2016/10/14 00:00 | 東南アジア | コメント(9)
タイのプミポン国王の逝去
■タイのプミポン国王が死去(10月13日付ロイター)
プミポン国王は88歳の高齢、入退院を繰り返しており、何度となく危篤説が流れましたが、10月9日に王室が「容態が不安定になった」と異例の発表。
10月12日に再度王室の発表があり、海外にいた皇太子を含む王族や出張中のプラユット首相がバンコクに駆けつけ、ついにこの日が来たか・・・という状況にありました。
そして、今回の発表。在位70年に及ぶ偉大な国王の退場は、タイの一つの時代の終わりを示した感があります。
国王の後継者は、ワチラロンコン皇太子とシリントーン王女のいずれになるか、ほぼ皇太子で間違いない・・・と言われながら、皇太子の不人気と王女の人気、タクシン派が皇太子と近い関係にあったこと、実質的に決定権があるのは王女と仲が良いプレーム枢密院議長(元陸軍司令官、元首相、96歳にして健康万全、いまだ軍の旧勢力のトップの地位にあるタイ政治のモンスター)であったこと、憲法上女性の国王は排除されないと解釈できることから、はっきりとは言い切れない、と言われ続けていました。
昨年4月のタイ出張の時点では皇太子で8割方間違いない(万が一王女ということもあり得る)・・・ぐらいの言われ方をされていました。
しかし、先月のタイ出張の時点では皇太子で99%間違いないと誰もが言っていました。現時点ではもう疑いないと言ってよいでしょう。
皇太子ということで軍内部で異論はなく、国民も受け入れて、混乱は生じないでしょう。100日間葬式が行われ、999日間国民が喪に服することになりますが、経済活動にはほとんど影響は生じないと予想されます。
ただしマーケットは影響を受けており、株式市場とタイバーツは10月9日の発表直後に急落しました。おそらく下げ止まったところですが、これからしばらく不安定な状況が続くでしょう。
問題は、皇太子が即位した後の王室がどうなるかです。タイの国王は憲法上大きな政治的権限をもっています。
故プミポン国王は絶妙なバランスでこの権力を行使し、国の安定に貢献しましたが、皇太子にその役割を期待することはできません。人格、能力、支持基盤、すべての面においてプミポン国王に遠く及ばないからです。
おそらく皇太子は政治への関心をもっていないので、そうであれば王室が政治権力をふるうことはなく、今の体制が安定して続くことになります。しかし、体制内の権力争いから新国王が政治的に利用されるような事態が起こったり、クーデターが発生して国王の承認を得なければならない事態が生じたときは、かなり不安定な状況に陥るおそれがあります。
新憲法草案は8月7日に国民投票で承認され、この憲法下では総選挙後5年間は軍が権力を維持できることになるので、この5年の間に軍としては王室の安定(非政治化)を完成させたいところです。
なお、総選挙は17年後半に行うと発表されていましたが、国王の逝去により、このスケジュールは白紙に戻り、総選挙の時期は未定(早くとも18年以降)になるとみられます。
ということで、国王の逝去は、短期的に不安定要因になることはありませんが、長期的には予測困難な面がかなりあります。
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9 comments on “タイのプミポン国王の逝去”
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英邁とはお世辞でも決して言えない皇太子が・・
王になれば国が乱れるのは・・歴史の習い・・
その弊害が少ない女王で・・
取りあえず場を繕い・・時間を稼ぐ・・
という選択も奇策とは言えないのでは・・??・・・(笑
そういえばアジアで植民地にならなかったのは、日本とタイだけだったと聞いたことがある。似たような王制だったのか。
衆愚政治の収拾に軍が出てくるが、今までは王への畏敬があった。しかし政治的権限があると確かに厄介ですから天皇制のようにしたいでしょうね。
王制を廃止した国またはない国は、王制を残している国をうらやましいと思うことはあるんでしょうかね(笑)。
タイは大好きな国です。何回か旅行してます。ともかく、なんの気兼ねなくのんびりできるところです。特に私にとって、お金の心配をほとんどしなくていいのが最大の魅力です。1000円以下で2時間やってくれるタイ式マッサージや100円以下の屋台。値切ればどんどん下がっていく土産物店。とっても素敵なところです。
そして、どのお店にもプーミポン国王と奥様の御真影が飾ってあります。私にはやめられない茶化し癖があるのですが、いつも引き受けてくれるガイドさんから、プミポン国王の悪口だけは絶対言わないようにくどく注意されたことがあります。タイでは国王の悪口を聞いて怒らない人は誰もいないとまで言われました。
クーデターのたびに良いタイミングで調停して、何もなかったかのように終わらせる。見事な手腕であるとともに、国民の心に国王への絶対的な尊崇の念な染み付いていることが伺われました。
同時に、タクシン元首相への対応を見ると国王は絶対的な保守の人だったんだなと思います。
国の形を変えることは望まない。そんなことも感じました。
国王によく似た娘さん。厚い眼鏡のイメージがあるのですが、そこは記憶違いかもしれません。シリントーン王女の人気はとても暖かい感じでした。
お姉さんや、妹さんのような美人ではないけど、お世辞抜きにとても聡明で、自慢の王女様という感じで国民みんなが大好きで暖かく見守っている。そんな雰囲気だったのを覚えています。
ただ、ご長男の皇太子の評価が極端に悪かったのが意外でした。タイには不敬罪が残っているとのことでしたが、それでもあの人はダメだ。というのがみんなの評価でした。JDさん、「おそらく皇太子は政治への関心を持っていないので」と書かれていましたが、それなら幸いです。私が行ったときは出来もしないのに口を出したがるという評判でした。
あとおそらくですが、あの人は北朝鮮の金正恩とは違った意味で本当のバカ息子です。金正恩は権力掌握の過程でのおじさんの粛清から、おかしくなってしまったんだと思いますが、タイの皇太子は、過度の遊蕩での堕落です。日本では話題になりませんでしたが、人格破綻してるんじゃないかと思わせるレベルのスキャンダルもあります。
賢明なことで定評があるプミポン国王だったら、廃嫡してシリントーン王女に王位を譲位すればよかったのにと、これからの国民の信頼を考えれば、本当に思いますし、なぜそうしなかったのか、ちょっと不思議です。
そんな皇太子でも、実質的に最大権力を持っている軍が支持して国王になったということは、これからは軍に逆らえない、言うとおり動く傀儡になると思います。王室の力も質も落ちていくんでしょうね。
将来、王室を巻き込むクーデターや、真の民政転換を望む革命運動がないとも限りません。その時、信用のない国王の調停が通じなかったらどうなるんでしょうね。
アメリカのトランプさんがやらかしていたことや、最近は日本でも将来のエリートたる一流大学、慶大広告研究会、東大のイベントサークルでなど、性的な道徳崩壊が著しくなってきてます。女性から見れば本当におぞましいとしか言いようがないことでも、やらかしている男性は悪いことをしているとは感じなくなってるのでしょう。重大な犯罪なのに。
ともかく、エリート層の男性の堕落が危惧しなければならないレベルになってきてるように思えてなりません。
日本の大学生に関しては、学生の自主性に任せるのではなく、きちんと入学時から学生の本分については厳しく指導するべきです、エリートならば。
そう考えると、エリート層やトップが真面目な女性に変わっていくことが、これからの世界にとって正しいことと思えます。
皇太子は、ご指摘のとおり、様々なエピソードがある人で、私は、タイの一般人から専門家、インサイダー含め、沢山の情報に接しています。その中には、衝撃的な内容も含まれます。
しかし、ご推察のとおり、この点については、不敬罪もあり、残念ながらHPに書くことはできません。
講演のような場では詳しく話しています。クローズドに伝えられる形があれば、説明できるのですが、残念です。
なお、金正恩を引き合いに出されたのは慧眼です。詳しくは言えませんが、多くのタイ人が彼の人に近いイメージを抱いています。
これが意味不明程長く・・
国王不在記録更新か・・
摂政が事実上の国王・・
こんな解決方法もありましたね・・
ツタンカーメン死去後のファラオ―・アイ・・連想出来るな・・・(笑
プレームは、記事にも書いているとおり、実質的に王政を仕切ってきた人物ですから、摂政であろうとなかろうと、実態は変わりません。ただ形をつくることにはそれなりの意味があります。
元々は葬儀は3年後と言われてましたから、これもさほど驚きはありません。何にせよ、タイの王室に政治力があったというのは何年も前から神話化していました。これから制度的にも形骸化を進むとみられていますが、新国王の思惑次第、というところもあります。
暫くは新エリートの女性の参入で良くなるでしょうが
結局はエリートは腐りやすいので工夫が必要ですよ
アメリカでは、女性がおかかえ運転手に馬乗りになって
訴えられたりしてます。 男女の差は時間の問題
上司が部下の若い男子にセクハラみたいなシーンは
映画にも良くでてきます
トップ1%は自身で行動や出所進退を決めないと
いけない事をきっちり自覚してもらわないと
バイブルに手を置いての宣誓も効果がなくなって
きましたね
幼稚園の砂場のルールが良く引用されますが
その中の一つの、ズルや卑怯はだめですね
女性も1%に入ると、その特長とされた
思いやりや配慮が無くなっていったりします
被害家族への思いがなくなったようです
男女同一は、利点もありますが、失うものもあります
それに仏教者にとってバカや大愚は大切な言葉
ですが、仏教者として使用法を全く理解していないで
”使うべきでない言葉”だなんていい訳する
女性宗教エリートを生んでしまいました
男女を問わず、良い1%育成へ向かいましょう
表でも・・
裏でもやってしまった・・
「ル」はペルドンであります・・・(笑