2007/11/24 10:14 | ワイン | コメント(26)
はるかなる影
ロオジエが資生堂、福原さんの情熱によってできた純ジャパニーズのレストランであるとか、ロブションがパリの店をわざわざ閉めて恵比寿にやってきた・・・・というようなストーリーはこちらの読者は100%ご存知だという前提でミシュランの記事を書きましたが、ロオジエはパリにない、ロブションの店も既にない、などご指摘を受けましたので改めてお詫び申し上げます。(笑)
まあ、書く必要がないと思ったんですが、やっぱある??・・・
福原さんが三顧の礼をもってして向かえたジャック・ボリーは勿論何度も三ツ星をとっています。(実は福原さんはよく存じ上げています)確かに星はレストランに与えられますが、シェフが変わるとその星は自動的に消えますので、いうなればシェフに与えられたもの。
そして三ツ星をとったというだけではまあ、普通ですが、かれはMOFにも輝いている訳で、その彼が作って、同じく三ツ星もとり、MOFであるブルーノ・メナールに引き継がれたロオジエが三ツ星を取らなかったらどうするんでしょうね、と申し上げましたつもりです。それに向かってロオジエはパリにない、とか食いつかれてもね?、という感じですね。
ロブションも同じです。もちろん彼自身、三ツ星をとって、もともとのパリのロブションよりはるかによい立地で始めたタイユバンロブションが三ツ星を取れなかったら、ジョークでしょ、という事です。勿論かれもMOF。ちなみにロブションもよーく知ってますから。
ということでまあ、常識の範囲というのは人それぞれですから、仕方ないんですが、まあ、要はわたくしを信頼してください、という事です(笑)
小学校のとき、私はクラスのみんなにうそをついた、ということで謝らされたことがあります。些細なことなんですが、当時(いまでも)字がへたくそだった私が唯一きれいに字がかけるのが、ドイツ製のスッテッドラーという所の鉛筆だったのです。STAEDTLERは設計に携わる方などはみなさんお使いですが、まあ、小学生にしては贅沢だった。で、その話を学校でした訳です。
世界最高の筆記用具はステッドラーだと。
あるこまっしゃくれた女の子が自分も欲しいと思い、近所の文房具屋さんにステッドラーの鉛筆が欲しい、といったらそこのおっさんに「何ですかそれ?」といわれた・・・・
という話をし始め、みんなが近所の文房具屋に聞いてみよう、ということになり、そうしたら、どこの文房具屋も「なんですかそれ」、となった。ひとりでも三越や丸善に聞いてくれればいいんだけれど慶応の幼稚舎じゃないのでね、普通の練馬とか板橋の文房具屋さんが昭和40年代にステッドラーを知らないのは無理からぬこと・・・・
でも、実在しないものを世界最高の筆記用具といった私は「うそつき」、ということでみんなの前で謝らされた訳です。 まあ、ある種のいじめですね。(ローマイヤのハムが一番うまい、と言ったときも同じようなことがありました・・・笑)
そのとき隣のクラスにいた岡田君が、うわさを聞きつけたのでしょう、仲良くもないのにわざわざ来てくれて、「うちにはそのステッドラーの鉛筆やシャーペンがごろごろしてるよ、君はうそつきじゃないよ」、と言ってくれました。彼は世界的に有名な設計者、岡田新一さんの息子だったんですね。(最高裁判所などを設計された方です)それ以来彼とは仲良く付き合うようになった訳ですので、災い転じてなんとやら、という事でしょうか、 まあ、分からん奴はほっとけや、という人生観もそのころから身に付いたような気がします。このあたりの話はまたいずれ詳しく・・・・
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26 comments on “はるかなる影”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
ステッドラーなんぞを使う小学生は、違う意味でいじめたくなります(笑)
まあ自分も似たような経験がありますから、気持ちはわかります。
今日のお話も、いい話ですね。
流石、田園調布育ちは、小学生の時から世界が違う。
誤解されては困りますが、私は皮肉を申しているわけではありません。他人の不幸に同情する振りをして、豊かさをねたむのは日本人の一大欠点であり、私はその欠点から何とか逃れているつもりなので。
ここ数年、ぐっちーさんのブロブを読ませていただいて、年上の私ですが、知らない世界をたくさん垣間見ることができています。
金融や国際経済の話も勉強になりますが、フードやワインの話も大変おもしろくて、楽しみにしています。
私も、多少、飲食関係その他かじりましたが、ぐっちーさんの数々の業界裏話どうして広く・正確にご存知か、いつも不思議に思っています。
今日のエンピツ、私も知らなかったので(丸善・三越に就職しなくてよかった。首になってしまう!!)勉強になりました。
今日は何処かの映画のようなタイトルですね。
日本人にしては珍しいインターナショナルなプレイボーイが、彼の地にいて・・・高級ジゴロの噂はあったにせよ・・・彼は常にシェフの長いリストを持ち、得意料理も詳細に書いてあり、異動先も常に補則してありました。
紹介は望まなかったのだが、
僕の予算を聞き推薦してくれた店で、彼が薦めた料理をデザートまで注文すると、ギャルソンの態度が一変して、恭しくサービスされたのには感銘深かった。
実に深い・・・のであります。
そのドイツ製鉛筆、あちらに行く度に色鉛筆を含め、わんさか土産にするのだが、アホーな息子共はトンボが良いと言い張るのであって、いつも親子喧嘩に及ぶ頭痛の種でありました。
ほっとけや。といいながら
毎回ちゃんと説明してくれるぐっちーさんが好きです(笑)
ほんとにスルーされたらこのブログの魅力が半減します
はじめまして、貴殿のブログはいつも楽しく読ませていただいています。
私は、今年から海外で働き始めたため、妻ともに日本が恋しくてなりません。鉛筆の話や、レストラン、すし屋、CDOなどなど非常にバラエティーに富んでいますね。
これからも楽しく読んでいる読者がいることを頭の片隅においていただければ、これほどのことはありません。
無理せず、気張らず、長く続けてください。
私は10年以内に日本に帰れるよう、気張って頑張りたいと思います。
ぐっちーさん
まあ、ゴチャゴチャ言っている方には言わせておけば…です。
私は他人の舌は信じません。その点では、織田信長と料理人坪内某とのエピソードは大好きです。
ただ、飲食店を含む公共の場での喫煙だけは何とかしてほしい。MOFでMultiple Organ Failureが即座に思い浮かぶ関係の人間としては…。
しかし、ググッたら、Microsoft Operations Framework (MOF)には笑いました。
ぐっちーさん
いつもありがとうございます。
ところで、ロブションやロオジェや次郎がミシュランの3星になるというのが、どうしても解せないのです。
次郎よりもいい鮨屋が、何の星もついていなかったり。
やはり外人が思う日本のレストランの水準と
Native Japaneseが評価するレストランの水準は違うのかと。
エントリの論旨とは異なるのですが、特殊な形状ものはともかく品質で世界最高の鉛筆は三菱鉛筆のUNIです。ステッドラーの鉛筆は見た目は上等ですが芯はトンボ鉛筆の廉価品(三菱鉛筆の廉価品よりも質が落ちる)と同等と思われます。しっかり使い比べれば分かります。
炭素の粒子のきめの細かさの問題で、安物だと頻繁に硬い粒が露出して紙面を引っかき不快で、最悪の場合はトレーシングペーパー上で書いていて引っ掛けて破いてしまいます。ですが三菱鉛筆だけは廉価品でもそのようなムラがありませんでした。
ステッドラーの芯材も改良されたようですが現代は国産にアドバンテージがあります。もう鉛筆を仕事に使う機会もないのでほとんど役に立たない知識ですが。
こんばんは。
ステッドラー、懐かしいですね。昔使ってました。もっとも、最近はマウスをカチカチして線を引いています。
ステッドラーの筆記用具は、実に手になじみます。
鉛筆は、どんなに使っても腱鞘炎にならないPCを使う前は、物書きは腱鞘炎に悩まされていました)。
消しゴムは、欲消えるし、カスがあまり出ない。消した後のカスが汚いと、ウンザリします。
着るものへのコダワリも、ぜひお聞かせください。
ちょうど最近STAEDTLERのシャーペンを買い直していましたw自分は建築家でもなんでもないんですが、愛用してます。最近はロフトなどで気軽に買えるので楽ですよね。
使い始めは子供の頃、親からSTAEDTLERのシャーペンと芯を誕生日に貰ってからです。子供心にも解る使い易さと重量感。滑らかな書き具合に、なぜか勉強が捗りました。芯がなくなり当時近所の文房具屋に行っても「それはもう品切れしたよ」だの「人気が無いからうちには置いてない」と言われ落ち込んだ日々を思い出しました。でも何故か親父は手に入れて渡してくれたので、まったく意味が解りませんでした。あとで聞けば親父は馴染みの画商から手に入れていたとのこと。(そのときは塗装屋である親父と画商のつながりの方に驚きましたがw)
グッチーさんは他に何か使いやすい文具とかありますか?「一流のモノは一流の人間に聞け」とは親父の言葉なので。(褒めすぎっすかね?w)
ミシュラン?数寄屋橋次郎?いやぁ自分は二郎で充分っす!まだまだ質より量です!wでもいつかは行ってみたいですね。二郎も次郎も嗜むオトコってカッコいいじゃないですかw(また褒めすぎっすか?)
では!
ぐっちーさん
いつもパワー全開で頑張っていませんか?
豊富な話題にただただ感心し、案じている次第です。
岡田新一の名前まで登場するとは。
最高裁もそうですが、私の通った学校の設計者も岡田新一でした。もちろん施工は、鹿島です。
私も昔は鉛筆にも拘っていましたが、今は100円ショップで買った中国製鉛筆などを使っています。
しかし、色鉛筆はファーバーカステルのポリクロモス油性色鉛筆の描き味が断然良いので、これしか使いません。
「うそつきじゃないよ」って云いに来てくれるなんて素敵な男の子ですね!
今はとっても素敵な男性になってみえるのでしょうね!
ステッドラーですか。名前に惹かれて買いましたなぁ昔。
まぁ自分は三菱やトンボとの違いがわかりませんでしが。
字ではなくて絵の話ですけどw
いつも良いお話をありがとうございます。
鉛筆で思い出したのが、去年だったか、ある番組でハリウッドのアニメスタジオで使う鉛筆は三菱UNIだって言ってました。
昔は世界最高の筆記用具はステッドラーだったに違いありませんが、今は間違いなく三菱UNIなんだと思います。
さすが物作りの我が日本と誇りに思えました。
知っている方々にとっては普通の事でも、
その世界を初めて知る者にとっては宝石のような情報ですね。
初めて知りました、【ステッドラー】。
やっぱり世界一の道具はドイツ製か…と思います。
フィリップススクリュー、いわゆるプラスネジを回すのもドイツ製のWeraなら、
ネジに吸い付くような感じで回せますし、
まともに作られた日本製ネジなら、下向きにしても落ちません!
平均的日本人よりも二回りは大きく感じるドイツ人が作ったハンドツール(工具)が、
小柄な日本人にも素晴らしくフィットするのが不思議です。
ああ、すねお君状態ですね(笑)。そういえば昔もう十何年以上前、必要があって麻*高校にもらい物をしにいったらワルぶったやつらがすってたのは洋モク、葉巻でした。度肝を抜かれました。汚いジャージで有栖川公園でトレーニングしてたころが懐かしいです。まぁヨーロッパに実際滞在してみて思うのは、海外向けに高級品のイメージで企業戦略を立ててはいても、本国では、ベンツはトヨタ、ドイチェ銀行は三菱UFJ、ステッドラーはコクヨに当たるんだということですね。私の友人給料たぶん20うん万円くらいだけどドイチェに口座持ってますよ。私はヴィザがたりなかったのでシュパールカッセでした(涙)。グッチーさんのブログいつも楽しみしてます、完全など素人なのでなにもわかってませんけど。
さっきの続きのおまけ
ベンツがトヨタなら、シトロエンはヒュンダイかな(笑)、これはどんな位置づけかよく知らないけど。
あまりつまらないことで揚げ足を取るつもりはないのですが、ジャック・ポリーが3ツ星を取ったというのは何年版のミシュランでしょうか?ロビュションも最初タイユバンと組んで恵比寿に進出したときはまだ引退しておらず、パリのポワンカレ通りの店もしっかり営業していましたよ。プライドが高いのは認めますが、老婆心ながら不正確な情報は訂正していただかないと、せっかくの本業の信頼が傷つきますよ。
体験できたこと、信用できるところって自分の生活圏にあるのですね。
決め付けず調べること。
自分の世界が狭くなりますから。
自戒になりました。
おおっ STAEDLERのLUMOGRPHを小学生時代に使っていたとは!! 昔々、友人で鉄工所の息子が持っていたピカピカの青いボディーの鉛筆にすんごくあこがれまたことがあります。それがぐっちーさんの鉛筆、ステドラーですな、たぶん。で、私はどうしたかというと、結論→「ちょーだい」・・。一本もらいました・・というか消しゴム付の鉛筆と、とっかえっこしました。 なつかしいなあ。。
ステッドラーは手に持った時の感触がいいですね。
私も愛用してます。
でも言われてみれば芯の質感は確かにUNIの方がいいかも・・
まあ、好みの問題でしょうが・・。
もちろん映画なんかじゃなくカーペンターズだよね
ハイユニは、非常に微細な炭素にポリマーを
混ぜ、焼結しています。ポリマーは焼結して
セラミック質になる。
書き味は滑らかで、品質にムラが無い。滑る
ような書き味だが、鉛筆本来のザラザラ感が
無くヌメっとした書き味になる。
ステッドラーは微細な炭素に微細な粘土を
まぜて作る。粘土は吟味されているが、
均一度、芯の丈夫さ、滑らかさでユニ
に劣り、品質のムラがある。
ただし、H系統の粘土でひっかくような感触
は独特のもので、ファンも多い。
鉛筆にポリマーを混ぜる技術は、0.5mmの
シャープ芯を作る段階で日本で発達した
独自のもの。均一で滑らかな書き味は
魅力だが、ザラ味が少ないのが利点であり
欠点でもある。
コストパフォーマンスはもちろんユニの
大賞。ステッドラーは無印ユニか9800番
とハリじゃなかろうか。
どの日も文章のセンス抜群すぎて、にんまりしてしまいます。面白すぎますーーー