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2025/06/30 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第310号 何かと揺れたFRBまわり


イスラエル・イラン戦争が激化する可能性も高いと思われた先週のマーケット、様々な動きがありました。また、関税交渉もさることながら、トランプ大統領によるFEDへの突き上げも目が離せません。というわけで、今週も幅広くお伝えします。

●先週のマーケット
・都区部インフレは鈍化へ?!
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. 低調続く米住宅市場
 ・中古住宅販売件数 5月
 ・新築住宅販売件数 5月
2. 新規失業保険申請件数
3. PCEデフレータ 5月
4. 意見割れるFOMC メンバー
5. 現FRB議長の力削ぐトランプ
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

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あとがき
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今週のメルマガはFEDの話が多くなってしまいましたが、日銀に目を向けると先週は6月会合の「金融政策決定会合における主な意見」が公表されています。

その内容から様々な意見交換があったことがうかがえますが、端的に言えば不確実性がある中では動かないほうがいいというスタンス。ただし、物価上振れ局面であるのも事実で関税の行方さえハッキリすれば利上げ継続に戻る余地は残しつつも、関税の行方によっては経済の下振れを招く恐れもあるため、待てるなら待とうという状態のようです。実際、日米関税交渉が長引いている現状を考えると、日銀は動きにくく、時間をかけて政策判断を下すということになりそうですね。

その日米関税交渉がこじれているのはご存じの通りで、2025年4月の協議開始以降、閣僚級協議は7回に及び、6月17日の日米首脳会談でも合意には至りませんでした。7月9日に交渉の猶予期限(米国側の追加関税適用猶予)が迫る中、今後の追加関税発動回避に向け協議継続が確認されたが、依然として結論は不透明です。

しかし、この日米の交渉、日本側は、米国による自動車への追加関税(25%)の撤回を最重視しており、交渉責任者の赤沢経済再生相は「25%の自動車関税は受け入れられない」と強調。交渉開始以来一貫して全ての追加関税措置の見直しを求めている。また、日本側は米国が要求に応じない可能性も見据え、自動車関税率を各国の米国自動車産業への貢献度に応じ段階的に引き下げる仕組みも提案しているようです。

一方米国側は、日本の求める自動車関税の撤廃に難色を示しており、引き下げにも慎重とみられます。代わりに米国は日本に対し、コメを含む農産品市場のさらなる開放や自動車分野の非関税障壁是正を求めており、交渉は難航しています。

しかし、こうして見ると米国が自動車関税は外さないと言っているのに、日本は自動車関税を外す交渉に注力し論点がずれており、現状のところ進展はゼロと言っていい。そもそも、この自動車への追加関税は日本が標的である可能性が高く、米国は1ミリも譲る気配がない。まず自動車関税にこだわるのをやめて交渉を進め、別のカタチで日本が利するための交渉をすればよかったのではないかと。

このままでは関税が課されていくことはもちろん、関税交渉の遅れは日銀の利上げを後ずれさせ、最悪頓挫させる。こういったことは市場に当然見透かされ必要以上の円売りにつながってしまうというのは言うまでもありません。交渉失敗と言われても仕方がないでしょう。

何より、なぜ石破総理は自ら米国との関税交渉に出ていかないのか?

4月にトランプ・赤沢会談が行われた後の会談で「最も適切な時期にアメリカを訪問し、トランプ大統領と直接会談したい」と仰っていますが、行われているのは短時間の電話会談のみ。G7では二国間会談が行われていますが、インパクトが薄い感じ。先週も、オランダで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議も、石破総理は直前で出席を中止、代わりに岩屋外務大臣が参加しました。欠席を決めた理由は、トランプ大統領が出席を見送る公算が大きいことや、中東情勢の緊迫化を挙げていますが、実際トランプ大統領は急遽出席を決めており、中東情勢も落ち着きを取り戻しており、与党内からも欠席に対する批判が出る始末。

せっかく、主要国と連携を深めて日本の立ち位置を示す機会をみすみす逃したのはどうもよくない。日米交渉がまとめきれていないのはわかっているわけで、ここぞというところで総理が出ていかなければダメというのは政治の素人の筆者でも感じるところ。米国相手に高度な政治の話をしなければならないにも関わらず、どうも政治的なセンスがないように見えてしまいますね。どうかしっかりしていただきたい。

さて、先週気象庁が、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿の各地方の梅雨明けを発表しました。例年より3週間程度も早い梅雨明けで、この調子で東海以北もこの調子で梅雨明けとなるのでしょう。すでに、梅雨明けしているような暑さですのでくれぐれも皆様体調には気を付けてお過ごしください。

そして、毎週ご紹介している瓶ウニですが、開始直後はお待たせしてしまっていたのですが、先週などは漁も好調で順調に発送ができています。こうも梅雨明けが早いと、海水温の上昇も例年より早まりそうで、案外取り扱いできる期間が短いのではないかと心配ですが、そのあたりは現地と連絡を取りながら、お伝えしていきます。

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いよいよ7月です。月末月初お忙しい方も、よい1週間をお過ごしください!

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