2005/09/21 09:18 | Weblog | コメント(10)
おそるべし資産効果
おはようございます。
さて、このブログを始めた頃、今年はかなり景気が回復すると書くと、どこの国の話しかね、と随分嫌味を言われた訳ですが(当時強気だったのはかんべえ先生くらいだったと記憶します)、いよいよ、バブル最盛期の出来高を今月更新し、昨日はSQを考慮しても32億6131万株なる東証の出来高は史上最高、いよいよ来た!!と思わせるに十分なものであります。三菱商事(8058)のようにバブルの高値に戻ったような優良株もあり、三菱商事の社員は持ち株会でしこしこ買っていてほんとに良かった・・・・と思っているはずであります。ぐっちーの同期もベンツを買うぞ!! と張り切っておりました。
今日指摘したいのはこの点なのです。
つまり、バブルの頃の主力は不動産でした。今回ぐっちーが強気に転じたポイントはやはり不動産動向なのですが、所謂ノンリコースローンというプロのローンに支えられて個人の参加比率は低かったというのが特徴です。もちろんリートなどで参加している部分はありますが、金額からすればバブルの比ではありません。しかし、株に関してはバブルの頃より遥かに大きな資産効果を生み出す可能性が今回はあるのです。
当時はほんとにしろーとがちょっとお小遣いを稼ぐ、という感じでありました。もちろん持ち株買いはありましたが、時価が高かったため月々5万円とかの積み立てではたいした株数は買えませんでした。
今回の資産効果を図る上での特徴はずばり、ストックオプションの導入です。
凡その数字を申し上げておくと、東証1部上場企業に限るなら、時価総額は2003年がボトムで224兆円、先週末が412兆円ですので、この4年で倍近く増えた訳です。これは個人資産総額のおよそ6分の1に当たります。
日経新聞の調査によると(いつも批判しているのにこういうのだけは使うのね・・・すみません)一部上場企業の65%がストックオプションを導入済み、とのことで予想外に多い印象ですが、実はこれがキーポイントになります。
ストックオプションの典型的なパターンをご紹介します。
例えば新日鉄(5401)を例にとりますと、ご多分に漏れず1998年から2003年まで最悪の業績でありました。すると例えば従来であれば300万のボーナスを年1回払っていた中間管理職がいたとして、業績不振につき、50万円を現金で払うので後はストックオプションで勘弁してね、とやる訳ですね。
通常ですと時価の90%あたりをストライクにして、残り250万円分ですので、ラフな計算ではありますが、1998年当時には時価およそ200円、すなわち行使価格180円の自社株を13,800株程度もらう、ことになります。通常これには凍結期間がついていて3年から5年は行使しないでね、という条件を付けられますので、場合によっては250万分にスペシャルボーナスとしてもう少し株数をもらっている可能性が高いと思われます。
因みに米国の会社ですと、ボーナスを現金で300万円払うと、同額、つまり300万円分の自社株を凍結期間10年とかで渡すことになり、これが将来の年金の代わりになります。直接は関係ないのですが、GMなどがいかに大問題だったのか、こういうところでもおわかり頂けるのではないでしょうか。
さて、新日鉄の社員です。計算を楽にするために年間14,000株として、行使価格を平均200円と見てみますか、多分もっと低いと思いますが(笑)
1998年から2005年までの間に現金支給であれば300万の7年分で2100万円で終了、ストックオプションですと7年間で98,000株を取得、時価350円で計算すると3430万円となり、その差は1300万円!!
もちろん凍結期間に該当するものもあるでしょうが、通常5年と考えてみると2003年あたりまでのストックオプションは十分行使可能であり、頑張って生活を切り詰めてきた余禄として、3000万円近い資産を保有しているサラリーマンが結構いるよ、といいう事です。
この期間、デフレでしたので、一概に預金金利を比較はできないかもしれませんが、この資産効果はばかにできません。しかも、このあたりの取得層は例の団塊の世代が多く、彼等は子育ても終わり、家も必要ありませんから、何に使うかといえば・・・・
消費直結、ということになります。
白金台とか麻布の2LDKタイプの高給マンションが一番の売れ筋なんだそうですが、こういう風に考えていくとなんとなく理解できそうであります。
という訳で、長くなりましたが、今回の株高の資産効果は相当大きなものがありまして、これを軽視すると見通しを誤る訳ですね。後はインフレなんですが、昨日も申し上げましたとおり、中国効果が続く限り心配はない。唯一、円安による購買力低下と例の会計操作の事情が不安・・・という位ですね。
以上、景気はかなり上向きと見ている理由です。
ただ、相場としては短期的にはあがりすぎ!!。利を乗せられる人は一度利をとって、次を狙うというのがここは定石です。
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10 comments on “おそるべし資産効果”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
昨年、猫の額ほどですが、はじめて土地を買いました(昔、マンションを郊外に購入し、投げた経験あり)。昨日の公示地価を見ても、とりあえず正解だったかな(笑)。
トラックバックお願いします。
リーブ21の値段表あります。
http://blog.livedoor.jp/kehae/
たまたまでしょうが相場がどんどん上昇していくなかで市場から資金を引き上げる、というオペレーションは、ぐっちーさんの解説による相場の「定石」でもあったんだ、ということを確認できました。ProfitTakingも「腹八分目」で。個人的には上出来かなあ、と思ってます(笑)。
ガイジンさんって、一度買うって決めたら
腰すえて買いますからねぇ。株が上昇傾向に
あるのは驚きでもなんでもありませんよね。
あとは、昨年時点でも、個人消費の底堅さを
示す数字がでてたはずですから、対米・対支
etcの貿易がどうあれ、景気がジワジワと
回復するだろうことは、普通に読めたでしょう
に、ってのはトーシロのする後講釈でしょう
か?(笑
>白金台とか麻布の2LDKタイプの高級マンションが一番の売れ筋
>白金台とか麻布の2LDKタイプの高級マンションが一番の売れ筋
吉祥寺あたりの武蔵野市も人気のようです。
http://sumai.nikkei.co.jp/special/kijun/index.cfm?i=20010920s3001s3
基準地価、軽井沢1地点で上昇 県内6年ぶり
http://www.shinmai.co.jp/news/20050921/mm050921sha0022.htm
同様に団塊の世代の別荘物件買いでしょうか。新幹線で東京から一時間半ですから。
はじめまして、さちグレと申します。とてもおもしろいブログで勉強しながら一気に過去の方まで読ませてもらいました!
ストックオプション導入済みの会社が65%って多いなーと確かに思うのですが、ほんとうに株数もらってるのかなーとちょっと疑問です・・・
>短期的にはあがりすぎ。
そうですよね。自分の保有している不動産株を売りたいけど、売ろうとすると上がってて売れない・・・・
まだまだ勉強中です?
さちグレさん
ようこそお越しくださいました。よしなにお願い申し上げます。
確かにストックオプションはアメリカのそれ、に比べると株数がしょぼい、というのはありますが、社員持ち株会なども完備されているので、そこそこの資産は形成されている、ということですね。
株はF1みたいなもんだと、思ってください。マシンも、ドライバーもタイヤ交換も完璧に進んでいたのに、佐藤琢磨みたいなやつが突っ込んできて事故る・・・・ってなイメージです。一度売って、利益を確定して、やっぱりあがりそうなのでもう一度買ったら売値より500円高かった・・・・なんてのもアリですね。利益確定が一番大事なアクションですから。
頑張って儲けてくださいね!!
株やいろんなマネーの勉強中のミカです。
すごぉ?く奥深い!
いろいろ勉強になりますぅ
また、遊びにきちゃいます^^
mika♪さん
♪も名前の一部、ですよね。
いらっしゃいませ。たいして勉強にもなりませんが、今後ともよろしくお願い申し上げます。