2018/02/02 05:00 | 映画・文学・芸術 | コメント(13)
テクスト解釈と書評
一般教書演説は面白かったですね。これは来週解説します。
さて、先週の「マイケル・ウォルフ『炎と怒り』の真実(1)/(2)」にはたくさんの反響がありました。どうもありがとうございます。
一つだけ、念のため補足すると、この記事で伝えたかった核心部分とは、著者マイケル・ウォルフ(≒スティーブ・バノン)のメッセージであって、私はそれに対して何も評価をしていない、ということです。
私はバノンのファンではありませんし、そのビジョンを支持もしていません。ただ、この本はバノンの視点から描かれているのであって、それを念頭に置いて読めば、くだらないと思える内容にもそれなりの意味が見えてくる・・ということがポイントです。
今回は、金曜ということもあり、軽い雑談として、私なりの書評についての考え方を述べたいと思います。
※ここから先はメルマガで解説します。
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あとがき
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13 comments on “テクスト解釈と書評”
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こいう趣の記事も時々、是非お願いします!!
JDさんの記事が、情報の組み合わせだけじゃなくて”深い”と感じていたのには、こういうエッセンスがあったからなんですね。
一朝一夕にはその域には達しませんが、そう言う意識で、読んだり学んだり、見聞きしてみようかなぁ、と思っています。
最も歴史が古く、人文学の中で最も高度に体系と論理を発展させた法学?
神学こそが全ての出発点だったことは百も二百もご存じでしょうに?
JD様は法学の人なのでしょうか。神学な私とは(ry
哲学じゃなかったっけ・?
( ^ω^)・・・(笑
永遠の宗教戦争勃発ですな(笑)
Ph.DとDthの格を見まするに (ry
夜が長い・・
神学論争・・譲る・・・
( ^ω^)・・・(笑
たしかに法学は神学(キリスト教神学を指すものと理解します)から影響を受けている部分が多々あります。解釈学もそうですし、行政法理論もカトリシズムの官職制に起源があります(これについて私は論文を書いたことがあります)。近代でもカール・シュミットは神学上の概念を政治学に応用しています。
しかし、法学(jurisprudentia)は古代ローマの時代からあり、キリスト教神学が発展を始める4世紀(ミラノ勅令以後)よりはるか前から存在しました。
もっとも、法学が現代につながる理論化・体系化を進めたのは中世のスコラ学のときで、この時代はあらゆる学問が神学(特に聖書解釈)の研究方法の強い影響下にありました。そういう意味ではPollyさんのご指摘も理解できます。
一方、ルネサンスでは神学に支配されるスコラ学からの脱却が目指されました。ここでは古代ギリシャとローマのテキストが重視され、古代ローマ法もまた研究対象となりました。ここで現代につながる人文学の研究手法の基盤が固まります。人文主義とローマ法の関係は木庭顕教授の本が詳しいです。
Pollyさんが・・
応えてくれるでしょう・・Dthだから・・
ただ常識としては・・
ギリ哲が最初に来る体系と思える・・
実践知・・古代ギリシャではフロネーシス[知慮]・・
ソクラテスが大好きな話になるし・・
「民衆裁判・・古代ギリシアのアテネで行われていた・・市民が陪審員として参加する裁判所。アテネ民主政の重要な役割を担い、陪審員を抽籤で選出して日当を支給するなどのなどの制度が、前5世紀後半のペリクレス時代には完成した。
古代ギリシアのポリス、アテネの民衆から抽選で選ばれた陪審員が行う裁判。民衆法廷とも言う。ソロンの改革に始まり、前462年のエフィアルテスの改革で、通常の訴訟のほか、役人(公職者)に対する弾劾裁判などの最終審として位置づけられ、アテネのアテネ民主政の重要な機関となった。
陪審員は・・30歳以上の市民から抽選制で選ばれた6000人が任命され、裁判ごとに籤で担当を決めた。
ペリクレスの時から陪審員には日当が支給されるようになった。これは、陪審員が買収されないための措置と考えられる。
専門の裁判官や弁護士をおかず、いわばアマチュアの市民が裁判を行うことによって「参加と責任」という民主主義の精神を実践していたといえる。
また民衆裁判所は、アテネ民主政を維持する重要な役割を果たしたものであり、僭主政(独裁政治)や、貴族寡頭政治を主張し、民主政を否定する行動に対しては厳しい処罰がなされた。
とある。
この陪審員制度とは別に・・60歳で兵役を終えた市民兵は・・一年間裁判官をする義務があった。この制度はギリシャを属州にしたローマも採択し・・
60歳でローマの兵士は裁判官になった。
これは実践知が重んじられた法体系だろう。
又
ローマ法は・・ラテン語の精髄に合わせられていて・・言葉と切り離しては考えられない。日本でも行政法はローマ法を多く取り入れられていると聞く。
聞くが・・ローマから緻密な法が始まったと認定するには・・
ギリシャ哲学・法・・ソロン・ソクラテス・プラトン・アリストテレス等著名な哲人を・・無視するのは 無理なようにも思える。
JDの知慮を否定はしないが・・・
( ^ω^)・・・(笑
言うまでもなくギリシャの思想にすべての知の源流があります。ただこの時点では人文学の概念とそれに沿った体系化はなく、もちろん法学の理論化もなかったので今回の趣旨からは外れます。したがって書きませんでした。
ギリシャにあったシステムは「法」というより人類最初の「政治」でした。法制史や法社会学(ご指摘の民衆裁判や陶片追放、「大岡裁き」まで扱います)ではともかく法学史では通常扱いません。碧海純一他『法学史』、木庭顕『政治の成立』『法存立の歴史的基盤』などご覧下さい。
それは・・シュメールの法のように思えるな・・
法学史では・・
簡明に整頓されているにしても・・間引きされているにしても・・
ギリシャ哲学を生んだギリシャ人が・・
法体系を創り出さなかった筈がない様にも・・法も思想・哲学なのだから。
ただ文献が残っていないのだろう。
ローマ法は残されてきた。
初めに言葉ありき・・哲学ありきが格好いいな・・・
( ^ω^)・・・(笑
初めにロゴスがあった。この点はそのとおりです。
言葉と文献が法学そして人文学ではベースであって、ローマ法学も断片的にしか残っていないところをテクスト・クリティークと人文学的教養をもって埋めていく。それが学問というものです。
私のような者でさえギリシャ、ローマ、中世の偉大な知的遺産に触れ、ネットを通じてこうして皆さんと語ることができる。良い時代です。
執政権以来の面白そうなスケールのテーマですね。日本人には抵抗のある陪審制ですが、ギリシアと英米では盛んだが他はそれほどでもない印象。民主主義と比例するのか。ギリシアはやはり法律というより政治ですね。
公法は帝国ローマが源なんでしょうね。教会がそれを受け継ぎ体系化した。JDさんの論文読みたいですね。ただ公法は執政権の話でも出てきたが、ドイツで変容している。そしてぺルドンさんの言うように、シュメールなど先進文明を集大成したギリシアと対極的なペルシアの行政制度も知りたいですね。この技術はどこへ行ってしまったんでしょうか。アレクサンダー大王も利用したのかな。
私法も体系化されたのは教会。いずれにしろ法学はユスティニアヌスが法典をまとめて置いてくれて助かっている。そして総則・物権・債権・相続というような体系まで行かないと解りにくい。確かに中世の教会の役割が大きい。神学・哲学のおかげか。神・法・哲の絡み、面白い。
ただ所有権がロックのところで思想的に変わっていて、アングロサクソンが貴族と一緒に征服王朝に反抗したような英国の歴史と関係あるのでしょうか。これが資本主義の基にもなって来るし、今のグローバル化につながるような技術的なものにもなっていく。JDさんが以前指摘していた法律の執行と統治の区別を自覚していたというのは、立憲君主制を確立した英国ならではか。
上空を通過するミサイルに対する対応は日本は他国と違うが、これは所有権の範囲も関係しているんでしょうか。笑
古代法と近代法との比較
戸倉広
古代ギリシャにおける法・法廷・司法過程
ハンフリーズ・サリー
古代ギリシアにおける法(Nomos)の概念について
― とくに「立法」および「立法者」に焦点をあわせて ―
葛 西 康 徳
参照
ぺルドンさんの参照本、大学図書館でもないとないな。笑
ローマは地に足の着いた現実的な国家で、文化的にギリシアを尊敬はしていたが、違う文明圏で、奴隷の使い方も、気質もちがうし、ギリシアのポリス国制・法を評価していなかったのでは。
そもそも分裂しているようでは国家として狡知に欠ける。ギリシアの各ポリス政治体制はまるで実験・演劇しているようで成るにまかせてなんでもありと言う感じで、立法と言ったって朝令暮改だったのでは。これではソクラテスもプラトンもイデアとか言い出すわけだ。ノモスと言う概念はあったが創り直す必要があったのでは。法のような実際的な知恵ではローマはギリシアに優るとわかっていたのでは。いくらギリシアが理想の法・国家を掲げても。実際ぺルドンさんの書いてくれた陪審裁判は面白かったが演劇的でなにか法理論を残すと言う雰囲気が感じられないし、残っていないのでは。
・・・と参考文献も読まずに先入観で言っているので、間違っているでしょう。笑