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The Gucci Post [国際政治・経済・金融 × プロフェッショナル]

2021/02/04 06:30  | 映画・文学・芸術 |  コメント(0)

映画『ヒルビリー・エレジー』


ミャンマーのクーデターは衝撃でした。昨年11月の選挙でNLDが圧勝した後、国軍と国軍系政党(USDP)は選挙不正の主張を続け、先週(26日、27日)、報道官と国軍司令官がそれぞれクーデターの可能性を否定しない発言に及び、かつてなく緊張が高まっていました。

しかし、週末(30日)には国軍はわざわざ「憲法を遵守する」という声明を出し、懸念は和らいでいました。私を含め多くの専門家は、火種を残しつつも、新議会が開催される2月1日はとりあえず無事に迎えると思っていました。

それが今回の事態、まさに急転直下の展開でした。憲法を守るという声明も油断を誘うためのものだったのかもしれません(ただ直前(31日)までNLDとの交渉は続けられ、決裂したという経緯もあったようです)。

ミャンマー憲法は、非常事態宣言とその場合における国軍司令官の全権掌握を認めています。以下の記事で述べたとおり、ミャンマーの「民政移管」を実現した現憲法は、08年に国軍が起草したもので、非常事態宣言含め国軍に大きな権力を与えていました。このためミャンマーはいまだ完全な民主国家とはいえず、NLDは憲法改正を最重要の公約に掲げていました。しかし、当然ながら国軍の反対により憲法改正は実現せず、今回まさかの発動に至ってしまった(国軍の理屈では「憲法を遵守した」ことになる、もっとも非常事態宣言の発令権限は明文上大統領にあるのですが)・・ということです。

「ミャンマー現代史(2):民主化と経済発展」(19/12/3)

08年から16年にかけて実現したミャンマーの民主化は、アジアの民主主義、そしてオバマ政権にとって輝かしい成果といえるものでした。それが深く傷つけられました。米国とEUは制裁の可能性を示唆していますが、もしそうなれば、ミャンマー経済にと進出日系企業の事業に大きな影響が及ぶ可能性があります。中国を含む東アジア・南アジアの地政学的な状況にも関わってきます。

今後の展望含め詳しくは来週解説します。本日は、軽めの話題です。

Hillbilly Elegy Official Trailer(2020年10月14日付Netflix)
J・D・ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』

Netflix映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』(ロン・ハワード監督、2020年公開)を見ました。その感想を述べます。

また、読者の方から、コメント欄で以下のとおりご質問がありました。

>行政の各部門のトップを日本では「大臣」と呼びUSAの場合は「長官」と呼ぶのかと思いますが、呼び名の違い以外に、権限・機能・立場などで違いはあるのでしょうか?

こちらについても、私からの回答を述べます。

※ここから先はメルマガで解説します。

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あとがき
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エアロビ踊る背後でクーデター ミャンマーの動画が世界で拡散(2月3日付BBC)

私も驚いてツイッターで拡散した動画、フェイクではないかというツッコミがありましたが(最初は私もその可能性を疑いました)、記事にも書かれているとおり、おそらく本物とのことです。

影が切れているという指摘を見かけましたが、この女性は同じ場所(ネピドー市内のロータリー)で何度もダンスの動画を投稿しており(こちらのFBリンク参照)、いずれの動画も影は同じような形になっています(段差によって隠れるようです)。

クーデターの日ではなかったのではとの指摘も見かけましたが、この動画はクーデター当日の2月1日夕方に投稿され、「朝のニュース前の動画です」とのメッセージが書かれていました(記事によればBBCは本人に確認した模様)。本人はこれだけ拡散されて戸惑っているのではとも思われましたが(国軍支持者から批判も受けているとのこと)、その後も普通に更新を続けており、特に問題はなかった模様。

ミャンマーはFBが大変盛んな国で(東南アジアは総じてどこでも人気ですが)、私も現地の友人とはFBメッセンジャーで連絡することが多いです。そうした背景もあり、ネット上のフェイクニュースも大きな問題になっています。たとえば「ロヒンギャ」難民についても、難民の暴行を捏造した動画やニュースが拡散されたことがありました(国軍が流したという見方もある)。

クーデター直後にアウンサン・スーチーがクーデターを予期して国民向けメッセージを残しており、それが公式アカウントに投稿されたのですが、これもフェイクではないかというコメントが数多く寄せられていました。

SNSやフェイクニュースが政治や社会に与える影響の大きさは、米国で見てきたとおりですが、東南アジアでも勝るとも劣らぬ重要なテーマになっています。19年のインドネシア大統領選でも大きな問題になったことなど以下の記事でお伝えしました。

「シンガー、ブルッキング『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』」(19/11/1)

エアロビ動画は、そういった問題とは無縁の微笑ましい(?)話だったようですが、それにしても、このような動画配信をしているとたまたま歴史的場面に立ち会うこともあるということですね。いかにもSNS時代らしいエピソードでした。

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