2006/12/01 08:57 | Weblog | コメント(5)
M&A的松坂投手の年俸分析
昨日の記事、「警告」には多数のコメントありがとうございました。一番多かったのはこれは古いぞ、というご指摘。これは2000年森内閣時の資料であり、現在の政権が作成したものではないから、関係ないのではないか?というもの。
おっしゃるとおりなんですよね、これ森内閣の時に作成されてます。ただ、なんで今官邸のHPに載っているのかがイマイチ不明で、何せ「継続性内閣」でありますので(笑)議論をふらせて頂きました。
コメント数が多く、公開させようと思う前に消えてしまったコメントも多数ありまして、ちょっと対応に苦慮しております。間に合ったものは公開させて頂いてますんであしからず。読んでて不愉快になるようなもの(このたこ、あほ、の類)は引き続きデリートさせて頂きます。
ということで、さて、今日は松坂投手の移籍金及びこれから決まる年俸を経済的に分析してみよう、ということであります。要は高かったのか、安かったのか、ということですね。
もちろん来年15勝でもあげてくれれば安かったってな話になるんですが・・・
今回レッドソックスは交渉権だけに5110万ドルを払いました。それにボラス氏が要求している1500万ドル(単年度)というのはいかにも高いではないか、という話からはいりましょう。例えば昨年15勝を上げているマイク・ムシーナが2年2300万ドルで更改していますから、単年度では1150万ドル、松坂の要求より下ですね。
調べてみるとあのペドロ・マルチネスが4年5300万ドルですから、いくらボラス氏が豪腕でもこの1500万ドルという数字はブラフっぽいですね。ここでいつも登場するのはレッドソックスはジャパンマネーを集めればこの資金は充分回収できるので高くない、という議論なんですが、いつも取り上げている大リーグ通の李啓充さんはおもしろい指摘をされています。
ご紹介しますと、そうは行っても日本での放映料や、大リーグのグッズ売り上げは全球団に全て分配させるので、レッドソックスの配分はたったの30分の1。おまけにレッドソックスは307試合連続チケット完売記録を誇っており、今更観客は増えようがない・・・という背景からすると元がとれない可能性が高いではないか、という訳です。
更に調べてみると、この独占交渉権は例のぜいたく税の対象外なので、よく考え見ると、もし、レッドソックスが、独占交渉権のもとに年俸を値切る事が出来れば結構いけてるディールなんじゃないかしら、ということで、仮にムシーナレベル(相手はメジャー15勝だから、これでも高いという意見はあるけれどね)で年間1200万ドル(5年5000万ドル内外)くらいに落とし込めば交渉権とあわせても年間2000ドル程度なので、まあまあの数字が出来上がる。恐らくこのあたりの結構現実的な数字に落ち着くんでしょう。
一方李さんの指摘はもう一歩進んでいて、今、この交渉をご破算にすると損をするのは誰かが重要だとおっしゃっている。レッドソックスは他と競争する事はないので、「俺はこれしか払わんよ」、と開き直ってしまえば怖いものはない。特に2位の入札球団とは相当開きがありそうだから、強気にくるでしょう。
松坂サイドはせいぜい日本に帰っちゃうぞ、程度の脅ししか効かず、結局この話が仮にご破算になった場合、一番困るのは・・・・そう、60億円を当てにしていた西武ですね。
ここからが李さんのすごい所で、松坂サイドはレッドソックスに値切られた分を西武に取りにくるんじゃないか・・・・という説。確かにこれは有りえます。1000万ドル位返せよ、ってな話になるかもしれませんね。
というのも、実はこれ、M&Aでは良くある手で、まず独占交渉権をくれ、ととりあえず、先払いで、交渉権そのものを高値で買ってしまう。そこで他の投資銀行が入れないようにしておいて時間を稼ぎ、もうライバルが入り込む意欲も時間的余裕もなくなったときに一気にプライス勝負をかける、というもの。
その時点で他と交渉しようにも時間的余裕がなく(野球で言うとシーズンがはじまっちゃう)、最初の交渉権のお金をすこし返すからこれでお願いね、などとディールを纏めてしまう荒業。最近はウォールストリートの人がたくさんメジャーの経営側に入っているのでこういうアイデアはありうるんですね?。
西武がお金を返す羽目になったら本当にかわいそう。すでに獲得資金をあてに各種トレードに動いてますから、気がついたら半分返してももらわなきゃまずい状況に陥る可能性は・・・・大ですよ、これ。
取らぬ狸の・・・・ですね。
ただ、単年度2000万ドルという評価はそれでも高い。実力を評価されてのことである事は言うを待ちません。ついでに岡島も大塚も取っちゃうらしいので、来年はボストンがおもしろいのは確実です。
やじゅんさんがお詳しいでしょうけど、ボストンはアメリカの中でも日本人が住みやすい所です。大変スノビッシュな人が多いですが、小澤征爾さんが長くボストンシンフォニーを率いていた事もあって、日本人を高く評価する人は多い。結構いけてる組み合わせだと僕は思います。
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5 comments on “M&A的松坂投手の年俸分析”
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こんな見方があるとは思ってませんでした。
確かに西武から取るのが一番落としどころとしてはしっくりくるのでしょうね。
ジャパンマネーと言っても5日に1回くらいしか登場しない先発投手とほとんど毎日出場する野手とでは比べ物にならないでしょうし、レッドソックスが過剰に年俸を払う気はないような気がします。
松井・イチロー・井口・城島・田口といろんなクラスの選手がいるため、比較的野手の場合類似の事例が見つかりやすく、相場も想像がつきやすいですが、松坂クラスの投手は類似の事例がなく(野茂だと古いですし、石井一よりは格上でしょうし・・・)そういった意味からも想定が難しいですね。
60億円は何があろうと返す必要ないのではないでしょうか?
30日間の独占交渉権の権利を西武から60億円で買ったわけですし。
交渉がうまく行くかどうかは、西武は関係なく、松坂とレッドソックスの間の問題じゃないでしょうか?
前回投稿の「警告」は、明らかにミスリードのように思いますので、
今回の投稿でちゃちゃっと流さず、
せめて前回投稿に、注釈なりつけていただければ、有り難いのですが。
六年前の会議の一部分と知らずに、ブログだけ読んで、「安部さん!?信じてたのに!」と憤ってしまったクチなんで。
トンデモ会議を内容はどうあれ、記録としてHPに載せ続けてるのはおかしくないですし。
現在の、安部といえば「教育改革」という状況で、
わざわざ、より抜いて、誤解されるように、ふれまわるのは止めてください。
誤解を解くには、何倍もの無駄なエネルギーがいります。
>現在の、安部といえば「教育改革」という状況で、
わざわざ、より抜いて、誤解されるように、ふれまわるのは止めてください。
人様のところの訪問者の投稿に苦言を言いたくはないですが、「古い」という批判をしている人間は貴殿を含め」大きな思い違いをされてますね。
きっこさんにしろ、ここの管理人にしろ、古いというのは承知の上であえて引用しているのですよ。
安倍晋三首相は森派の人間で、しかもその森派のDNAを受け継ぐ小泉前首相のいわば指名で首相になったような人物。
文部官僚をはじめとする官僚が変化を望まないのはご存知の通り。
いわば政権交代したり、森派の対抗派閥が政権を握っている状況ならともかく、そうでなければ、6年前の亡霊は未だに生きていると考えるのが相当ですよ。
そんなことも推測できないのかと、正直日本人の知性や想像力のなさにガッカリしていたのです。
昨日のことで打ち止めになっていればこんなことを書く気はなかったのですが、貴殿の投稿で反論したくなりました。
教育再生必要不可欠です。
でも子どもだけでなく、大人の受けてきた去勢マニュアル教育の是正もです。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aYmpGYYlfZnE
ボストン・レッド・ソックス球団による世界ブランド化戦略なので、移籍料60億円は安いと。成功例は、マリナーズやヤンキースであると。