2019/08/27 05:00 | 米国 | コメント(11)
米中の制裁の応酬(トランプの対中追加関税の引き上げと米企業への圧力宣言)
■ 中国、米国製品約750億ドル相当に追加関税実施を決定(8月24日付新華社)
■ トランプ大統領のツイート(1)/(2)/(3)(8月23日付Donald J. Trumpのツイッター)
■ USTR Statement on Section 301 Tariff Action Regarding China(8月23日付USTR)
■ トランプ大統領は米企業に中国撤退強制する権限持つ-米財務長官(8月26日付ブルームバーグ)
米国の対中追加関税第4弾に対する報復措置として、中国が米国製品5208品目(750億ドル相当額)に対し5%または10%の追加関税を課すと発表しました。1717品目(原油、大豆、鋼板、化学製品等)については9月1日、3361品目(木材、自動車、織物等)については12月15日に発動するとしています。
また、18年12月の米中首脳会談を受けて19年1月から停止していた自動車・自動車部品、関連製品に対する最大25%の追加関税を12月15日に発動すると発表しました。
・「今週の動き(12/17~23)」(18/12/17)
・「今週の動き(4/7~13)」(4/8)
これを受けて、すかさずトランプ大統領が動きました。9月1日に発動する対中追加関税第4弾(1114億ドル相当額)の税率を10%から15%に引き上げ、第1~3弾(2500億ドル相当額)の税率を10月1日に現在の25%から30%に引き上げるとツイート。USTRも同様の声明を発出しています。
さらに米国企業に対し、米国内への生産移管も含め、中国の代替先をすぐに探し始めるよう「命じる」とツイートしました。これについては、トランプ、ムニューシン財務長官、クドロー大統領補佐官が、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく権限として可能だ、と説明しました。
また、今回の発表に先立ち、パウエル議長がジャクソンホールで演説しましたが、トランプは失望の念を表明し、「パウエルと習主席、どちらが我々にとってより大きな敵なのか?」とツイートしています。
中国の報復は想定の範囲内でしたが、トランプの電撃的な対応はサプライズでした。今回の米中の措置の意味と今後の見通しについて、解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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米中の制裁の応酬(トランプの対中追加関税の引き上げと米企業への圧力宣言)
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●中国の報復
●トランプのさらなる制裁
●制裁の連鎖とディールの可能性
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あとがき
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■ 「ジェームズ・ボンド」が案内、英チャールズ皇太子「007」撮影スタジオ見学(6月21日付AFP)
チャールズ皇太子は2011年から、英国のインテリジェンス機関であるMI5、MI6、GCHQの王室後援者を務めており、たまにこれらの機関を訪問している様子が報道されています。カッコいいですねえ。
ダニエル・クレイグのボンドといえば、思い出されるのは12年のロンドン五輪の開会式。リアルのエリザベス女王との夢の共演。こういうところが、さすが大英帝国、オシャレですね。
■ James Bond and The Queen London 2012 Performance(12年7月27日付Olympic)
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11 comments on “米中の制裁の応酬(トランプの対中追加関税の引き上げと米企業への圧力宣言)”
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確かに・・・!IEEPAでの見立てがドンピシャですね!!それに、さらに中国の報復についても、踏み込んだ考察をお示しいただき、興味深く拝読しました。
また、最後の項では、トランプの対中と真の対中、このギャップはこれでいいのか?と考えさせられました。
日本人の私ですら、今のこのやり取りの先に何があるのか?そこに、建設的な米中関係、米国の外交の姿があるのかと、考えずにはいられません。
だからと言ってはなんですが、あとがきのジェントルマンに大変癒されました・・・
やはり報復合戦続きますか。
そういえば追加関税の発表後、トランプがG7開催地フランスでの記者会見で、中国から電話があり協議再開の要請があった、といった旨の発言をしていましたね。(しかも複数回にわたり結構リアルに言及していた。)しかしながらブルームバーグの記事によれば26日に環球時報の編集長が、中国からの電話を否定する(厳密には「電話会談した事実を承知していない」)ツイートをしたとのことですが・・、この話、どちらが本当なのでしょうね。
確かにトランプの「思わせぶり発言」な気もしなくもないですが、だとしたらここまで具体的に言及するかなぁという疑問も湧きますし、中国が体面を保つため編集長に間接的な否定ツイートをさせた可能性もあるのかな、などと、色々妄想しています。
「ディール」と言えば農作物を購入してもらうため頑張っていたのに、米国農家のトランプへの支持が低下したという記事を目にしました。(Farm Journal)低下したといっても79%(7月)→71%(8月)で全然高いのですけれど。第4弾発動宣言に伴い中国から通達された農産物購入停止が響いたのでしょうか。(それにしても農家のトランプへの支持がこんなに高いとは思いませんでした。少しびっくり。)(それともこの調査がトランプ寄りなのでしょうか。)日米の貿易交渉では農産物ディールが成立し、農業界でもこれを歓迎しているようなので、次回の調査ではまた支持率が上がるかもしれませんね。
『007』第25作はダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンドが最後となる作品ですね。『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックが悪役で出演すると、以前メルマガでもご紹介されていましたよね。写真のお二方も素敵ですが、個人的には背後のボンドカーが格好いいなあ・・と見入ってしまいます。(前回に続き今回もアストンマーティンみたいですね。)
東京オリンピック・パラリンピックの演出には狂言師の野村萬斎さんや映画監督の山崎貴さんらが名を連ねていました。どんな開会式・閉会式になるのでしょう。楽しみです。
今回の日韓のごたごたについては日韓が主だがジーソミアに関してはアメリカも関係している。ハリウッドの映画を見るとこのような行動をした相手にはアメリカは徹底的に攻撃すると予測する。ただし日本人のようにすぐにはしない、時間をかけてする。それが正しければ、アメリカは韓国をどのようにするつもりだろうかと考えると、軍事的対応ではなく経済的対応をする。つまり経済的につぶす。
カナリアが泣いているわけだが、似たような行動を我が国がするとアメリカは同じことをすると思う。
もともと朝鮮はその歴史を少しでも知っている人なら、どうしようもない国に過ぎず、日韓併合でようやく、どうにかなったに過ぎない。それが壊れて、北は元の李朝に戻り。李朝当時と同じ能書きを言っているに過ぎない。南は日韓併合の名残を受け継いで、その外交政策をして、まあ近代化をして、それなりに豊かないなったが自己認識が間違っているから、ここへきてお陀仏になる可能性が出てきた。時間軸を5年としたら、その時の我が国はいかなる事態を迎えるか。
どのみち南北朝は我が国にたかるしか生き残る道はないが、それをして我が国国民が貧乏になるのはわたしはごめん被る。
問題はそこにあるがその前に軍事問題がある。内心中共も困っていると推測する。
どちらにしても南朝鮮は経済的に破綻して国土は焦土化すると予測している。問題はそのとき我が国は何ができるか?
それにしても今回の事件で国内における、南北朝鮮の手先がうようよと出てきて、本来なら絞首刑になるところをスパイ防止法がないためにのうのうと生きている。面白い現象ですな。
高野連も野球とは誇りを失ってでもすることだと主張している。高校野球の選手たちは仲間というものしらないで生きていくことになるが、おそらくその同窓会のようなものは甲子園へ出場した選手たちにはないのではないだろうか?
米韓同盟の実質的な破棄をしたわけだから、アメリカはいかなる行動をとるか?見えている。
南北朝鮮問題において、いずれは我が国とアメリカは衝突する可能性が高い。それはアメリカ大統領が変わっても生じるとみている。
大正期以降というより日露戦争後の我が国の異様と思われる、我が国の貧しさは、朝鮮故に起きていたと私は思っている。このままいくと同じ状態が生じる可能性が大であるから、我々日本人は、できうるかぎり、起こりうる状態を想定して、それぞれに対策を立てておくことだと思う。差し当たらいオリンピックの時のテロでしょう。
<お父さん、通州事件知っている?><おお通州事件、あれが支那との戦争を決定つけた、事件だ>と答えた、調べると我が国と支那との戦争は支那が仕掛けてきたもので、我が国が仕掛けたものではない。ちょうど尖閣諸島の事案を見ればいい。その後我が国は支那へ軍隊を派遣したが<邦人保護と資産保全を名目とした。軍隊の動員は支那の蒋介石軍のほうがはやく、背後にドイツがいたが、それに和学には対抗しようとして。派遣した、海軍が強硬に主張したからです。
そして二年ほどして.南京が落ちでそれで終わりになるはずだったが文官である政府の面々が、はっきり書くと能無しだったから、戦争の終結ができず泥沼になった。陸軍の多田参謀次長は今和平をしないと我が国は破滅すると主張したが、海軍と外務省がろくでもないこと言うので、できず、そのとき我が国の運命はきまった。ときに1939年の12月の二十日ごろだった。参謀総長は皇族で、ろくでもないもない軍人皇族がいろいろいたが優れた皇族もいた。高松宮です。その後の我が国国内は支那事変に対して反対というより、軍部拒否感はひどく、軍事自体もそれに対して、異常に気を使った,それが聖戦という主張だった。そして多くの国民は関心をうしなって、傍観者としてそのまま進んだ。徴兵された人とその家族だけが関心を持った。その無関心がやがて大きなものとなって帰ってきた。
さて何が言いたいかというと当時の支那事変における国内の反応と推移と、東京オリンピックの反応の推移が似ていると思うからでです。いずれも支那との戦争は考えていないにもかかわらずひきずられて、進んだように。東京オリンピックも似たようなものだからです。
だあれもオリンピックなど関心をもっていないが、マスコミ学校くらいが騒いでいるに過ぎない。残るのは莫大な借財だけでしょう。神風特別攻撃隊のようなものが出撃する可能性はだいと思う。
国内の行政府は多分もうやることがなく、オリンピックのようなもの打ち上げないと、行政府が必要でないことが国民にわかることを恐れているに過ぎないのでは?
わが町も市役所へいき、職員と話すとそれが如実にわかる。することは金融緩和ではなく別なことはないか。
JDさん、いつもありがとうございます。
ネットニュースより断然、満足感、充実感あります。
ところで、不勉強で申し訳ございませんが、メルマガ中に記載の「人民元の切り下げは、自らにかかる負担が大きすぎる」というのは、切り下げすると、具体的に米国がどういう困る状況になるか、教えて頂けないでしょうか?
恐れ入りますが、よろしくお願い申し上げます。
お言葉どうもありがとうございます。大変励みになります。
ご質問ですが、「人民元の切り下げは、自らにかかる負担が大きすぎる」というのは、「中国」にとって失うものが大きい、という意味です。人民元が急速に減価すると、人民元の資産価値が急速に下がり、資本流出が進むおそれがあるからです。中国は従来からこのリスクを強く懸念し、人民元の安定に細心の注意を払ってきました。その方針は基本的に変わらないと思います。
分かりにくい書き方になっていたらすみませんでした。ご指摘に感謝します。
JDさん
ありがとうございます。
読み違えてました。
また、メルマガ限定の部分をコメントしてしまい、申し訳ございません。
しかし、なるほどですね。
ただ人民元の資産価値が下がると資本流出が加速するのは何となく分かりますが、一方で輸出競争力のためには通貨安に誘導したい圧力もあると思います。
総合的に判断して、資本流出の影響の方が大きいので中国政府はこちらを注視している、ということでしょうか。
この辺りは、法律や施策と同様にある業界にとっては良くても他の業界には良くないことがあり、時々でバランスを見て判断するしかないのでしょうか。
あるいは、高低いずれにしても為替は乱高下など急激な動きがなければ、良いのでしょうか。
いつも通貨のニュースは、政治的な要望があり、そのメリット、デメリットは分かりづらく、また株価のように高いほど良いということもないので、いつも何があるべきかモヤっとしてピンと来ないのですが、JDさん的にどう捕まえておられますか?
何か為替のポイントが掴めるような本なども、もしありましたら併せてご提示頂けますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
私も最初アンディさんの質問の意図をJDさんのように理解していたのですが、もしかしたら、「人民元の切り下げをされると、米国は何が辛いの?嫌なの?」的な部分のご質問なのかな?と思いました。(深読みのし過ぎかもしれませんが。)
横からのコメントで失礼致しました。
メルマガ限定部分にコメントをいただいてもまったく問題ありません。
もし不都合があれば、私の方でコメントの掲載の仕方を検討しますので、お気にされずご記入下さい。
おっしゃるとおり、中国には、人民元安を容認することで、輸出を有利にする狙いがあります。米国の関税引き上げの効果を相殺し、輸出業者を力づけ、米国にも対抗手段があることをアピールする意図があると思います。
ただ、どこまで減価できるかといえば、その程度とスピードには限界がある、ということです。
為替レートについては、ご指摘のとおり、高すぎても安すぎてもダメで、立場によっても評価が異なり、一概に「適正」といえる水準はありません。ただ、「合理的な要因」によって「市場が決定するレート」(その意味で「適正」なレート)は、ある程度の幅を持って存在するといえると思います。私は為替の専門家ではないのですが(ぐっちーさんに聞いた方がよさそうですね(笑))、基本的には以下のとおり理解しています。
●市場が決定するレートの合理的な決定要因で重要なのは金利と物価
●市場が決定するレートから大きく乖離すると無理が生じる
●急激な変動はどっちに振れても国にとってマイナス
●新興国の場合、通貨安の圧力がかかるケースが多く、通貨危機に対する耐性が重要
参考文献については、基本から学ぶのであればマクロ国際経済学の教科書が良いと思いますが、読みにくいところもあると思います。私の友人の尾河眞樹さんは信頼できる人で、入門書なども書かれています。私自身は読んだことはないのですが、評判も良いようなので、一読してはどうでしょうか。
>アンディさん
ちょうど、CRUの独り言さんが重厚な解説を書かれました。ぜひご覧下さい。
こんなことを言うと僭越かもしれませんが(笑)、私が言いたかったこととほぼ重なっています。
(私は「潜在成長率」は「物価」と「金利」に押し込めていました。なお、CRUさんは成長率と金利の関係を書かれていますが、経済が成長すると物価も上がりますね。また、経常収支と財政収支も重要な要因になりますが、ここでは直接的な関連性を重視して、物価と金利にとどめました。)
JDさん
いつもながら、細やかな回答、ありがとうございます!
また、CRUの独り言さんの解説をご紹介頂き、ありがとうございます!!
この解説は、JDさんの言いたいことを代弁すると同時に、私のモヤモヤしている部分もキレイに整理して下さっています。
JDさんの解説とCRUの独り言さんのお2人の解説により、こういう理解で遠くないんだ、というのが分かって、非常にスッキリしました。
2つの優良な参考書を1度に読んだ感じです。
ひと粒で2度おいしい。
(1つの質問で2倍ぐらいの知的収穫が有った)
そんな気分です!
(昭和な表現ですみません。)
ありがとうございました!!