2010/02/12 08:29 | マーケット | コメント(15)
最後の国内産業とは??
みなさん、おはようございます。
これまで日本は国内産業として保護してきたものがすべてダメになってしまいました。
金融業はその典型なのですが、最後に残された「国内産業」はなんだかわかりますか?
特に地銀はひどく、彼らの融資先であるいわゆる地方公共団体の財政を「仕分け」したら完全に不良債権ですから、全地方銀行は事実上「倒産」しているといっても過言ではない。
そして今草刈り場になっているのは製薬業で、日本の厚生労働省基準が極めて特殊なために参入障壁が極めて高かったのですが、海外市場の広がりにより日本市場の価値そのものが下がり、アメリカODAの基準変更で面倒な日本よりむしろアメリカで認可させる動きが加速、日本の製薬会社はおろか、優秀な研究者まで「草刈り場」になってしまいました。
優秀な薬品業者は国内にはいなくなり、そのうち日本は正露丸しか作れなくなる・・・などと本気で議論されています。
一方早くから国際競争にさらされた自動車などの製造業は未だに世界で勢いがありますね。
では最後の「国内保護産業」は何だと思われますか
日本の学生がこれだけ優先的に採用される国は先進国では日本だけです。
私が丸紅に入社したのが1983年、90人の同期がすべて日本人でした。
しかし、その同時期、モルガンスタンレーでは採用者100人のうちアメリカ人はその半分の50人。その差は歴然です。
それから30年近くたちますが、未だに日本企業の採用者は日本の学生の独壇場ですね。
しかも就職ランキングとか見ると世界的には競争できないことが明らかな銀行なんかがトップに来てる。日本航空がつい最近まで上位に来ていたことでもわかるように日本の学生の就職に関する意識は完全に「江戸時代」です。
中国を筆頭にアジアの国の中では当然、アメリカからみても日本の給与水準は極めて高い。それでも参入障壁が高かった理由はずばり日本語。
しかし、今や世界中の学生が就職に困り、日本語を学ぶことで日本企業を目指そうと張り切っている訳です。日本人学生諸君の三分の一程度の給与でも彼らからは十分高給と認識されます
企業サイドはどうでしょうか。
すでに非正規雇用による「うまみ」を十二分に味わった。
ここに賃金三分の一で英語・日本語・中国語ができる人々が流れ込んで来る・・・・
君たちは何カ国語しゃべれますか?
計算が強いですか?
同じ日本語でも彼らよりはるかに正確だという自信がありますか?
残念ながらどうみてもみなさんには競争力ないですね(失礼!)・・・・。
これからそういう時代に間違いなくなります。自分自身の競争力を磨くのにすぐそこの周りを見ていても仕方ありません。
慶応が優秀、早稲田がどうなんて時代はとっくに終わっていて、海外の優秀な人材と対等に渡り合える実力を身につけなければなりません。
おそらくこの5年間で就職戦線は様変わりすると思います。世界中から優秀な人々が優秀な日本企業に集まります。そしてそれらの人々を使いこなせない企業は競争から脱落する時代になった訳です。
では、あなた方の切り札はなんでしょうか。
語学力はもちろんですが、彼らにはないあなた方のバリューです。しかし、それにどれだけの付加価値がつくか、それは別問題であって、それが日本で売れるのか海外で売れるのか自分自身で判断しなければならない時代が来ていると言えるのです。
これこそある種の「開国」ですね。
第二の坂本竜馬が待たれます。
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15 comments on “最後の国内産業とは??”
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とは言うものの、
受験生を抱えていたから分かるけれど、
今の早稲田・慶応・・ぐっちーさんでも落ちるな・・
ある関西私立の名門・・在校中、外国企業で研鑽留学とある・・すごい!!
だが
スターバックス現地スタッフとかシンガポール航空の空港スタッフ等・・!!
何かを暗示してるな・・
どこの大学でも語学には力を入れ、留学制度がある・・一年程度でモノになるかなぁ・・??・・
日本国内だけ眺めていると、格差が拡大しているとの話が一頃ありましたが、
グローバルな視点で眺めると、格差は是正されているんですね。
グローバルな格差是正が行われると、日本人の殆どは、そのトバッチリを喰らうのは当たり前です。
だって、今迄の日本が恵まれ過ぎていたんだから、、、
格差の恩恵を十分に受けていたのだから、、、
実感として感じていなかったとしても、グローバルではそういうことになります。
日本より恵まれていない国の人々って、まだ世界中には沢山居る訳ですからね。
タレブの「まぐれ」はまぐれで当たったのではない。
ブラックスワンが出ると知ったが、これ以上のマグレは書けないだろう・・と思った。
だから買わなかった・・が図書館の新刊置き場で下と出会った。出会った以上触るのが礼儀だ。
が、
上からと時間を置いた。置いて触りに舞い戻った。
上も下も無い。パソコンで検索・・ない。
司書に尋ねる。司書は丁寧に調べたがない。存在が無い。
『そんな筈が無い、現物を診た』
と言い張る・・しつこく。
数日経って
司書から返答があった。注文書から在庫目録・現物全て調べましたが、ブラックスワンは当図書館では購入しておりません。
お客様の思い違いです・・
あれは何だったか?
「ありえない事が起こる」
ブラックスワンの帯文句だ。ありえない事が起きた・・のだ。
だからぐっちーさんの講義を聞き流すと、学生諸君・・ありえない事が起きますぞ!!
記事内ODAはFDAでしょうか?
今朝の日経で楽天が新卒で外人を採ると書いてあったので関心していましたが、なるほどそういう状況でしたか
大変勉強になりました
そうなのかもしれないと思いつつ。
そうなのかな?
まさしく、ニッポン解体ですな。
人生の折り返し地点を年齢では折り返したであろう私には、オーストラリアのほうが暮らし易い時がまもなく来るのですね、きっと。
株で大儲けして、移住するぞ〜!
時系列でみると厚労省は、抗生剤→成人病薬→ジェネリック→ワクチンで国内薬業界を延命させているフシがあります(抗がん剤は、ピシバニール・クレスチンでポシャッたのがトラウマに・・・)
キャッチーないい書名だなあ、と
>参入障壁が高かった理由はずばり日本語。
>すでに非正規雇用による「うまみ」を十二分に味わった。
>ここに賃金三分の一で英語・日本語・中国語ができる人々が流れ込んで来る・・・・
ぐっちーさんのこのエントリーや、にっち〜☆さんのコメントに、みんな薄々勘付いているからこそ、若いネット世論の一部が「攘夷」思想に走るんでしょうか(一番は40年前の左翼運動と同じく、親世代へのアンチなんでしょうが)
欧化主義など捨ててしまえとアジった皇国史観の平泉澄が、欧化主義思想の勉強についていけずに挫折した学生に熱狂的に受け入れられたという話まで連想してしまいます。
>これこそある種の「開国」ですね。
>第二の坂本竜馬が待たれます。
今のネット界隈の議論を見てると、日本人が日本人という理由だけでは豊かさが保障されなくなったとき、アンチグローバリズムという名の、尊皇攘夷論者の第二の生麦事件が起きそうな気がしてなりません。
そんな喧騒に惑わされずに自分を磨いていくしかないんだろうな、と思います。
まさに、そのとおりだと思います。
私のお付き合いのある某社でも以前から外国人社員の採用は積極的だったのですが、グローバル事業重視の流れにより更に外国人社員の採用数を増やすことを検討しているとのことです。
数年後には希望者全員がもれなく大学へ進学する時代が来るそうです、受験戦争がなくなれば平和で素晴らしい気もしますが、平和ボケ教育にはますます拍車がかかり、ハングリー精神を磨く機会も減っていきそうです。植物にとって水は必要不可欠ですがやりすぎると根腐れを起こしてしまいます、今の教育現場も似たような状態ではないでしょうか?教育現場を一度ぶち壊さないと日本がぶち壊されるかもしれません。あまり勉強しなかった私が言うのも恥ずかしいですがあえて。
ところで。龍馬だけでは心もとなく、やはり松陰や海舟など師匠達の影響も大きかったはずです。ぐっちー教授の天命や如何に?(笑)
こういう視点の話が聞きたかったです。
第二段三段をお願いします。
第二弾三弾でした。訂正致します。
えーっと、自身に才能はありませんが、ゼロベースで20年くらい、ある人が研究してきた技術を元に、技術・組織・生産工程を開発して、ようやく売り始めた研究職です。(材料系)研究モデルを産み出すことが全てです。それ以外は1兆円稼いでも査定対象外と正式面接で言い切られてます。
で、こんな時でも日本人の強み。良い物を作ろうとする。スリあわせをしようとする。自動車・鉄鋼と分野は違いますが、ツボにはまった製造業で日本に勝てる国なんてありません。
日用品は当然、諸外国を叩き台にスリム化しながら死守する。で、TOYOTA的に勝てる産業に注力する。自信持ちましょ。日本以上に人の能力を国力の根源としている国なんて世界中にありませんヨ?
ぐっちーさんの言われるように優秀な外国人を外人枠として採用する企業は海外売上げが高い企業ほど増えてくるでしょうね。それは外国人枠という条件の中で。
しかしながら日本国内には外国籍と言うだけで優秀な人もかなりいるのに排他されている人たちがいますよ。そう、在日朝鮮人の人たちです。外国人を採用すると言うのなら日本国にいて日本語ペラペラ、人によっては韓国語、英語まで十分いける人がたくさんいますよ。かつ彼らは儒教思想が強いので年長者を敬うことを重んじており年功序列型の大手インフラ、大手電機、自動車などにはもってこいの人材。ところがどっこい在日と言うだけで大手企業はまず敬遠し日本企業の表舞台には出てきませんよね。(パチンコメーカー、貸金業は除く)
日本語の壁がクリアーされていて、一見すると日本人と変わらない人でもこんな状況の国で外国人が日本人に代わり社員として働く大手企業はまず出てはこないでしょうね。
あと意気盛んで優秀な外国人は日本企業を目指してはいないでしょう。なぜならインセンティブが低すぎるから。仮に年収1000万になるのに日本企業では3〜4年では絶対に無理ですよね。高給取りの大手商社、大手マスコミ
でも30位。大手メーカーに至ってはうまくいっても40位と彼らの努力を報いてやれるような給料体系ではないんですよ。日本人の半分以下でも良いなんて言ってる人材では採用したところでいい働きはしません。(これは私が採用した経験で言っています)つまり日本人の半分以下で良いといえるのは単純労働と言われるものですよ。実際、外食系では外国人の方をかなり見かけますし、日本人より活気があって私個人としてはかなりマッチしていると思いますよ。詰まるところ、日本人は管理職、外国人は単純労働この構図が日本人の概念の中にある以上、外国人ビジネスマンが街中を闊歩する姿は見ることはないでしょうね。
22年前、初めての海外出張の時に、ふと
「日本が沈没したら
『日本語を活かせる』市場が無くなって
自分の市場価値も失うんだな
どうやったら食っていけるのだろう」
と思ったのを思い出しました
失われス20年間を経て
かつてアジアで圧倒的だった日本市場の
国際的な存在感が失われたため
実際には日本が沈没したような事態が
生じている訳ですね
その相対的に小さくなった市場からさえも
閉鎖的な文化を変えられない
硬直した企業は退出を迫られるのだなと
いくつかのコメントを見て
考えさせられました
雇用の多様性を投資判断の基準とするのも
ありかな