2006/09/05 11:53 | Weblog | コメント(12)
秋の夜にロシアを思う(女じゃないよ!!)
思えばこのブログも長くなったモンで、昨年の今頃も同じような記事を書いているわけです。昨日、アメリカはレーバーデーでお休みなのですが、特にNYKなどの東部はこの日を境にぐんぐん秋が迫ってまいりまして、10月のコロンバスデーで名実ともに冬となります。
日本と比べるとこのあたりの季節の移り方がダイナミックで、全く見えなかった隣の家が少しずつ遠くに見えるようになったります。いや?、これ寂寥感が漂う訳ですよ、一人でいるとなおさら。
いい季節なんですけどね?、これがいやで(さみしいから)マンハッタンから離れないという奴までいますからね。日本だとそこまではないような気がします。あ、ただ、ぐっちーも自然の中、というのが実はかなり苦手種目で、一度完全にロハスと化した同期の仙台のド田舎の家に泊まったとき、かえるの声しか聞こえず、真っ暗でこわくなり蕁麻疹が出た事があります。もちろんすぐ帰りましたよ。ネオンと騒音がないと生きていけない汚れた人生もまた良し・・・でありますな。
さて、そういうわけで話題といえばロシアの格上げ。BBB+ということでAまであと1ノッチ。ねこやんによるとCDSも大幅に縮んで47BPと、800なんていったことを考えれば奇跡的であります。サムライ債で一度8ポイント(100に対して)で投げた投資家を知ってますが、今頃は切腹モンですね?。私は実情を知っていた事もあるのですが、このときストロングバイで推奨しまくってまして、結構儲けた方も多数おられます。おごってもらわなきゃ!
ただし!!
今後はよーく注意が必要です。
一概にブリックス、と総称するわけですが、恐らくロシアだけは全然違う経済構造になってます。原油が高くなったラッキーショットという面が強く、ひたすら資源を掘って売るという、焼畑的経済といえます。ブリックスの他の国、中国がいい例ですが、きちんとした近代産業に立脚した経済を立ち上げようとしている国々に比較すると、ここは大分違うという面を認識する必要があります。
すなわち原油が下がればロシアの経済力は間違いなく下がります。瞬間的です。その意味で今はいけいけ、なので何の交渉をやっても無駄でしょうね。案の定サハリンなんてまた吹っ飛んでしまいました。まあ、この件はもともとぐっちーが丸紅にいた頃からしこしこやってる訳で、こんなものは今後とも絶対実現しないでしょうね。
北方領土に関しても、一度プーチンが弱気になったのは原油がここまで上がっておらず、一方中国、インドがすさまじい勢いで成長を遂げ、ロシアがおいてかれるかもしれない、という恐怖感をもった、その一瞬だったのです。良く考えてみるとこういう事は意外と重要で、北方領土に関しては原油価格が暴落した時がチャンスと見ています。この日までは静かに見守るしか無いでしょう。
但し、このロシアの原油ブームで日本の鉄鋼業はものすごーく潤ってます。儲かってる事はみんな言わないのでわからないんですが(笑)、ロシアの油田もそうとう深度が上がっており、かなりな深さまで掘り下げています。この長さのシームレスパイプ(業界ではラインパイプといいます)はもう日本の独壇場なのですよ。昔は日本鋼管と川鉄、住友金属、新日鉄が入ってきてバトルロイヤルのような商談になりましたが今は完全に売り手市場でして、ロシアとしてもパイプの高い安いにこだわっている場合では無くほぼ言い値で決まるそうです。
日本、中でも鉄鋼業は相当いい思いをしている訳です。(だから鉄鋼株、というのもありますが)。一方、ざーんねん!! な結果になっているがプラントエンジニアリングメーカーだとか所謂もうすこしダウンストリームに位置する産業。石油が出れば普通化学製品に加工するわけだし(サウジですらこのあたりは手がけている)、肥料だっているでしょう、車だって・・・・・とどんどん成長段階を踏む筈が・・・・いつまでも原油を掘っているのがロシアなんです。このあたりの特殊性をよく理解していませんとロシアビジネスは失敗します。
すなわち加工貿易という発想が殆どないんですね。これは水産業なんかでも同じでカニはとるんですけど、そのまま輸出する。加工して付加価値をつける、というその付加価値という概念が欠落しているといってもいいでしょう。たらこ工場一つつくるのに大変苦労した覚えがあるくらい。つまりたらこを取り出すことすらめんどくさい→たらのまんま、輸出すりゃーええやん、とうのがロシア経済の特色です、一言で言うと。
こういう面からアプローチしてみれば北方領土も意外と簡単だと思うんですけどね?・・・・鈴木宗男さん、組みませんか(笑)。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
12 comments on “秋の夜にロシアを思う(女じゃないよ!!)”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
またまた、面白いレクチャーをありがとうございます。美味しいワインまでご馳走になってしまい、恐縮です。
でも、山形へのツアーの日程間違いは勘弁して下さいよ?
そうそう、Mシェフとのアンチエイジング・コラボも方もよろしくお願いします!
やぱり
女性の話も少しは入れるのが、礼儀だと想うんだけどなぁ。
蛙の声の蕁麻疹はいいからさ。
ロリータの話しも聞きたいし・・・
ぐっちーさま
NYKの秋と冬は「恋人にためにあるんだよ・・・」と聞いた事があります。
トラップではないハニーの話もお聞きしたいなぁ。
某テレビ番組でロシアの寿司・日本食ブームを紹介していました。ロシア危機で日本企業の撤退後、欧米が進出し、日本人が介在しない日本食ブームだと。
ちょっとロシアを勉強しないといけないですね。近いうちに一度旅行に行ってみようと思っています。引き続きイロエロ(失敬)、いろいろ硬軟取り混ぜてご教授のほどよろしくお願います。
なるほど、だから森さんが元気なのか。
「出でよ。広瀬武夫」だな。
いつも、楽しく拝見させていただいてます。
JALの騒ぎやらがあり堀江の後半も始まりというご時世ですが、以下のようなIRが本日開示されていました。
https://www.release.tdnet.info/inbs/190504d0_20060905.pdf
https://www.release.tdnet.info/inbs/390504b0_20060905.pdf
なんか、久々にまともなのを見たというか・・・
個人的にはものすごく癒されました!
それだけ現在の市場が歪んでるんですよね・・・
書き込み致します。
ぐっちーさんにはいつも、「目からうろこ」の思いをさせて頂いており、大変感謝致しております。
ところで、今回のロシアエントリーに関しては、いささか異なった思いを持ったので、少し書き込んで見たくなった次第です。
確かに今現在の表ロシアを見ていると、ぐっちーさんの仰る通りの状況にあるように私も思います。
しかし、表の経済的分野から裏の科学的分野に目を移してみると、ロシアの底力は侮るべからず、凄きものがあります。
たとえば、ミグ・スホイなど軍用機は一線級を確保しているのに、その民生部門は立ち遅れている。
私が関係している物理探査(地下資源調査等に使う探査技術)部門でも、科学力は凄いのに技術力が追いついていない(つまり何処にでも売れるような商品が作れない)。
つまるところ、やっとで立ち上がったロシア経済では、今のところ民生技術への投資(物作り)まで手が回っていない状況にあるのではないかと思っています。
ソ連時代から大変重要視されているロシア科学アカデミー研究者の給料を見ていても、まだまだロシア経済に余裕が無いことが分かります。
今ではかなり偉くなった科学アカデミーの友人でさえも、その給料の安さには驚くばかりで、その他の収入がなければ家庭も維持できない状況にあります(皆バイトをしている)。
今後ロシア経済に余裕が出てくれば(本当にそうなるかは私には分かりません)、西側とは異なった発想を持ったロシアの科学技術は、(日本の民生技術にとって)大いに脅威になるのではないかと思っています・・・。
ついつい、長くなってしまいました。
もしぐっちーさんが島根に来られる様なことがあれば、おいしいお食事所(魚介類ですけど)にご案内いたしますので、ぜひご連絡ください。
こんばんは
ロシアは日本と組めば、マジに幸せになれるんですよ・・いつまでも原油がこんなに高くはないでしょうからね。シベリア鉄道ではいまだに荷物が丸ごと消えるつーし・・この先・・どうすんだろ・・、
Spamトラックバックがなくなりました。
いやー良かったです。
秋のNYですが、なぜか田村正和のイメージが強くて・・・
あと、ダンディハウス(リチャード・ギア)のイメージが・・・
ロシアのイメージですか、ロシア正教とビザンティン帝国の後継者のイメージが強くて・・・
ローマ帝国ファンなので、それを基準に考えてしまいます。
ロシアが資源高によって、発展しているということは色んなところで述べられているみたいですね。
ぐっちーさんのおっしゃるとおりBRICSといえども、しっかり調べて投資する必要があるみたいですね。
やっぱり交渉ごとの基本は全部ビジネスの中に
詰まってるんですね。
ビジネス界の人がもっと政治にコミットしていかないと
官僚だけではダメなんだろうなあ。
悪質な書き込みをする方は知性と良心で自分をコントロールできない方で、畜生道の世界で住んでいるんでしょう。偽装設計事件の姉歯は餓鬼道の世界で住んでいたんでしょう。この様な連中は相手にできません。
無辜の市民が空爆や自爆テロで理不尽に殺されていますが、ぐっちーさんの場合は蚊に刺された程度の不条理でしょうから相手にせずマイペースでブログを書いて欲しいです。
映画「be cool」主演ジョン・トラボルタで黒人ギャングがロシア系アメリカ人マフィアをくそみそに罵声する場面がありまして、これを聞いてはっきりとアメリカ人は完全にロシア人をバカにしていることが分かりました。ぐっちーさんももしかして・・・・・。
ロシア人100%乗り組みの商船が入港した時、保安庁と水上警察の臨検がありました。今時こんなことは滅多にありませんので、8月の漁船拿捕の報復のつもりなんですね、きっと。
その船の船長に、今ロシアは原油高で経済がすごいんじゃないのと水を向けたら、お金ははロシアに入ってくるけれども極一部のところに留まっていて、庶民の生活は全然変わらないよ、と言ってました。
それにしてもロシア面白い国ですね。極端な官僚と、極端に人の良い人と、極端に美しい女性が、砂のように at random に混じり合ってできている。