2021/10/25 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(10/24~30)米インフラ法案、バイデンの台湾防衛発言、中国経済、G20、衆議院選挙
先週から急に冬のような寒さになりました。私も羽毛布団を出して家ではスエットを着るようになりました。コロナよりも風邪を引かないように気をつける必要がありますね。
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先週の動き
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10/17(日)
・中国が極超音速兵器の発射実験を8月に実施したとファイナンシャル・タイムズが報道(中国はミサイルではなく宇宙船の実験と主張、米国は懸念を表明)
10/18(月)
・バイデン大統領と下院民主党の進歩派議員連盟「コングレッショナル・プログレッシブ・コーカス(CPC)」トップのジャヤパル議員が会談
・米国のハリルザド・アフガン和平担当特別代表が辞任(後任はトーマス・ウエスト副特別代表)
・米司法省がテキサス州の人工妊娠中絶の大半を禁止する法律の執行の差止請求について連邦最高裁に上訴
・トランプ前大統領が連邦議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会と国立公文書館を相手方に大統領特権による前政権時代の記録の秘密保持を求めて提訴
・パウエル元国務長官が死去
・中国の21年7~9月期の実質GDP成長率の発表(前年同期比+4.9%)
・EU外相理事会(ルクセンブルク)
10/19(火)
・日米韓の北朝鮮に関する外務高官協議(ワシントンDC)
・国土安全保障省がマヨルカス長官の新型コロナウイルス感染を発表
・中国全人代常務委員会(北京、~23日)
・北朝鮮が日本海に向けて新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射
10/20(水)
・バイデン大統領がペンシルベニア州スクラントンを訪問
・トランプ前大統領が新たなSNS「トゥルース・ソーシャル」を立ち上げる計画を発表
・ロシア主導のアフガン情勢に関する国際会議(中国、パキスタン、インド、タリバンが参加)(モスクワ)
10/21(木)
・バイデン大統領がCNN主催のメリーランド州ボルティモアでのタウンホールミーティングに出席(米国は台湾を防衛する責任があると発言)
・米英仏伊西墺がデジタル課税について妥協案に達したと発表
・米下院がバノン元首席戦略官を議会侮辱罪で刑事訴追する決議案を可決
・EU首脳会議(ブリュッセル、~22日)
・NATO国防相理事会(同)
・トルコ中銀が政策金利を引き下げ(18→16%)
10/22(金)
・米仏首脳電話会談
・米連邦最高裁が米司法省のテキサス州の人工妊娠中絶の大半を禁止する法律の執行の差止請求を棄却する判決(11月1日に本案審理)
・中国恒大集団が10月23日に利払いの猶予期限が切れる米ドル債の利息8,350万ドルを21日に送金したとの報道
・APEC財務相会合(オンライン)
10/23(土)
・中ロの海軍が10月17~23日に西太平洋の海域(日本海、東シナ海含む)で初の合同巡視活動を実施したと発表
・中国全人代常務委員会が陸地国境法を可決(北京)
・トルコのエルドアン大統領が拘束されている実業家の釈放を求めた米独仏カナダ、フィンランド、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、NZの駐トルコ大使をペルソナ・ノン・グラータに指定するよう外相に指示したと表明
・サウジ・グリーン・イニシアチブ会議(リヤド、~25日)
●米国のインフラ法案
民主党のインフラ法案(Build Back Better, BBB)をめぐる協議は、民主党のジョー・マンチンとキルステン・シネマの両上院議員の反対により難航する状況が続いていますが、先週、ホワイトハウスが積極的な動きを見せ、あわただしく事態が動きました。合意に向けて様々なシグナルが出てきています。
まずバイデン大統領が下院民主党の進歩派議員連盟「コングレッショナル・プログレッシブ・コーカス(CPC)」トップのプラミラ・ジャヤパル議員と会談。ジャヤパルはバイデンの仲介に向けた努力を高く評価し、規模の縮小を受け入れる姿勢を示しました。バイデンは、法案の規模を3.5兆ドルから1.75~1.9兆ドルに縮小すればマンチンとシネマとは折り合えるとの見方を示したと伝えられています。
一方、マンチンは、気候変動と社会保障においていまだ立場の隔たりがあり、近いうちに合意に達することはないと発言しました。またバイデンは、CNN主催のメリーランド州ボルティモアでのタウンホールミーティングで、気候変動対策や子育て支援のための財源として予定していた法人税の引き上げを実現することは難しいとの見方を示しました。
ペローシ下院議長は、超党派のインフラ法案(Bipartisan Infrastructure Bill, BIB)の採決(以下の記事参照)を10月31日に行うことを目指すとしています。こうした状況を踏まえ、BBBとBIBの今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。
・「米国のインフラ法案と債務上限」(10/4)
●バイデンの台湾防衛発言
バイデン大統領がCNN主催のメリーランド州ボルティモアでのタウンホールミーティングで、台湾が中国に攻撃された場合に米国は台湾を防衛するのかと問われ、「そうだ、我々はそうするというコミットメントをしている」と回答しました。
以下の記事で述べたとおり、米国は、台湾関係法に基づき、台湾の防衛力を維持することについて義務を負っていますが、防衛義務は負っていません(「戦略的曖昧さ」政策)。このため、米国は台湾政策を変更したのか?という疑問が寄せられましたが、サキ大統領報道官は、米国の台湾政策に変更はないと明確に述べ、事態の収拾を図りました。
・「日米首脳会談」(4/21)
本件の意味するところについてコメントを述べます(※メルマガで解説)。
●中国の経済成長率の鈍化
中国の21年第3四半期(7~9月期)の実質GDP成長率は前年同期比4.9%で、前期(7.9%)から大きく鈍化。1~9月期の成長率は同9.8%となりました。
中国経済の見通しについてコメントします(※メルマガで解説)。
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今週の動き
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(※G20サミット、衆議院議員選挙など、メルマガで解説。)
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あとがき
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■ パウエル米退役将軍、コロナのため死去 アフリカ系初の制服組トップと国務長官(10月18日付BBC)
コリン・パウエル元国務長官がコロナの合併症で死去。84歳。ワクチンを接種していたが、多発性骨髄腫により免疫が低下していたとのことです(反ワクチン派はワクチンの有効性を疑わせる材料として利用しています)。
パウエルは昨年、バーチャル形式で開催された民主党大会に登壇し、バイデンを支持する演説を行っていました(以下の記事参照)。パウエルは共和党員ですが、16年大統領選でもトランプではなくヒラリー・クリントンへの支持を表明していました。
・「米民主党大会」(20/8/25)
なおパウエルは08年と12年の大統領選でもオバマを支持していました。党派を超えて自分の信念を貫いてきたリーダーの代表格といえます。しかし、そんなパウエルをトランプ前大統領は「名ばかり共和党員(RINO)」と呼んで非難しました。
亡くなった人にこのような辛辣な言葉を投げつけるのもトランプらしいというか、それほど驚くことでもないと思いますが、それにしてもパウエルのように中道で超党派の合意を追求するタイプは、今の米国ではすっかり稀少な存在になりました。パウエルのみならず、誰でもRINOと批判されてしまうような空気が漂います。
パウエルといえば、湾岸戦争で英雄になり、イラク戦争で(国連安保理の演説で「フセイン政権が大量破壊兵器を保有している証拠がある」と述べたことで)その名誉を失墜させたことがよく取り上げられますが、イラク戦争のとき、私は米国に住んでいて、パウエル演説もライブで見ました。パウエルと聞くとあの頃の米国を思い出します。もう20年近く前というのが信じられませんが。
米国を考える上でも、個人的な思い出という点でも、一つの時代の終わりが感じられました。ご冥福をお祈りします。
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