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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2007/06/08 09:05  | サブプライム |  コメント(5)

マーケットのお洗濯


債券がこれだけ売られるとやはりちょっとむずむずしますね。実際突発的に株が売られるよりもこうやって金利水準が訂正されるほうが経済全体に与える影響力は大きく、特に直接金融が発達しているアメリカではまさに「直撃」となります。


これにより社債の水準などが大きく変わり、当然住宅ローン金利なども即日上昇ですから、この現象を見て日本を想像してはいけません。今日この日に、


「おれの住宅ローン金利がこんなにあがっちまったぜ!」


と叫んでいる人々がたくさんいるわけです。実際マジで明日から支払い利息が増えるって世界です。即日行使。


しわ寄せは当然貧乏人・・・・すっかりおなじみになった用語・・・サブプライム・・・の方々に大きくなります。クレジットの低いハイ・イールド債券のスプレッドが広がるのは当然ですが、これらはインデックスでみると歴史的にタイトニングしていたので本格的に修正するとなるとかなり大きなダメージがあります。


従前よりくどくどクレジットマーケットに注目!!と言い続けたのもまさにこのあたりの話です。ちなみにBBからCの範囲の格付け債券の平均利回りと同等のデューレーションUSTとのスプレッドは242BPというのが過去最低でこれが先週末。過去5年の平均が約500BPだからその縮まりようはすさまじかった訳。


CDSも同様で過去最低に縮まっている状況だから、このあとどうなるかがポイントになりますね。これらのベースにあるのは倒産率で過去最低の倒産率を更新し続けてきた訳ですが、そんな話がどこまで続くのか、この金利上昇のインパクトを図ることが戦略上欠かせません。


マーケット全体で見ると、こういった矛盾点(過去最低のスプレッド)など、行き過ぎの修正と言うのは悪いことではありませんが、大きくトレンドが変わっていないかどうか慎重な検討が必要です。その意味では日々のマーケットに一喜一憂せず、ここはじっくりアメリカの倒産率に注目しておく事です。ここが上昇するならマーケットのトレンドが大きく変わることは間違いありません。


このままでそれほど倒産率が上がらなければ「結構なお洗濯でございました」となりましてまたまた順調な投資環境が続くことになりますね。ということでこちらの読者の皆様のキーワードは


倒産率!!


ですぞ!


 

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5 comments on “マーケットのお洗濯
  1. credit より
    おっしゃるとおりですが、

    いつも読んでます!!

    ただクレジットのスプレッドがワイドになったところで、やれCDOだCLOだ等のリスクの捕り手がわんさといてなかなか広がらないのも現場の実情です。。。

  2. ペルドン より
    マーケット・・・

    御指摘ごもっとも、カウンター意見はございません。が、

    ただ・・その・・いつもよりややお熱が・・

    かってそれで痛い経験をされたのではないか・・・と、後遺症状の名残りが漂っているのではと・・・

    そんなことございませんよねぇ、そうでしょうとも!!

  3. 教えて君 より
    米 倒産率

    サブプライム問題はもう収束に向かうようなことが言われていたのですが、またぞろ話題になると思っていました。

    教えて君で恐縮ですが、米国の倒産率はどのようにして調べたら宜しいのでしょうか。

  4. FENK より
    Unknown

    それで、要の米国債はどのくらいまでいくとお考えですか?

    日本でもプライムレートが上がって即日実行されました?今回は0.2なので転嫁はされないようですが?し、あまり変わらないんじゃないですか?

  5. 通りすがり より
    金利上昇

    世界的にアウトプットギャップが縮小する中で、景気加速→インフレという懸念を抱くのはわかります。が、世界経済も米国の安定化でやっとリバウンドしたばかり、ここからピークを付けに加速できるかはこれからです。欧州は家計がやや減速気味、米国は住宅セクターが引き続き重石として働くでしょう。ここから直ぐにインフレ懸念台頭というのはやりすぎだと思います。しかし世界的に実質金利は未だ緩和的だといえる水準にいます。米国とて歴史的に引き締め的とは言えない。その中でISMの反転で在庫調整が完了した今、10年以下の金利カーブが利下げを意識してインバートしたままで推移するのは如何なものでしょうか。米国の金利上昇は金利水準の訂正ではなく、金利カーブの修正がもたらしたテクニカルなものであると考えます。

    また長い間4.4-4.8%のレンジだった長期金利は、経済のパラダイムシフトに気付かず、レンジにベットして5%にかけてポジションを積み上げるプレーヤーが多数いたのも事実です。モーゲージプレーヤーのリバランスによってそれらの人が一斉に損切りを余儀なくされたことが今回の急激なベアスティープのもう一つの側面でしょう。

    何れにしてもこの金利カーブの修正はゆっくりと進むと考えます。アウトプットギャップが縮小しきっている中で、米国インフレ率が最近低下しつつも未だ高止まり水準にあることを考えると、年後半に成長がその潜在成長率を上回って加速を始める中でインフレ懸念が台頭することは避けられないでしょう。この時の金利上昇は株価や経済を毀損する可能性が高いと考えます。

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