2006/11/17 09:25 | M&A | コメント(9)
さすが、のディール
企業のDNAのなせる業なんでしょうか、キリンのメルシャン買収は見事です。教科書です。もちろん水面下でかなりすり合わせた丁寧な交渉にもキリンのよいDNAを感じます。こうなればお互い納得づくでしょう。
明星を異業種のハウスが買収するのが良い、と書きました。まさにこれを実現した訳ですね。しかもグリーンメーラーに手を出される前に動いたというのが満点答案です。いくつかご指摘がありましたがそりゃー、ハウスがラーメンを作っている事くらい私も知っている訳ですが、インスタントラーメン業界を左右するほどのシェアはない。他種目ではガリバーのハウスもラーメンでは”one of them” という状態なので、ハウスなら明星を買う価値があるよ、と申し上げた訳。
今回のキリンがまさにそうで、ガリバーキリンもワインについてはあのサッポロの後塵を拝する状況で、そこに目を付けて一気に勝負してやろう・・・と考えた。
でも、国内のワインメーカーでしょ??
ごもっとも。
しかし、フランス、イタリアあたりの名門ワイナリーの資金難による経営危機あたりがアンテナに引っかかっていた上で今回の買収を手がけたとしたら、さすがキリン、ということになります。
欧州のワインメーカーは最近のライト志向をうけ、特にボルドーを中心とするフルボディーを生産する名門、例えばマルゴー、シュバルブランあたりまで売り上げが落ちてきて経営的には厳しくなってきている。ここのい資金需要があるのはわかっても、この海外ワイン業界というのは安い桶買いには大手がたくさん入っているものの、こういうブランド物の輸入は極めて零細な輸入業者に手がけられています。日本向けにしか輸入しないからですね。
従っていざとなっても彼等に資金を出せるほどの余裕はない。一方金の出してから見ると、いくら彼等が橋渡しをしようとしても、「あんたの為に使うんじゃないんじゃろねー」、と色目で見られてしまう。
もし・・・
キリンをバックにしたメルシャンが目利きをして、その上で資金調達をする、ということであるなら、実際かなりの資金を集められるでしょうし、。日本はおろか世界中のディストリビューションも手に入れられるかもしれません。
ボルドーの高級ワインはフランスでは販売数が減少していますが、世界的に見るとかなりコンスタントに売れるので、グローバルネットワークが手に入るなら悪い投資ではないのです。(但し高い)。従ってキリンにしてみると国内のワインのシェアがどうこう、と考えた訳ではなく、グローバルに打って出るための目利きを買ったと考えれば決して高い買い物ではないだろうな、と思います。
メルシャンとしてはメーカーとしてのプライドもあるのでしょうが、欧米ではネゴシアン、ブレンダーも大変地位の高い仕事です。よく、Leloy(ルロワ)という銘柄のワインをブルゴーニュなどでごらんになる事があると思います。日本では高島屋が扱っていましたか・・・・ちょっとうる覚えですが、彼等はメーカーでもありますが、その規模はごく小さく、実際はネゴシアン、つまりプロデューサーとして確固たる地位と名前を残しているのです。
つまり、この味で、この品質のものを作らせて、それを吟味してこれならよろしい、というものに自社ブランドのラベルを張って出す事で一大ブランドを確立してきた訳ですね。
私の目から見るとキリン・メルシャン連合なら、彼等と対等に渡り合えるだけの能力(キリンの資金力と販売力、及び日本人のワイン嗜好を熟知しているメルシャン)を持ち合わせている、と判断できる訳で、大いに期待されることとなっております。大分買いかぶっているかもしれませんが、どうでしょう??。
ビールのみオヤジさんのコメントを待ちましょう(笑)。
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9 comments on “さすが、のディール”
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極めて零細企業ですみません(笑)。それでもダンピエールの日本代理店だったりします。うちの仕事じゃありませんけど。メルシャンってもとは伊藤忠でしたっけ?間違えていたらごめんなさん。今は味の素ですよね。ちょっと訳あり企業だったような記憶があります。ただ、今、フランスワインに手を出すのは得策じゃない。確信はないけど,特に投資はやめといた方がいいですね。
はい
大分買いかぶりであります。
ロマネコンティの元ネゴのルロワは確かに高島屋で扱っていました。
メルシャンはボルドーにレイソン、カリフォルニアにはマーカム持っています。イタリアのフレスコバルディの輸入元だったり、他にも沢山あるはず。国内でも桔梗が丘のメルロは最高品質の1つですしね(私は山形のタケダさんのほうが好きですが)
だからご指摘の通りの、このコノシュア買いはすばらしいと思います。
シュヴァル・ブランといえば、ジャック・シラク大統領が小泉純一郎前総理を迎えたとき、歓迎の宴席で出されたワインだそうです。そうですか。シュヴァル・ブランも経営が厳しいのですか…。
なのですが、先日、恒例のボジョレー・ヌーボーの解禁騒ぎの報道を観ていた時、レポーターが「輸入開始から30年を経た今、最近ではボジョレーファンも舌が肥えてきて、ブランド物やプレミアム物を好むようになってきた」という主旨のことを言いやがりました。
そもそも、ボジョレー・ヌーボーって超意訳すれば「安酒」でしょう。日本酒で言えばワンカップですよね。それに「プレミアム」だの「舌が肥えたから特注品」だの、矛盾していません?
だいたいメルシャンやボジョレーで満足している輩って、葡萄酒のことを分かっているんですか?
最後に塩野七生さんの言葉(うろ覚えですが)を結びとさせて頂きます。
「日本では葡萄酒は安いほど美味いという噂を聞いたが本当だった。日本の業者が南伊の零細企業の品物を買い叩いて、安物に多く混ぜているからだ」
ワインのことはさっぱりわかりませんが、メルシャンが品プリにアイマックスシアターという高品位の映画館を持っていることで大変に好感を持っています。良い映画が上映されるとアイマックスシアターで何度も見ることが多いですね。
趣旨が違うんでどうかとも思ったんですが、煙草には今、すいすぎると肺がんなどの??などと書かれてますよね。お酒には、飲みすぎると肝機能がとか書かれてないんですが、これって欧米でも同じですかね?
ワインは今小売が直接安いのを仕入れてますよね、高級品は、ルートが違うのでダメみたいだけど、そのうちルートが出来たらメルシャンはいらないんじゃないかな?信頼性にかけるけどね
国内、しかも北の大地のイチ営業部隊長としては本社のMBAエリートが何を考えているかなんて解りません(笑)
でも、企業として生き残るために国内ビール市場で某社に勝った負けたとマスコミに騒がれるままにメンツかけてるような時代でないことは、よ?く理解してます。
まだまだ序章でしょう。何しろ連結売上1兆6千億円の企業グループを10年後に3兆円にしようっていう計画をぶちあげたんですから、地道な営業の積み重ねだけで達成できる数字じゃございません(爆)
オヤジは直接そういった仕事に携わっていないですが、これからの会社の変化が楽しみです。ハイ。
100人のいち95人ぐらい
サントリーのウィン会社だと思ってますよね?
実際アサヒビールだと知ったときにはビックリしました。
高級なワインの話はわかりませんが
メルシャンはたとえTOBをしても、
無農薬無添加有機栽培ワインの路線は
なくさないでほしいです。
はこだてとかアルプスも含め
無農薬無添加組にここ数年はまりまくりです。