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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2005/03/23 09:38  | 金融経済解説 |  コメント(2)

世の中で一番正しいLBO解説

あちこちでかなり誤解されているので、改めてポイントをアップします。

1.公開買い付け価格

2割上だとかテレビで言っている専門家と言われる人たちが多いのであきれます。それではだめです。2倍、3倍のTOB価格をわざとつけるんです。

2割程度だとこれに応じないという選択肢が正当化される可能性があります。つまりTOBの成功が保障されていない時点では2割程度のプレミアムでは手放せなかったという言い訳を株主がするわけですね(この場合は特にフジテレビの親密先)
ところが2倍だったらどうでしょうか? この先株価が瞬間的に2倍になる可能性を見ていたので売らなかったなんて言い訳は通用する筈もなく、ホリエモンが嫌いだから売らないなんてことは言ってられないわけですね、株主は。瞬間2倍で売れるという高収益チャンスを逃す訳ですから、代表訴訟には絶対耐えられません。従ってこの値段でTOBを仕掛けられてしまうともう、売らざるを得ない。これが基本中の基本。

2.借り入れ

いくらフジの資産が大きくてもそんな値段でTOBしたらどうやって資金調達をするのかね、という話が多く語られてますね。全く違います。資産に見合った適正な範囲の借金をすることはLBOとは言いません。下手をすると資産の倍くらいの借金を抱えさせるのです。

借金漬けにする

というのがこのスキームのポイントなんです。それが Leveraged と名づけられた所以であります。

但し、

金利の払いがキャッシュフローの範囲内で

というのが条件です。

すなわちインタレストカバレッジレシオと呼ばれる数字を見ておりまして、キャッシュフロー/支払い利息が2倍程度に収まっている限り、その借金総額がいくらであれ、借金を払い続けている限りその会社は倒産しない訳ですよね。あとはこのキャッシュフローがあまりに上下するようでは、そんなのあてにならん、という話になってくるんですが、前にも書きましたようにフジテレビは広告収入が非常に手堅く入ってきて、かつ、これはあまり景気変動の波を受けないもので、計算しやすいのです。

予断ですがLBOの教科書では ローテク企業を狙え、というのが鉄則です。
フジがローテクとはいいませんが、そこで言われている意味は、間違っても例えばマイクロソフトなんかをLBOしてはいけません。なぜか?? 技術革新が激しすぎて明日には持っている技術が陳腐化しているリスクがあるんです。これ以上技術革新のしようが無く、マーケットシェアーが安定している企業がキャッシュフローにぶれが少ないためにLBOの対象となる訳です。

フジがローテクとはいいませんが、地上波という技術が既に成熟化してしまっていること、何よりマーケットシェアーに殆ど変化が無いこと、そして参入障壁が極めて高いことを考えるとそのキャッシュフローは潤沢かつ安定的ですので、3000億なんてせこいことではなく、1兆円だって調達できてしまいます。

銀行は貸さんだろうって??

いいえ。問題ないんです。そこでジャンクボンドが登場するんですね。アメリカで1980年後半に起きた手法は金融機関はあくまでこのジャンクボンドが発行するまでの繋ぎ融資を行い、ジャンクボンドは一般投資家が買うんです。フジテレビ、年利5% 期間5年なんて債券が発行されたとすると、むしろ買わない理由は無いんじゃないですか、みなさん。アルゼンチン3%だって売れたんですからね。

このLBOを語るに於いてはこのジャンクボンド(ハイイールドボンド)というのがどうしても必要なスキームです。「ジャンク」というのは通常BBBを下回ってしまった債券のことを呼び、私のGMの特集で指摘しましたとおり、あのGMはここまで下がってきてしまった訳ですが、こういうLBO銘柄は最初からBBとか、低格付けでスタートする訳です。

当然上場も取り消しますし、BBやBからスタートしたフジテレビの資産をあれこれ切り売りしながら借金を返済、キャッシュフローも一部は元本返済にまわします。景気の変動にあまりさらされませんから5年でも6年でも時間を掛ければよろしい。

最後には借り入れが減少した結果格上げされた収益(借り換え益ですね)と、再上場した莫大な上場益がLBOした連中にはころがり込む、という訳です。

錬金術、といわれる所以が少しわかっていただけますでしょうか。

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尚、このレポートは情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

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2 comments on “世の中で一番正しいLBO解説
  1. でかぱんだ より:
    トラバつけさせていただきます。

    いつも、へーっと頷きながら拝見しております。経済音痴ながらトラバつけさせていただきます。実際、実務でされている方が解説する経済ニュースはウナズキ度高いです。
     あんまり、よくわかってない人がニュースやったり、記事書いているのが、こういうニュースをわかりずらくしているのかなと思います。

  2. wanwan より:
    Unknown

    こんばんは
    ローテクと共に仕入れ比率が高いところも対象になりませんか?

    JALは時価総額6000億ぐらいですし、航空機270機も付いてくるのですから、スカイマークがLBOしたら面白いと思うのですが。

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