プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2005/04/22 08:59  | 金融全般 |  コメント(2)

急反発です。ニューヨーク!


まあ、こんなもんでしょ。アメリカは。
ファインチューニングといいますが、上手くコントロールが効いていて下がるところはしっかり下がって、失望することなくまた戻ってくる。適度に経済全体が成長しているので(原因はともかくも)高値を更新していく、とまあ、呼吸のような感じです。

GM、Fordとも落ち着きを取り戻しておりますが、これはこちらでご紹介申し上げましたプロテクションを大量に売った奴がいるために、プロテクションのバイヤー(買うほうはつぶれたらこまる、と思ってプロテクションを買ってますね。)が流石に売り手の多さに押されてプレミアムを払わなくなっている訳です。こういったアービトラージがきちんと働くところもアメリカ流。横並びしないので、売り買いがどっかで必ず均衡する。そしてまた次の材料で動いていく、という極めて健康的な展開となります。様々な投資家(業態、人種その他)が集まっているのが強みです。日本(特に債券)はこうはいかんですな。サラリーマンばっかなので一方向に流れてしまう訳です。今の高値を買っている人たちもそうですね。CDSもこの2年ほぼ一方的にタイトニングしてしまう、というなんだかなー、というマーケットな訳です。

例のアノマリーに注目されている方は今日も見ててくださいね。週の中で高値を更新しましたので、週末はポジション調整で落ちるはず・・・であります。アメリカならそうなりますが、さていかがでしょうか。

グ議長は流石のコメント。適度なペースでの成長、とおっしゃる。言っていることに一貫性がありますので、マーケットは信じる訳です。このあたりのコンスタンシー、というか発言のスタビリティーというのはどこかの中央銀行もしっかりお勉強したほうがいいと思いますよ。

注目は中国Yuanについて(おそらく初めてだな?)強い調子で変動性に移行すべし、と発言したこと。英文を見てみると

China MUST let Yuan・・・・float soon.

ときてますね。グ議長の発言でこういうMUSTとかはっきりした表現がされることはホントに珍しい。従来ならSEEMS とか せいぜいI`ve learned that? あたりでしょうか。ここで強く出た意図は後でわかるでしょうけど、今は不明。そして注目していただきたいのははFLOAT を使っている点なんです。
中国は「切り上げる」必要性については従来もしぶしぶ認める発言をしていますが、FLOAT、つまり変動相場制に移行する気は全く無い、と言っており、真っ向から対決した発言の意図を十分探る必要があります。グ議長がそれを知らない訳はないのであり、敢えてぶつけてきたこの意図、タイミングは後から考えてみるとそれこそ「大きな川」をアメリカが渡った時だ、となるかもしれません。為替をおやりの方は今ひとつ周辺状況を点検する必要があります。

中国には金融政策は存在しない。少なくともFRB、とか日銀のような調節は全く意味を成さないし、存在しない訳です。共産党一党独裁ですので、共産主義化で市場にレートを決めさせるようなことは認められない。決定できるのは共産党、中国政府のみなのです。引き締めたいときに短期金利をあげるのではなく、共産党から全国の銀行に対し、これ以上貸すな、と脅しをかけることが強いて言えば金融政策です。その国がですよ、自分の国の通貨の価値を市場に決めさせるなんてことは・・・・有り得ない。共産主義を放棄すれば別ですよ、でも・・・これも有り得ないですね、今の時点では。
それをわかっていながら、「FLOAT」と突きつけた、しかもあの思慮深いグ議長が・・・ここが重要であります。ここからいよいよ米中関係も動き出すとみて間違いなさそうです。金融から政治を見る、訳であります。

では!

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2 comments on “急反発です。ニューヨーク!
  1. どうもです

    当方ブログにコメントいただきありがとうございます。中国に金融政策が存在しない、わが国も実質的に金融政策は不能状態かもしれません。

  2. ぐっち より
    そのとおりかもしれません

    本石町日記様
    いつも有り難うございます。
    なまじ自由なだけにその自由の行使力のなさにちょっとがっかりすることが多いですよね。逆に見ると中国は自由にしたくてもできないし、世界でそういう国は以外に多いわけですよ。優秀な日銀マンとしてはおおいに腕を振るうチャンスではないかと思ってしまうのですが、どうでしょう??

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