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2021/01/11 00:00  | 今週の動き |  コメント(1)

今週の動き(1/10~16)米議会襲撃(バイデン次期大統領選出)、ジョージア州上院選、トランプ政権の対中攻勢、カタール国交回復、CDU党大会


東京、埼玉、千葉、神奈川で緊急事態宣言が出されました。飲食店や映画館などの営業時間は午後8時までとのこと。期間は2月7日まで。私の周りでも厳しい状況にある方々は多く(私自身も他人事ではないですが)、悩みは深まります。

政府の対応に色々と疑問は感じますが、前を向いて頑張るしかないですね。昨年3月のときと同様、私からも、幅広い視野から情報と考察をお伝えすることで、皆さんをサポートしたいと思っています。よろしくお願いします。

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先週の動き
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1/3(日)
・トランプ大統領がジョージア州のラッフェンスペルガー州務長官に同州の大統領選の結果を覆すよう圧力をかけていた電話会談の録音をワシントン・ポストが報道
・米第117期連邦議会の開始

1/4(月)
・トランプ大統領とバイデン次期大統領がジョージア州(ダルトン、アトランタ)で選挙集会
・ジョージア州のラッフェンスペルガー州務長官がトランプ大統領との電話会談について同大統領の主張は誤っているとABCのインタビューで発言
・米国の元国防長官10人(カーター、チェイニー、コーエン、エスパー、ゲーツ、ヘーゲル、マティス、パネッタ、ペリー、ラムズフェルド)が選挙への軍の関与を否定するオピニオンをワシントン・ポストに寄稿
・NY証券取引所が中国の通信大手3社(中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム))の上場廃止方針の撤回を発表
・米極右団体「プラウド・ボーイズ」のリーダーのエンリケ・タリオがワシントンDCで器物損壊罪の容疑で逮捕
・イランがフォルドゥの核施設でウランの濃縮度を20%に引き上げる作業を始めたと発表(IAEAも確認)
・イランがホルムズ海峡のオマーン沖を航海中の韓国船籍のタンカーを拿捕したと発表
・サウジがカタールとの国境閉鎖の解除を発表
・OPECプラス(オンライン、~5日)
・英国のジョンソン首相が新型コロナウイルス対策としてイングランドの外出規制の強化を発表

1/5(火)
・ジョージア州連邦上院選の決選投票(民主党のワーノックとオソフが勝利)
・トランプ大統領の支持者が大統領選の結果に対する抗議デモ(~6日)
・トランプ大統領がアリペイ、ウィーチャットペイを含む8つの中国アプリに関わる取引を米国内で禁じる大統領令に署名
・北朝鮮の朝鮮労働党大会(平壌、~9日)
・湾岸協力会議(GCC)首脳会議(サウジ・ウハー)(サウジ、UAE、バーレーン、エジプトとカタールが国交回復で合意)
・OPECプラス最終日(協調減産を2月から小幅に縮小することで合意)
・サウジが2~3月に日量100万バレルの原油の追加減産を発表

1/6(水)
・米連邦議会両院合同会議(トランプ大統領は抗議集会を開催、トランプ大統領の支持者が議事堂に乱入して審議が中断(5人死亡)、バイデン前副大統領が選挙人投票で過半数を獲得したことが確認)(ワシントンDC)
・ツイッターとフェイスブックがトランプ大統領のアカウントを凍結
・グリシャム大統領夫人首席補佐官が辞任
・ポンペオ国務長官がクラフト国連大使の台湾訪問を発表
・NY証券取引所が中国の通信大手3社(中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム))の上場廃止方針の再開を発表
・香港警察が立法会前議員の胡志偉氏ら53人を香港国家安全維持法違反の容疑で一斉逮捕

1/7(木)
・ツイッターがトランプ大統領のアカウントの凍結を解除、トランプ大統領はスムーズな政権移行を約束する動画をツイート
・ペローシ下院議長とシューマー上院院内総務がペンス副大統領に対し憲法修正25条に基づくトランプ大統領の罷免を要求
・チャオ運輸長官、デボス教育長官、ポッティンジャー大統領次席補佐官、NSC欧州ロシア担当上級部長、マルバニー北アイルランド問題担当特使らが辞任を表明
・米ホワイトハウスが国土安全保障省のウルフ長官代行を長官に指名する方針の撤回を発表
・フェイスブックがトランプ大統領のアカウントを無期限停止
・バイデン次期大統領が次期政権の司法長官にメリック・ガーランド・ワシントンDC連邦高裁判事、商務長官にジーナ・レモンド・ロードアイランド州知事、労働長官にマーティン・ウォルシュ・ボストン市長、中小企業長官にイザベル・グズマン・カリフォルニア州経済開発局幹部らを指名
・香港警察が黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏を香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕

1/8(金)
・トランプ大統領が1月20日の大統領就任式には出席しないとツイート
・ツイッターがトランプ大統領のアカウントを永久停止
・バイデン次期大統領が次期政権のNSCのスタッフ(ジョン・ファイナー大統領次席補佐官、ヨハネス・エイブラハム事務局長、アマンダ・スロート欧州上級部長、ブレット・マクガーク中東・北アフリカ調整官等)を指名
・ポンペオ国務長官とブリンケン次期国務長官が会談
・ソウル中央地裁が元慰安婦の日本政府に対する損害賠償請求を認容する判決

1/9(土)
・ポンペオ国務長官が米国の政府関係者(外交官、軍人等)の台湾のカウンターパートとの交流の自主規制を撤廃すると発表
・アップルが保守派SNS「パーラー」をアプリストアから排除(アマゾン・ウェブ・サービスはクラウドの提供の打切りを通告)
・中国河北省の石家荘市が新型コロナウイルス対策として全市民に7日間自宅にとどまるよう通知

●米連邦議会議事堂の襲撃(バイデンの次期大統領選出)

1月6日に上下両院合同会議が開催され、選挙人投票の結果が確認されました。アリゾナ、ペンシルバニア、ジョージア、ミシガン、ネヴァダの5州の結果については、下院の共和党議員から異議が出され、アリゾナとペンシルバニアについては上院議員も同調しましたが、いずれも異議は否決。最終的にバイデン前副大統領が306人、トランプ大統領が232人の票を獲得したことが確認され、バイデンの次期大統領選出が決定しました。以下の記事で述べたとおりの展開です。

「米上下両院合同会議」(1/4)

しかし、選挙人投票の確認途中に信じがたい事態が発生しました。まず上下両院合同会議の開始1時間前の昼過ぎに、トランプがホワイトハウス近くで集会を開催。数千人の支持者に対して、選挙不正を訴えた後、「議事堂(キャピトル)に行こう」「私も一緒に行く」「議員たちを勇気づけるんだ」「勇気づけられないときには、力を示す必要がある」と呼び掛け。これを受けて多数の支持者が議事堂に向かって行進を開始しました。

議会がアリゾナ州の結果を審議していた頃、支持者たちが何と議事堂内に侵入しました。銃器を持っている者もおり、警備隊との衝突が発生。ペンス副大統領(上院議長)をはじめ議員たちは退避。バイキングのツノと毛皮を着た異様な姿の男(「Qアノン・シャーマン」と自称する著名な活動家)たちが歩き回り、ペンス上院議長の席を占拠し、ペローシ下院議長の執務室に入って写真撮影を行い、南軍旗を掲げて行進し、ポディアムやラップトップを略奪するなど、現実とは思えない光景がSNSやメディアに流れました。

混乱の中で、トランプ支持者4人、警察官が1人死亡(トランプ支持者の1人は女性で、銃で撃たれて死亡)。ホワイトハウスは州兵を派遣し、夕方6時頃に乱入者たちは排除され、3時間近くに及んだ議会の占拠は終わりました。なお、その後、議事堂近くの民主党と共和党の全国委員会本部の建物でパイプ爆弾も発見されています。

議会は審議を再開。冒頭述べたとおり5州で異議が出され、一つ一つについて審議を行ったため、審議は深夜に及びました。バイデンの選出が決定したのは午前3時44分でした。

議事堂の乱入者には、民主党と共和党の双方の議員から痛烈な非難が浴びせられ、トランプに対しても、この事態を招いた責任が問われました。トランプ政権高官からも非難の声が上がり、チャオ運輸長官、デボス教育長官、ポッティンジャー大統領次席補佐官、トゥリーNSC欧州ロシア担当上級部長、マルバニー北アイルランド問題担当特使らが抗議のため辞任を表明しました。

トランプは議事堂襲撃が起こると「平和的に!」とツイートして自制を呼びかけましたが、その後、選挙不正を訴えつつ、「愛国者が不当に扱われている」「この日を忘れるな!」とツイート。ツイッターはこれらのツイートを暴力を煽るものとして非表示とし、トランプのツイッターを12時間凍結しました。

トランプが非表示とされたツイートを削除すると、1月7日、アカウントの凍結が解除され、トランプはスムーズな政権移行を約束すると述べる動画をツイート。選挙不正の批判を控え、「癒し」と「和解」を強調するなど、これまでにない穏当なトーンで、ついに「敗北宣言」をしたと受け止められました。

ところが1月8日、トランプは「自分に投票した7500万人の愛国者の声はこれからも偉大な声になる。軽視されたり不当に扱われてはならない!」「1月20日の就任式には行かない」とツイート。ツイッターはこれを暴力を煽る恐れがあると判断し、トランプのアカウントを永久停止しました。トランプは大統領の公式アカウントから、ツイッターを激しく批判し、「近い将来自分たちのプラットフォームを立ち上げる」「乞うご期待!(Stay tuned!)」とツイートしましたが、すぐに削除されました。

民主党のペローシ下院議長とシューマー上院院内総務はペンス副大統領に対し、憲法修正25条によってペンスを大統領代行とすることを要求。さもなければ弾劾手続きを進めると宣言。今週、下院で弾劾決議案が提出されることが予想されます。

バイデンの次期大統領選出は予定どおり完了しましたが、その成果を吹き飛ばすような衝撃の事件でした。米国建国以来最悪の事態ともいえます。今回の事件の意義と今後の影響について、明日解説します。

●ジョージア州上院選の決選投票

ジョージア州上院選の決選投票は、民主党のジョン・オソフラファエル・ワーノックが共和党のデヴィッド・パーデューケリー・ロフラーをそれぞれ破り、民主党が2議席を獲得しました。以下の記事で述べたとおり、民主党2勝は想定の範囲内ではありましたが、共和党がわずかに優位と思われていたので、驚きの結果でした。

得票率の差はオソフが+1.1%、ワーノックが+1.9%。ジョージア州の再集計の条件は票差が0.5%以下であることなので、申し立ては認められません。ロフラーは早々に敗北を認め、パーデューは当初徹底抗戦の構えを見せましたが、2日後に敗北を認めました。今回の選挙の意義を述べます(※メルマガに限定)。

「ジョージア州上院選の決選投票」(1/4)

●トランプ政権の対中攻勢(中国アプリ規制、通信企業の上場廃止、国連大使の訪台)

トランプ政権は残すところあとわずかですが、政権末期に対中攻勢に拍車がかかっています。

先週には、トランプ大統領がアリペイ、ウィーチャットペイを含む8つの中国アプリに関わる取引を米国内で禁じる大統領令に署名。そしてNY証券取引所(NYSE)が中国の通信大手3社(中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム))の上場廃止方針の再開を発表。

さらに、クラフト国連大使の台湾訪問が発表されました。また、ポンペオ国務長官が米国の政府関係者(外交官、軍人等)の台湾のカウンターパートとの交流の自主規制を撤廃すると発表しました。これらの動きについてコメントします(※メルマガに限定)。

●カタールの国交回復

湾岸協力会議(GCC)首脳会議が開かれ、カタールとサウジ、UAE、バーレーン、エジプトのアラブ4か国が国交回復で合意しました。その意義についてコメントします(※メルマガに限定)。

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今週の動き
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1/10(日)
・カザフスタン議会選挙
・キルギス大統領選挙

1/11(月)
・米民主党がトランプ大統領の弾劾決議案を下院に提出
・米国で中国軍関連企業31社(ファーウェイ、中国移動通信(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、ハイクビジョン等)への投資を禁止する大統領令が発効

1/13(水)
・米国のクラフト国連大使が訪台(~15日)

1/14(木)
・バイデン次期大統領が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加経済対策を公表
・ウガンダ大統領選挙

1/15(金)
・ドイツ与党CDU党大会(オンライン、~16日)

●CDU党大会

ドイツの最大与党CDUの党大会が開催され、メルケル首相の後継者となる党首の選出が行われます。保守派(反メルケル)のフリードリヒ・メルツ、中道派(親メルケル)のアルミン・ラシェット、外交通のノルベルト・レトゲンの3人の争いになります。その意義については以下の記事で述べたとおりです。

「2021年の展望(欧州)」(1/6)

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あとがき
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ジョージ・クルーニー、散髪は自分で 「フロービーを使う」(20年12月2日付CNN)

ジョージ・クルーニー、あのスッキリした髪型が自作のヘアカットだったとは。こちらのリンクの動画では実際に髪を切っているところが見られます(07:30)。

なおクルーニーがヒゲもじゃになっているのは、Netflix映画『ミッドナイト・スカイ』(ジョージ・クルーニー監督、2020年公開)の役作りのためです。

冒頭記事によれば、クルーニーは役作りのために短期間に過激なダイエットをして入院したとのこと。そういえば、最近、インド映画『ダンガル』(ニテーシュ・ティワーリー監督、2016年公開)を見ましたが、主役のアーミル・カーン筋肉と体格の変化もすごかったですね。最初見たときは別人と思ったほどです。

この映画はインド映画史上ナンバー1の興行成績で有名ですが、本当に素晴らしい作品です。私は何度も泣きました。Netflixで見られます。お勧めです。

Dangal | Official Trailer(16年10月20日付UTV Motion Pictures)

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One comment on “今週の動き(1/10~16)米議会襲撃(バイデン次期大統領選出)、ジョージア州上院選、トランプ政権の対中攻勢、カタール国交回復、CDU党大会
  1. りこまま より
    トランプ政権末期の

    重い話しが続くなかで、JDさんの外交官時代のお話しは一服の清涼剤でした。サバンナは美しい街ですね。ずっとあとがきしか読んでいなかったので、何もかもが新鮮です。ステーシー・エイブラムスの今後も楽しみです。konanさんが珍しく憤っておられましたが、JDさんのメルマガを読みアメリカの政治に関心を向けると、日本の政治家への不甲斐なさを感じてしまいます。そしてその政治家を選んだのは私達自身であり、もっと丁寧に、政治家の本音と建前、そして行動を見て、選んでいかなければという気持ちにさせられます。カタールの国交正常化の話しは、とても難しかったので、2017年の記事も読みながら、もう一度じっくり読みます。

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