■ 米下院補選で共和党候補が勝利　トランプ大統領「信任投票」と高い関心（6月21日付BBC）

ジョージア州における下院補選の決選投票で共和党候補のカレン・ハンデルが勝利。

ジョージア州は議会選・大統領選いずれにおいても共和党が勝ち続けている強力なレッド・ステートです。しかし、4月に行われた補選では民主党候補のジョン・オーソフが1位を獲る衝撃の事態。今回の決選投票でもどちらが勝つかまったく分からない大接戦の状況でした。

その中で、最終的には共和党が辛うじて勝利。日本のメディアの報道をみると、そもそも共和党が勝つのは当たり前だった、共和党が辛勝だったことはトランプの苦しみを物語る、いずれにせよこの補選の結果が国政に与える影響はない･･･といった論調が目立つようです。

しかし、今回の選挙は、米国政治において極めて大きい意味がありました。

政権発足してから約半年が経ち、すさまじい混乱と支持率の低下が明らかになる中で、民主党はこれだけ追い上げながら、結局勝利することができませんでした。これによりトランプが得たものと民主党が失ったものは極めて大きいといえます。

具体的には、次の4点を指摘することができるでしょう。

第一に、「反トランプ」のムーブメントに底が見えたこと。

第二に、トランプ旋風が、単なる一過性のものではなく、米国民の構造的な変化を体現するものだったと考えられること。

第三に、米国民の構造的な変化を受けて、その期待を担うことができるのは共和党とみられていること。

第四に、一方で、民主党にはこの期待を担うことができる人材がいないこと。

バーニー・サンダースを中心とする左派は結束を強めていますが、そのアプローチはジョージアという保守的な土地柄で中道をアピールするオーソフの立場とは一致せず、足を引っ張る結果となっています。長年にわたり下院民主党の顔であったナンシー・ペローシ院内総務の指導力にも陰りが見えます。

これで下院補選は、カンザス、モンタナ、ジョージア、サウスカロライナ、カリフォルニアの5州で行われたことになりますが、前4州で共和党、カリフォルニア1州で民主党が勝利。現状維持ではありますが、この状況で民主党が1勝もできなかったという事実は重いです。

ロシア疑惑の捜査は続き、リーク合戦と人事の停滞から政権は機能不全に陥った状態になりますが、それでも倒れることはないでしょう。

今『ハウス・オブ・カード』のシーズン5を見ていますが、外国（ドラマでは中国）による選挙介入、ネットを使った選挙不正、盗聴･･･などなど、今のトランプ政権を予見するかのような展開になっていて驚きます。

ややネタバレですが、ドラマの展開に従えば、副大統領（主人公フランシス・アンダーウッドの妻クレア）が昇格することになります･･･さて、現実はどうでしょう。