2018/01/22 00:00 | 今週の動き | コメント(3)
今週の動き(1/22〜28)
週末はさわやかな天気でしたが、今週はすごく寒くなるそうですね。
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先週の動き
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1/14(日)
・チュニジアの「ジャスミン革命」記念日に反政府デモ
・日・サウジアラビアの「ビジョン2030」ビジネスフォーラム(リヤド)
1/15(月)
・インド・イスラエル首脳会談(デリー)
・アジア金融フォーラム(香港、〜16日)
1/16(火)
・バノン前大統領首席戦略官が下院情報特別委員会でロシアゲート疑惑について証言
・モラー特別検察官がバノン前大統領首席戦略官を大陪審に召喚したとの報道
・ホワイトハウスの大統領専属医がトランプ大統領の認知能力は正常で健康状態も良好と発表
・米中首脳電話会談
・北朝鮮に関する関係国外相級会合(バンクーバー)
・米・カザフスタン首脳会談(ワシントンDC)
1/17(水)
・カタルーニャ州新議会招集
1/18(木)
・二中全会(北京、~19日)
・日豪首脳会談(東京)
1/19(金)
・つなぎ予算が失効
・ペンス副大統領がエジプト、ヨルダン、イスラエルを訪問(~23日)
1/20(土)
・トランプ政権発足1年
●政府機関の一部閉鎖
下院ではつなぎ予算を可決していましたが、上院が否決。これによって予算が失効し、ついに政府機関の一部閉鎖が始まりました。
政府機関の閉鎖というと大事のように聞こえますが、閉鎖されるのは重要性が低い一部の機関です。具体的には国立公園などの観光施設ですが、今回はちょうど週末に入るタイミングなので、観光客が実感しやすいかもしれません。
おそらく閉鎖は短期間にとどまり、実体面で大きな影響が生じることはないでしょう。
それでも、後述のとおり1月20日はトランプ政権発足1周年です。その記念すべき日に政府閉鎖というのはかなり恥ずかしい。いかにもトランプ政権らしいですが、米国政治の汚点として残るでしょう。
今回つなぎ予算を可決できなかった最大の理由は、移民政策が争点になったことです。
民主党はDACA(若年層の不法移民(ドリーマーズ)の居住を認める制度)のための立法措置をつなぎ予算に盛り込むことを要求し、その協議の中でトランプの「shithole」発言が飛び出しました。
・「今週の動き(1/15~21)」(1/15)
「shithole」発言の衝撃は大きく、『炎と怒り』騒動がかき消されるほどでした(笑)。これもあって移民政策が民主党にとって一歩も引けないイシューとなります。
下院では2月16日を期限とするつなぎ予算を可決しましたが、上院では民主党がこの案をのめず、今回否決に至りました。
ここで指摘したい点は2つ。
第一に、米国の政治が「アイデンティティ・ポリティクス」にフォーカスしていること。
移民受け入れを制限すべきかという議論が国論を二分し、どちらに立つかという立場の違いが米国人としてのアイデンティティを決める状況になっています。
民主党は、移民こそ米国人の根本部分であり、それを否定する共和党は人種差別主義者であると主張する。一方、共和党は、制限されるべき移民は米国人ではなく、民主党は米国の文化を破壊しようとしていると主張する。このアイデンティティの戦いの構図になるとお互いに歩み寄りの余地がなくなります。
たとえば最近の米国では、友達や恋愛といった社会的な交流の中でも相手が支持する政党を気にする風潮があり、ここまで政治が社会生活に影響を及ぼしてしまうことはかつてなかったと言われています。その背景にはこのアイデンティティ・ポリティクスがあります。
第二に、中間選挙を考えると、州ごとの政治に与える影響が最も重要であり、その意味では共和党に利する可能性があること。
前述のとおり、下院ではつなぎ予算は可決したのに、上院では民主党が移民政策にこだわって否決させる格好になりました。
こうなると、共和党は「政府閉鎖を招いた責任は民主党にある」という主張に勢いが出ます。もちろん民主党も同じように共和党に責めを負わせようとしますが、中間選挙ではレッド・ステートの民主党議員がかなり不利な立場に置かれると予想されます。
もともと移民制限を支持する有権者が多いところで、民主党が政府閉鎖を犠牲にしてまで移民政策を争点化した・・というイメージを与えることになるからです。
選挙戦略としては、政府閉鎖のリスクがかかっている場面で民主党が移民政策にこだわったことが正しかったのかという点はリベラルからも厳しい声が上がっています。
この問題は今後も続くので、引き続きフォローし、どこかのタイミングでまとまった形で取り上げます。
●『炎と怒り』の真実
トランプ政権の暴露本『炎と怒り(Fire and Fury)』については、先週、発売直後に以下の記事で解説しました。
・「トランプとバノンの決裂」(1/9)
ただ、これは発売前に公表された事実に基づいて、とりあえずの評価として述べたものでした。その後、自分で本書を読み進めたところ、本当に注目すべきポイントに気づきました。
『炎と怒り』の話題性は、直後の「shithole」発言によって早くも後退した感がありますが(笑)、私が気づいた点はお伝えする価値があるものと確信しています。今週解説します。
●トランプ政権の1年
トランプ政権が発足して1年が経ちました。
このメルマガ・HPではこの1年の動きを細かくフォローしてきました。過去の記事は、今でもたびたび引用していることからも分かるように、これから起こるイベントを考察する上で有益な資料になります。
そこでトランプ政権の1年をテーマにした過去の記事の総集編を作成することにしました。今週配信の予定です。
●カタルーニャ州問題
新議会が招集。今月末までに州首相選出投票が行われる予定ですが、独立支持派はいまだベルギーに逃亡中のカルラス・プチデモンを首相に選出する構え。
ベルギーにいたまま首相の仕事をできるのか・・という当然の疑問がわきますが、プチデモン陣営はSNS、電話、映像を使ってリモート統治ができるとか、トランプがツイッターで政治をしているのだから問題ない・・などと主張しているようです。
国内メディアはそんなプチデモンを「ホログラム首相」と揶揄しています。スターウォーズか(笑)・・まあ、こういう人が権力を握ることはないでしょう。
ラホイ首相は、プチデモンを首相にするなら直接統治を続けると述べています。再選挙が行われる可能性も取り沙汰されています。
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今週の動き
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1/21(日)
・ティラーソン国務長官が英仏、スイス、ポーランド訪問(~27日)
1/22(月)
・EU外相理事会(ブリュッセル)
・アフリカ連合(AU)サミット(アディスアベバ、~23日)
1/23(火)
・NAFTA再交渉第6回会合(モントリオール、〜29日)
・バングラデシュに滞在するロヒンギャ難民がミャンマーに帰還開始
・世界経済フォーラム(ダボス会議)(ダボス、~26日)
・EU財務相理事会(ブリュッセル)
1/25(木)
・インド・ASEAN首脳会議(ニューデリー)
・国連主導のシリア和平協議(ウィーン、~26日)
1/26(金)
・トランプ大統領がダボス会議で演説
・チェコ大統領選挙の決選投票
1/28(日)
・フィンランド大統領選挙
●NAFTA再交渉
第6回再交渉会合ですが、ここで相当の進展がなければ交渉は苦しくなります。7月に大統領選を控えるメキシコは選挙モードに突入するからです。
その中で、つなぎ予算の協議において、壁の建設費用は予算ではなくやはりメキシコからとる、それはNAFTA再交渉の取引材料になる・・とトランプが話すようになっており、さらに難航が予想されます。
そして、NAFTAの修正は議会にチェック権限があるので、トランプの好き勝手にはできないのですが、脱退は大統領の決断で可能です。
とはいえ、本当に離脱するかといえばまだ分かりません。先週11日の報道(WSJ)によれば、トランプは、メキシコの政治情勢に配慮し、交渉を急ぐ必要はないとして、当初の交渉期限として設定していた3月末を延期する可能性を示唆しました。その後、14日の報道(Axios)では、態度を軟化させているとのこと。
一方、17日の報道(ロイター)では再び離脱の可能性に言及。トランプの真意は測りがたいものがあります。
また、仮に脱退しても、NAFTA施行法は効力が残り、これを変えるには議会の承認が必要になるので、離脱だけでは全面的に効力が失われるわけではありせん。
もしかしたら、トランプは「脱退した!」と宣言すれば満足して、あとは議会に責任を負わせることにするのかもしれません。エルサレム、イランを彷彿させるトランプ流交渉術については以下の記事で詳しく解説しました。
・「トランプ外交の先鋭化(2):リアリズムと世界の分断」(1/19)
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あとがき
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読者の方から、本稿が記念すべきメルマガ100本目になるとの連絡をいただきました。
また、先週水曜(1月17日)の記事がHPから通算して500号だったそうです。
ここまで継続しているのも読者の皆様のご支援のおかげです。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
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3 comments on “今週の動き(1/22〜28)”
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議員や知事・市長の下半身写真では・?!
上半身の写真・問題なら・・
JDのコラムに・・
女性が押し寄せ・・
性スキャンダルになってるな・・・
( ^ω^)・・・(笑
マティスの演説・・重要ですぞ・!!
緻密な分析、多岐に渡る話題、充実の内容と、時々一話では収まりきらない圧倒的なスケール!毎回楽しんでおります!
そして、記念すべき、500号、メルマガ100本!おめでとうございます!!!
毎日世界情勢は動いていると仰いますが、JDさんのように”お一人”で日々の情報を追いかけ、分析し、発信できる方もなかなかいらっしゃらないのでは。。。
これからも、ますますのご発展をお祈りするとともに、メルマガ、シリーズ企画、講演会でのご登壇なども、楽しみにしております!
今年のダボス会議は、モディ首相が開幕の、トランプ大統領が閉幕の演説をするとか。特にトランプが何を言うのか楽しみです。
そして、ダボス会議の今年のテーマは「分断された世界で共有される未来の創造」
このメルマガ・HPでもしばしば議論されている「分断された世界」は、経済の舞台でも見過ごせない状況といえるのでしょうか。ぜひ、抑えるべきポイントがあれば、ご教示ください。