2005/04/22 16:32 | 金融全般 | コメント(0)
通貨価値の決まり方。ファンダメンタルズって何??
昨日のグ議長発言を受けてもう少しドルが売られるかと思いましたがまあ、なんとか保っています。売り続けたドルのポジションも一応正解。長い目で見るとドルロングは正解だと思いますし、あまり為替の水準を議論するのもドル円に関してはどうかしら? と思い始めています。
通貨の価値、まあ、為替なんですが、一体どうやって決まるのか? 金利差、とか成長率の差とかいろいろ言う訳ですね。でも実際はなんなんだ? という議論がある訳です。
かんべえさんが特集された「通貨燃ゆ」という谷口智彦さんの書かれた本はご興味のある方にはご一読をお勧めします。こういう考え方もあるんだ、という事で知って頂いて損はないです。
我々長くこの仕事をしていると目先のことに追われ、一日の値幅は当たっても長期トレンドをしばしば外してしまいます。今回のドル安、ドル高の行ったり来たりの局面はまさにこのプロが間違えた相場。昨年ブッシュ再選以降、双子の赤字に苦しむアメリカというイメージが膨らんでしまい大きなドル売りポジションを抱えました。しかし、結果は全く逆。ドルはどんどんその値を上げていったのです。対ユーロ、ポンド、など全てです。しかし、価格変動率をはじいて一番率が低い通貨はなんと円だったんです。ドル円のボラティリティーはなんでこんなに低くなってしまったのか・・・実は小泉政権になってからドル円は過去10年の中で一番安定している訳です。市場が大きすぎて動けなくなったなんて説がありますが、どうもこれを説明するには先程ご紹介の「ストレンジ理論」(理論と呼べる代物かは別なんですが)が一番すっきりあてはまる。
すなわち、通貨なんてものは経済力の合成では有り得ず、国力=その国の権力 そのものの反映だと考える訳です。ドルのショートが危険なのはいまや世界にあれだけの軍事力を行使できるのがアメリカ以外にいないからです。究極のFlight to quality が起きたときのことを考える(自分の財産をどこにおくかを考える)とアメリカに置くのが一番安全なのではないか? と言う訳です。
日本はこれだけ財政赤字を抱え、いつテポドンが飛んでくるか判らないけれど、小泉さんのアメリカ追随作戦を見ているとこの国はまるでアメリカの一部みたいだ、つまりドルと円のどっちをもっていてもあまり変わりは無いのではないのか? と考えてみてももあまり不自然ではない。事実アメリカの財政赤字の大部分は日本がファイナンスしており、ここは「親子」みたいなものでその親子間で為替の強弱を議論しても仕方ないのではないか? となって投機資金が引き上げてきた節があります。そうなるとドル・円のボラティリティーはますます落ちるし、今回の中国の一連のトラブルでもし、アメリカが日本の戦略上の地位について極めてセンシティブに反応した場合、ますますドル・円間で資金を移動する意味がなくなってくるかもしれません。
従って逆に言うと今年は無理に為替の売買を繰り返すより、黙ってドルをロング、というのが正解なのかもしれません。この場合適正水準に収束していくとすると、やはり1ドル=100円 というコンビニなレートだったりするかもしれません。
そのあたりのアメリカの出方を占う上でも昨日のグリーンスパンの発言は重要だったと考えております。
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