かにこの件については、貴ブログで拝見した気がするので2008年の5月ごろからずっと見直してみて・・・
その記事は見つからなかったのですが、リーマンショックの直前の頃でしたね。
あー、ずっと「危ない、危ない」って言ってるな〜・・・
そして9月15日
http://guccipost.jp/cgi-bin/WebObjects/12336a3d498.woa/wa/read/123a1865761_0/?date=2008%2F09%2F15
最後に「これは間もなく欧州に飛び火します。」
いや。お見事です。
もっと自慢なさっても結構だと思いますw
先日ホノルルに行ったら、
某リゾートホテルの「タイムシェア」のセールスにみんな必死でした。
「登記できる不動産です」って強調してましたが、
「利用できる時間の権利をみんなで分け合う」って、不動産っていうんですかね?
これこそ、「証券化」「細分化」の典型では?
かなりの確実で破綻しないファンドなんて作れませんかね?ホテルファンドと同等の利回りで・・・。ぐっちーさん期待してますよ!
にしても、グッチーポストを読んでなければこういった類のぱっと見てうまそうな話にわたしも手を出していたかも?
大切な財産をどうやって守るか(運用)を考える際にうわさや営業マンに流されることなく自分自身で考える際、最低限の知識や現状分析はこのブログを見ていればつくと思います。
下手な○経新聞の記事より本当に勉強になります。
リートのくだりを拝見すると、「土地活用」をうたって、不動産業と化した農家の土地に30年一括借り上げ保障をしてアパートを建てている事業も結構危ないということでしょうか?
やたらとノボリが目立つので気になってはいるのですが。
本業を「不動産管理業」と言って憚らない農家には同情もありませんが。
「この際誤解を恐れずにいいますが、リートを含む不動産証券化商品は大なり小なり同じ問題を抱えています。
原因は簡単で、生産人口が縮小し続け需要は減少の一途をたどるのに…」
これ、
「この際誤解を恐れずにいいますが、日本の資産を原資産とする金融商品は大なり小なり同じ問題を抱えています。
原因は簡単で、生産人口が縮小し続け需要は減少の一途をたどるのに…」
とも言えるような。
つまり、この国の問題そのものなわけですが、あまりに全てに妥当しすぎる話、万能句は、ゼロを語るに等しい様にも…