2005/04/26 09:07 | 金融全般 | コメント(3)
アメリカの住宅バブルはいつまで続くのか??
註:だめだなー、ろうがんだわ。マイロン・ショールズ博士です。申し訳ない。・・・・
またまたコメントしていただきました。ありがとう!!
アメリカの消費は好調です。少なくとも先月までは。じゃ、でした、か(失礼)。
私が接するようなアメリカ人の多くはNYKなどの大都市に住んでいますが、彼らの多くは住宅ローン(ホーム・エクイティー・ローン)を組んでおり、日本のバブルの頃と全く一緒でエクイティー部分の値上がりを加味してローンが組めるために、例えば1億円のアパートを買うと、月々の支払いが給料の半分くらいで住む相手に対しては1億5千万円くらいの融資が平気で出ます。信じられないでしょうが私が全盛期の頃の「バブル日本」ではこれが当たり前でした。
まったく同じことが起きているのにびっくりしております。貯蓄率の低いアメリカの消費を支えてきたのが正にこれでして、残りの5千万でバブルの頃の我々と同じくポルシェかなんかを買ってしまうわけですな。
その象徴とも言うべきマンハッタンでちょっとした異常が起きています。(あそこはアメリカじゃねーぜよ!、という友人は多いのですが)
俗に「トロフィー」と呼ばれる地区がありまして、これはアメリカ人ではなく外国人が好んで住んだり投資したりしている場所のことです。アメリカではないですが、パリは既に「トロフィー」と化しており、全ての住人の50%は外国人(しかも金持ち)になってしまいまして、フランスの不動産マーケットとは全然別物、になってしまいました。
アメリカでは松井選手が住んでいるセントラルパークのイースト、最近はウェストも、ロスではご存知ビバリーヒルズ、フロリダはマイアミビーチなどがアメリカのトロフィーであります。これらは一般市民が住むという場所ではなく、一部の金持ちアメリカ人及び外国人の投資対象になっている訳です。
マンハッタンに長くいると、ここだけは住みたくないというところがいくつかあるのがわかります。例えばイーストリバーを渡ったブルックリン。日本人的にはそれほど悪くないような気もしますが(広くてのんびりしてる。でもちょっと治安が不安)とにかくアメリカ人はいやがる。しかしトロフィーの影響でマンハッタン全体が値上がりしてしまい、大量にブルックリンに行かざるを得なくなってきて、しかもその中でも「勝ち組」が優良物件をせしめるため、値上がりが続き、10年前で言うとマンハッタンの10分の1位しかしなかった坪単価がいまや半分くらいのところまできた、という状況になってます。どこかで聞いた話だよねー、と我々の世代は思います。
アメリカの住宅ローンは当然担保主義ではありません。本人のキャッシュフローがあるならその分貸してくれます。不動産の価値そのものは融資額などに反映されます。これまで順調に貸し続けた金融機関ですが、いよいよその支払い者のキャッシュフローの限界まで物件価格が上がってきたようだ、というのです。しかもトロフィーはむしろ外国人にリードされているので、その影響を受けるようなマンハッタンはかなりダメージがあるよ(アメリカ経済に無関係に値上がりする可能性がある、パリみたいに)、というのが話の主旨でありまして、もう「いくらなんでもこれ以上借りられないよ」という臨界点まで来たのではないか、というのが多くのジョーンズ先生の実感のようです。ノーベル経済学賞だけにあなどれない発言ですな。
昨日バロンズの特集で大手の家具販売会社の業績低迷が分析されていましたが、私は間違いなくこれが原因だとおもっております。字面の数字が良いのに何か消費が停滞し、株価が不調なアメリカの現状にこのあたりの分析を加える必要がそろそろあるなー、と感じてます。
上記のブルックリンを浦安などと読み替えていただくと、1990年代の日本そのもの、なんですが、だとすると日本と同じような「失われた10年」をアメリカが経験するのでしょうか、バブル崩壊に関しては日本が先輩、とずっと言い続けて来ましたが実はとても怖くて考えたくないんですが・・・・
しばらく注目する必要がありそうです。
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3 comments on “アメリカの住宅バブルはいつまで続くのか??”
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興味深く読ませていただいております。
マイロン・ジョーンズ先生とありますが、Black-Scholes式のマイロン・ショールズ先生でしょうか?もしそうなら、経済学者というより数理ファイナンスの人ですので、あまり経済全体のセンスはどうかと(←すごい偏見)。
住宅バブルは長期金利の水準しだいでしょうか。どうなのでしょうか、長期金利の見通しは?
コメント有難うございます。所がですな、ショールズ博士も、マンデル先生も金儲けは上手なんですよ、これが。変なものに投資をするんですけど、すごいリターン、しかも逃げ足が速い(笑)ですので結構助けてもらってます。ここだけの話し、やはりそれなりのインサイダー情報は握っているんでしょうね。
YHさん、ホームエクイティーローンはT billプラス200BPなんて決め方ですので本来的には短期金利が響きます。リボルビングする時に変動するので基本的にFRNですね。長期固定を調達できるのは個人でも相当クレジットのいいかた、のようです。