2019/12/17 05:00 | 米国 | コメント(2)
米中の「第1段階の合意」
■ 米中が「第1段階」通商合意、関税発動猶予 米農産物購入拡大へ(12月14日付ロイター)
■ United States and China Reach Phase One Trade Agreement(12月13日付USTR)
■ 中国:貿易交渉第1段階で合意、米国は段階的に対中関税削減へ(12月14日付ブルームバーグ)
■ 米中の「第2段階」通商合意、複数回に分割も=米財務長官(12月14日付ロイター)
米中両政府が通商協議の「第1段階の合意」に達したと発表しました。
米国は12月15日に予定していた追加関税第4弾の第2陣(スマートフォン、ノートPC等、1600億ドル)の発動を見送り、第1陣(1200億ドル)については税率を引き下げ(15→7.5%)。第1~第3弾(2500億ドル分)にかけている25%の税率は維持。
ライトハイザーUSTR代表の記者会見によれば、中国は米国産農産品の輸入を今後2年間で320億ドル増やし、年間400~500億ドルとすることに合意したとのこと。品目は市場への影響を考慮し公開されません。ただし中国側は具体的な金額について何も述べておらず、詳細は後日発表するとしています。
また、知的財産権侵害、強制技術移転、金融サービス、為替、物品とサービスの輸入拡大についても合意したとのこと。ただし具体的内容は明らかになっていません。
今後のスケジュールについては、20年1月の1週目に第1段階の合意の署名式を行い、その30日後(2月の1週目)から関税の引き下げが適用される予定です。署名はワシントンDCで閣僚級によって行われるとのことです。
おおむね先週の記事で述べたとおりの展開でした。なお、8月の第4弾の第1陣・第2陣の切り分けのときから、私は第2陣の見送りの可能性を指摘していました。
・「ウイグル人権法案の下院可決」(12/10)
・「対中追加関税第4弾発動の一部延期」(8/19)
基本的なポイントは上記記事で述べたとおりなので、とりあえず確認いただければと思いますが、今後の展望について、あらためて解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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米中の「第1段階の合意」
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●合意の背景
●合意の内容
●合意の展望
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あとがき
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■ 米俳優ダニー・アイエロさん死去 「ドゥ・ザ・ライト・シング」など(12月14日付CNN)
スパイク・リー監督の映画は沢山見ていますが、『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89年公開)は特に好きな作品です。
ダニー・アイエロはイタリア系米国人を演じますが、NYのイタリア系は後発移民で社会的には下層のマイノリティ。それが同じマイノリティのアフリカ系と共存しているが、最後は衝突に至ります。
パブリック・エネミーの名曲『Fight the Power』も映画の中で何度も流れますが、ストーリーとマッチして、大きなインパクトがありました。
アイエロは『ゴッドファーザー PART II』など他にも様々な作品で存在感を発揮していました。ご冥福をお祈りします。
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2 comments on “米中の「第1段階の合意」”
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米中双方の落としどころという「森」をしっかり見た上で、細かい合意内容の「木」をチェックしていく作業の大切さを実感します。
週明け、足元の合意内容や関税発動スケジュールの修正に終始した情報が多い中で「展望」が示されているのはとてもありがたいものでした。
月曜のNYは再び最高値更新ですが、メルマガを読むとそうも言っていられない状況も残されていますね。勉強になります。
米中間の合意内容に関する温度差は完全には埋められていないようですが、両国ともまずは一日でも早く合意に至りたい、との気持ちが勝ったのでしょうか。
農産物購入目標、敢えての「2年」という期間設定の狙いは、なるほど、と思いました。芸が細かいですよね。2年で320億ドル、2017年の中国の購入実績額が240億ドルとのことなので、単純に年間6~7割増しで購入してくれという話になるかと思うのですが、確かに結構ハードル高めのように感じます。また中国国内の農産業を圧迫したりしないのかと余計な心配をしてみたり。でもトータルではもっと購入しているでしょうから、他国から購入している枠をスライドさせれば達成出来るのかな。
第2段階の合意に向けた展望も納得です。まずは大統領選ですね。でもこれ来年の大統領選で誰が当選するかによって、その後の方向性がかなりドラスティックに変わりそうな気もします。そこに中国が賭けているのだとしたら危険な賭けだと思いますが、トランプがトランプである以上、危険な賭けでもbetし続けるしかないのかなとも思います。そのうえで現状とれる最善の選択肢が「第1段階合意&忍耐」という事なのでしょうね。それに選挙は最後まで何が起こるか分かりませんから、中国はそれまで耐え忍ぶべし、ですね。