2019/11/12 05:00 | 米国 | コメント(4)
オフ・イヤー選挙の衝撃とブルームバーグの大統領選出馬検討
■ 米の州選挙、民主党が相次ぎ勝利 トランプ氏に痛手か(11月6日付BBC)
■ マイケル・ブルームバーグ氏、アラバマ州民主党予備選の書類提出(11月11日付ブルームバーグ
米国では、大統領選と中間選挙いずれも行われない年(奇数年)にも選挙があり、「オフ・イヤー選挙」と言われます。そのほとんどは地方レベルの選挙で、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、ニュージャージー、バージニアの5州では州知事選が行われますが、州議会や市、郡レベルでも様々な公職について選挙が行われます。
先週、今年のオフ・イヤー選挙が行われました。州知事はケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピの3州が改選時期です。いくつかの選挙で大きなサプライズがありました。
まずケンタッキー州知事選では、共和党の現職マット・ベビンを民主党のアンディ・ビシア州司法長官が破りました。ケンタッキーは鉄壁のレッド・ステートで、16年大統領選ではトランプ大統領が30ポイントの大差をつけて勝利した州です。共和党にとっては衝撃的な敗北でした。
しかもトランプは投票前日の夜、ベビンの応援に駆けつけ、「ベビンが再選されなければ私にとって『史上最大の敗北』になる。そうさせないでくれ!」と訴えていました。トランプの応援も虚しく、不吉な予言は現実になりました。
次にバージニア州議会選では、これまでは共和党が上下両院で僅差で過半数を占めていましたが、民主党が両院で過半数を獲得しました。民主党が上下両院で過半数を占めるのは26年ぶりです。
またペンシルバニア州の郡レベルの選挙でも、これまで共和党の牙城だった選挙区の多くを民主党が奪いました。
さらに大統領選については、マイケル・ブルームバーグ前NY市長がアラバマ州の民主党予備選挙の立候補者として登録の申請を行いました。登録期限ギリギリの申請でした。まだ出馬表明はしていませんが、真剣に検討していることを意味する行動です。
本日は、これらのイベントが今後の米国政治、特に大統領選を見る上でどのような意味をもつのかについて解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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オフ・イヤー選挙の衝撃とブルームバーグの大統領選出馬検討
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●ケンタッキー州知事選
●バージニア州議会選
●ペンシルバニア州の郡議会選
●トランプ対民主党候補の世論調査
●ブルームバーグの出馬可能性
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あとがき
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■ Actress Charlize Theron had challenges playing Megyn Kelly in ‘Bombshell’(11月2日付The Hill)
■ Bombshell (2019 Movie) New Trailer(10月15日付Lionsgate Movies)
『Bombshell』(ジェイ・ローチ監督、12月20日公開予定)という映画でシャーリーズ・セロンがメーガン・ケリーを演じるそうです。FOXニュースの創設者・CEOのロジャー・アイルズのセクハラをめぐるドラマとのこと。
グレッチェン・カールソンをニコール・キッドマン、アイルズをジョン・リスゴーが演じています。FOXを知る上でも興味深い作品ですね。ちなみにアイルズは保守系の大物メディア・コンサルタントで、スティーブ・バノンにとっては偉大な先輩ともいえる人物でした。この点は以下の記事で書きました。
・「マイケル・ウォルフ『炎と怒り』の真実(1)」(18/1/23)
グレッチェン・カールソンについてはこちらの記事(18/9/17)のあとがきで言及しています。ニコール・キッドマン、よく似ていますね。
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4 comments on “オフ・イヤー選挙の衝撃とブルームバーグの大統領選出馬検討”
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こういった分析は、長年状況を見て分析し、地道に情報やデータを集めて、現地の温度感をキャッチして・・・という積み重ねと繰り返しがないと、こうした彩り豊かな考察は絶対に出てこないですよね。足元の主義主張だけでなく、人口動態やその時々の争点のトレンドまで、様々な視点から分析していて、本当に面白かったです。
なかなか自分でこういったことをできるようにはなりませんが、この視点や考え方は絶対に身に付けたいと思いました。何度も言いますが、本当に面白いです(笑)
個人的には、ブティジェッジ様に逆風になるので、ブルームバーグはご遠慮いただきたいものですが・・・
やはり選挙結果は目を引くニュースばかりを追いかけていてはダメですね。緻密な分析が大切なのだと改めて感じました。当たり前ではありますが、選挙は世論調査以上に民意をダイレクトに反映してくれるイベントなのだと実感しました。選挙結果を細かく見ていく事で、結果的には趨勢を見極めることが出来る。分かり易くて楽な情報につい飛びついてしまいがちですが、JDさんの選挙分析を読むと、何が大切だったかを思い出すことが出来ます。
ケンタッキーはそのインパクトばかりが取り上げられていますが、きちんと細かく見ると起こるべくして起こった結果なのだと良くわかります。トランプの選挙後のツイートには、自分の貢献を自賛すると共にベビンを貶めるようなものが見受けられ、苦し紛れの言い訳なのかなと思っていましたが、ある意味真実だったのですね。あと、レッド・ステートであっても政策によっては民主党に分がある、というのも新たな発見です。ジェフ・セッションズのオーバーリアクションなまでの支持表明も違和感を覚えていたのですが、やはりそうですか。とにもかくにもまずは彼を崇めたてまつらないことには、共和党内で生き残ることは難しいのですね。
バージニアは2018年の中間選挙でも善戦していましたが、この時はまだ共和党の選挙区割りだったという事ですよね。ということは2020年の選挙区割り、更に民主党に有利な区割りが出来そうですね。
群議会選挙から見るペンシルバニアの展望もとても興味深かったです。ペンシルバニアは2016年大統領選でもキーポイントとなった州なので、ここでの総数優位の兆候は民主党としては朗報ですね。あとは2016年と同じ失敗をしないよう、きちんと有権者を投票所へと向かわせることでしょうか。
世論調査も面白かったです。ピックアップされている州で、ミシガン・ペンシルバニア・ウィスコンシン・フロリダ、はまさに2016年大統領選においてトランプが僅差で勝ち取っていった激戦州ですよね。この重要な州で戦える候補者という視点で見ると、とても興味深い結果だなと思います。第三党支持者の動向も興味深いです。
ウォーレンは「冷たい女性」というイメージがあるのですね。私も最初に討論会を見たときは似たようなイメージを持ちましたが、何度か見ているうちに、彼女の話し方のせいでしょうか、ちょっと不器用だけど真面目な人というイメージを持つようになりました。ちなみに圧倒的に怖いと感じるのはガバードです。
ブルームバーグはどうするのでしょうね。解説を読んでいると出馬しても民主党内に混乱を引き起こすだけのような気がするので、出来ればこのまま後方支援に回ってほしいなと思います。
(※恐れ入りますが、一部コメントを伏せました。JD)
*おそらく、私と大体同じ世代と思いますが、羨ましい限りの筋肉美です。。。
コメントどうもありがとうございます。大変恐縮です。参考にさせていだきました。
今後ともよろしくお願いいたします。