2008/05/21 10:12 | サブプライム | コメント(16)
次のリスク
これについては何回か書いてきましたが、主に3つに集約されます。
まず、アメリカ金融のみならず世界中の金融機関の担保となっているアメリカ国債の価格下落リスク。金利を下げに下げてむりやり抑え込んでいますが、今の金利水準でアメリカ国債を買うということを正当化するのは相当に難しい。インフレリスクを恐れる投資家が出てくるなら急落リスクはかなりある。これをいかに抑えるか。
二つ目はCDSを中心としたオプションを行使する場合のカウンターパーティーリスクの存在。ベアースターンズの時に一瞬ヒヤッとした訳ですが、皆さんが持っているこの種のデフォルトスワップのカウンターパーティーリスクはまったく計算に入っていません。
500兆円あると言われるこの市場、だれが最初に試すのか、ベアー救済は実はカウンターパーティーリスクをしょいきれないJPの救済だったのではないか、などという悪いうわさもあるくらいで、これはFRBも把握し切れていません。
そして第3のリスク。
これは分散型証券化商品が持ってる宿命のようなものですが、きちんと一つ一つのローンにせよ、ボンドにせよ、資産をよく見て、分析して買ったファンドはいずれにせよ生き残る。
ロングオンリーなので、一時的に評価は下がりますがその資産自体の価値は残る訳です。証券化商品とは元来そういうものでだからこそ、結構なレバレッジも許された。
しかし、問題は大きく分散を図ったCDOの場合、その資産一つ一つの中身を見ていないと言う点。これが今回のサブプライムローン問題を大きくしたわけですが、同種のものが実はまだある。
アメリカ全土でブームになった所謂「貧困ビジネス」の証券化です。サブプライムローンはこの貧困ビジネスの住宅版に過ぎない。
中身をみなくとも分散していればCDOに組み込んでAAAの債券が発行できましたから、ローンをアレンジするブローカーは元来自分なら絶対リスクをとらない連中を取り込んで住宅ローンを組み、それをファンドを組成する投資銀行などに転売した。手数料だけもらえますからそれはおいしい商売だった訳ですが、これは住宅に限った話ではありませんよね。
元来クレジットカードなど到底持てそうも無い低所得者向けのクレジットカード及びそれに付随するローン。
あなたの息子も大学にいけますよ、と相手の弱みに上手く付け込んだ低所得者向け教育ローン。
頭金なしでキャデラックに乗れると勧誘した自動車ローン。
十分な医療を受けられない人々向けの医療保険ローン・・・・・
などなど、もうきりがない・・・これらはすべて証券化商品という形で組み込まれ、それを資産に債券が発行され、皆様が安全だと思い込んでいる銀行や保険会社が大量に購入しているという図式。
ですからこれはサブプライムローンに限った話ではないんですね。次は中所得層の住宅ローンが危ないと書いている学者も大勢いますが、「・・・・・」です。
怖いのはこれだけ裾野が広がったアメリカの貧困ビジネスの後始末であり、これは実はかなり難題と思われます。どうもこればっかりは市場が処理する、といういつものアメリカ流では終わりそうもない、というのが私の見立てですが如何でしょうか。
・・・この記事後で訂正を入れる可能性がありますので悪しからず。
ちょっと外出!!
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16 comments on “次のリスク”
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もえチャンを諦めて、
次のアイドルを探しに、渋谷界隈を彷徨ってるのでしょうかねぇ・・?
かつてソ連は労働者階級が名門だった。
民主党候補者は、競って如何に貧しい出であるか主張し、米国がソ連に回帰する恐れがあった。
だが
ぐっちー御殿が示唆される、
米国経済の解決は次回の大統領に、
とすれば、三人の候補者は何一つ具体策を主張していない。
手垢に塗れた二人よりも新人が、
とは思うが
目下権威ある経済ブレーンが、方程式を創作中だろう。大統領選で披露されるか・・・
NTTのS高や新日鉄の三空で、マージンコールが復活した雰囲気は感じてました。金融危機相場の次は素直に不景気相場でしょうか?(笑)
CDSの市場規模は$45トリリオンです、4500兆円でゼロが一つ少ないですよ。
http://www.nytimes.com/2008/03/23/business/23how.html?pagewanted=5&sq=credit%20default%20swap&st=nyt&scp=4
完全に大恐慌超え危機です。
5月8日のプログ 大山鳴動、パンダ二匹(二頭??)が、まさか、四川大地震の予言とは思いもしませんでした。もし今回の地震への日本の救援隊派遣に感謝してパンダが無償譲渡されればこの予言は完成であります。それとも逃げ出したパンダのことでしょうか?
数年内のアメリカ市場の崩壊の予言とあわせて非常に注目しております。
NHK「地球特派員2008広がるサブプライムショック
?アメリカ 危機に立つ金融大国?」みたら、中流層までもが道端?でキャンプ生活してましたよ。
デトロイドとか、街が閑散としてたんですけど、、、サブプライム自体よりモノが売れなくなって行くことで中流層が職を失っていくんですなぁ・・日本もああならないことを祈ります。
おっしゃるとおりです。日本の不良債権問題は一部の富裕層から、経済全体に広がって未だに、国民消費は盛りあがない。このあたりの問題は未だに止揚されていない。同じようの米国(内国)経済の問題はこれからでしょう。しかしながら昔から、米国内経済は赤字でも本籍の多国籍企業は黒字でしたよね。ということで、どこで戦争始めるやら。でもねーか。いまじゃアブダビの不動産バブル崩壊でいけるかも。
なるほど、よく分かりました、アメリカは貸して責任なのに簡単にローンが組めるとは、おおらかと言うか貧乏人天国じゃないですか、移民も増えるはずだわ、仰る様に貧困ビジネスの失敗は自明ですね。
メーソン氏は、「実はベアー・スターンズではなく、JPモルガンの救済だった」と語った。
次なる試練はCDS市場か?「時限爆弾」の中でファンドなど戦々恐々
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aTnzwCDEnnmY&refer=jp_top_world_news
所謂「貧困ビジネス」ですかw 凄いですね。
アメリカの経済成長はハリボテだったということですか?
まだまだ終わりそうにありませんね。。。。
韓国の方がローンまみれらしいですが、4年間持ちこたえたのは何故なのだろう。
2004 年 3 月 11 日
米モルガン・スタンレー証券の最近のリポートによれば、韓国の家計債務の水準は所得の117%、GNP(Gross National Product:国民総生産)の75%近くに達し、アメリカやイギリスのような「成熟経済の水準をはるかに上回る」という。
カード発行枚数
1998 4200万枚
2003 1億500万枚
家計の平均債務残高
1998 1万800ドル
2003 2万4300ドル
家計の総債務残高
1998 1560億ドル
2003 3660億ドル
ぐっちーさん、もし時間がありましたらnet open positonとoutstanding amountの違いについて解説してください。CDSについて私もいまいちよく分からないです。
原油が上がり続ける限り株価もそれほど落ち込むことはない、なぜなら今の株高を支えているのがオイルマネーマンたちだから。この今週は少しの調整で済むでしょう。
今後株価が1月・2月の水準まで落ち込むことがあるとすればそれは、ECBそしてFRBがインフレ抑制のため逆に利上げに踏み切る時だと思います。
最近変なコメントが続けざまに書きこまれているようですが、なんでこんなのを承認するんでしょうか。
不安を感じているときにその根本原因を突き止めようとせず、手近なところにわかりやすい敵を求めるのは弱い人間の普遍の心理だと思いますが、それにしてもお粗末な話です。
いくらピラミッドの上位に居ても
下が、崩れれば、いずれ
上も崩れるのです。
KUMAさん
>変なコメント
変なコメントは見ればわかるわけで。世の中にはいろんな考え方をする人がいてもいいわけでして、そんなに目くじらを立てることはないのでは?それに自分達で判断できるじゃないですか、コメントの良し悪しを。
私の想像ですが、きっとぐっちーさんは故意に放置して「さらしの刑」にしているの違いない。実は、承認の仕方がずさんだけだったりして(爆)。
恋は盲目といいますからね、その辺は大目に見ておいてあげましょうや。あんまりいじめるとまた「やめる」なんて言うからあの人(笑)。
ぐっちーさん、ぼちぼち行きましょ。
経済は言葉がむずかしすぐる
プライムと熊ちゃんは
クリーンヒットしか打てない
ヒットエンドランがほしい所
住宅バブルになったきっかけはなんだ?
ローンと一緒で売り煽りなノキア!
高値でつかんで
プライムちゃんとクマーがドーン!
こうですか? わかりません!