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The Gucci Post [国際政治・経済・金融 × プロフェッショナル]

2020/12/25 18:00  | 回顧と展望 |  コメント(2)

2020年の回顧


年末ということで、恒例の1年の回顧です。

まずこちらは私が年始に書いた2019年の展望です。

「2020年の展望(1)/(2)」(1/10・22)

本年に予定されていた主要イベントを整理した上で、世界情勢を左右する重要テーマを以下のとおりピックアップし、それぞれについて考察を加えていました。

●トランプ弾劾裁判
●民主党の予備選
●米大統領選挙
●トランプ外交
●米中交渉
●米朝交渉
●日米交渉
●米国の中東政策
●中東の政治変動
●BREXITの苦難
●アジアの選挙
●中南米の混沌

今年実際に起こった主要イベントを確認しましょう。

1月
・米国によるイランのソレイマニ司令官の殺害とイランの報復攻撃
・台湾総統選挙(蔡英文総統が再選)
・米中の「第1段階の合意」署名
・BREXIT実施(年末まで移行期間)

2月
・トランプ大統領の弾劾裁判で無罪評決
・イラン議会選挙(保守派が勝利)

3月
・新型コロナウイルスの感染拡大(WHOのパンデミック宣言)
・イスラエル総選挙(リクードが第1党)

4月
・韓国総選挙(与党「共に民主党」が勝利)
・WTI原油先物価格がマイナス価格

5月
・中国全人代
・BLM運動の拡大

6月
・中国とインドの軍事衝突
・香港国家安全維持法の施行

7月
・ロシアの憲法改正案の国民投票(承認)
・米中の総領事館の閉鎖

8月
・レバノンの爆発事故
・ベラルーシ大統領選挙(ルカシェンコ大統領が6選)
・米民主党全国大会(オンライン)
・米共和党全国大会(シャーロット)

9月
・UAE・バーレーンとイスラエルの国交正常化
・米国のファーウェイ輸出規制の強化
・菅政権の発足
・国連総会
・ナゴルノ・カラバフをめぐるアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突

10月
・5中全会
・NZ総選挙(与党労働党が勝利)
・ボリビア大統領選挙(アルセ元経済・財務相が勝利)

11月
・米大統領選挙(バイデン前副大統領が勝利)
・米国のパリ協定離脱
・ミャンマー総選挙(与党NLDが勝利)
・APEC首脳会議(オンライン)
・G20サミット(オンライン)

12月
・英・EUの将来関係に関する合意
・BREXIT移行期間終了

今年も、最大の政治イベントだった米大統領選をはじめとして、色々な出来事がありましたが、世界全体でみれば、やはり新型コロナウイルスで染まった1年でした。2月初めまでは中国だけに注目が集まっていましたが、あっという間に感染は世界に拡大。3月にWHOのパンデミック宣言が出たときには世界の状況は激変していました。

まったく想定外の災禍によってあらゆる事象の展望が影響を受けましたが、それでも今年の最大の政治イベントだった米大統領選、そしてその前哨戦のようなイベントだった民主党の予備選とトランプ弾劾裁判(すでに遠い日の記憶に感じられるでしょうが・・)については、刻一刻と変わる状況を考慮に入れつつ、おおむね正しい見通しを示すことができたと思っています。BLMも予想外の事象であり、米国の社会に大きな変化を及ぼしましたが、政治への影響は見通すことができました。

米中対立は、投資、技術、安保、外交・人的交流、人権・民主主義という各フロントで火を噴き、コロナ批判もあいまって、トランプ政権は、首脳・閣僚レベルでかつてないほどに強烈なレトリックで中国を批判しました。一方、トランプ大統領が最も問題視した貿易不均衡については、年始に実現した通商合意だけが別世界のように維持されました。

中国は、コロナ危機からいち早く回復し、「マスク外交」と「戦狼外交」を展開。米国が内向き志向でグローバルなリーダーとしての存在感を低下させる中で、世界をリードする大国のような姿を演出しました。しかし、多くの国において対中認識は悪化しており、外交面での成果がどこまであったといえるかは疑問が残ります。

中東は、年始に米国とイランの衝突があったものの、コロナの災厄と米大統領選後の政権交代の可能性もあり、対立の極端なエスカレーションには歯止めがかかりました。また、トランプ政権の仲介によりイスラエルとUAE、バーレーンとの歴史的な国交正常化が実現しました。一方、ナゴルノ・カラバフでの衝突を招いたアゼルバイジャン支援など、トルコの積極的な対外進出姿勢が目立ちました。

ロシアは、コロナと油価の低迷に苦しみ、反プーチン体制のデモも起きました。また、その勢力圏であるベラルーシとキルギスは政情不安に陥り、モルドバでは新欧米派の大統領が当選し、アルメニアとアゼルバイジャンは軍事衝突に至りました。一方、憲法改正によってプーチン大統領の2036年までの続投が可能になりました。

欧州は、コロナによって甚大な打撃を受けましたが、EUが中期予算と復興基金をまとめました。BREXIT後の英・EUの交渉は混迷を極めましたが、最終的には合意に達しました。

イラン、イスラエル、韓国、NZ、ミャンマーでは選挙が行われましたが、いずれも政権与党・現職が勝利し、体制が継続しました。

以上が大まかな流れです。ここから私なりの考察を述べます。

※ここから先はメルマガで解説します。目次は以下のとおりです。

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2020年の回顧
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●新型コロナウイルス
●米大統領選挙
●米中対立
●中東
●ロシア
●欧州
●アジア

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あとがき
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Honoring Mark Shields and his decades of political analysis(12月18日付PBS)
Shields and Brooks celebrate a lifetime in American politics(12月18日付PBS NewsHour)

本メルマガで何度も取り上げているPBS(米国の公共放送)の政治解説番組「Shields and Brooks」が先週、最終回を迎えました。デービッド・ブルックスとともにコメンテーターを務めてきたマーク・シールズが引退したためです。

私はこの番組を01年から20年間にわたりほぼ毎回見ており(シールズは33年間、この政治解説番組に出演していたが、最初のコンビはウィリアム・サファイアで、ブルックスと組んだのは01年から)、メルマガの重要なネタ元の一つでもあったので(笑)、強い思い入れがあります。それだけにとても残念に思いました。しかしシールズはもう83歳。まさに勇退といえます。

最終回では、シールズは目に涙を浮かべ、シールズ夫人も登場。しかしよくしゃべっていました。この番組は毎回13分くらいで、シールズとブルックスがとにかく縦横無尽にしゃべり続けます。その政治解説の質と量がすごいのですが、今回はシールズの引退記念というテーマに絞られていたにもかかわらず、相変わらずこの2人は怒涛のトーク。13分の時間を目いっぱいしゃべり倒していました。さすがでした。

こちらの記事の「あとがき」で述べたとおり、この番組の司会を務めたPBSを代表するジャーナリストのジム・レーラーグウェン・アイフィルも最近亡くなりました。冒頭リンクの動画には、若い頃のシールズとともにレーラーやアイフィルも登場します。

現代はあまりにも変化が激しく、本編の「2020年の回顧」を見ても、年初めに起こった出来事が遠い日々の記憶のように感じられます。しかし、だからこそ、時にはこうして去っていく人々に思いを寄せ、過去を振り返るのも大事と思います。

ということで、本年の最終号らしい挨拶になったようです。来年は1月4日に第1号として、新年のご挨拶をかねて「今週の動き」を配信する予定です。

それでは、皆様、良いお年をお迎えください。

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2 comments on “2020年の回顧
  1. NK より:
    お礼

    ゴーン氏出国で大騒ぎしている間に年が明け、ソレイマニ殺害はもう遠い昔で今年のこととは思えない激動の一年でした。メルマガでは派手な事案だけでなく、世界の動きを幅広く丁寧かつ冷静に解説頂き、月曜が楽しみでした。しかしやはりアメリカ大統領選の解説は、タイムリーで躍動感あり、他国の選挙とはいえ自分としては大変盛り上がりました。ありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎え下さい。

  2. JD より:
    NKさん

    こちらこそ、暖かいお言葉どうもありがとうございます。そのように言っていただけると、メルマガを書いてきて本当に良かったと思います。またご感想をお聞かせ下さい。良いお年を!

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