2016/06/08 00:00 | 東南アジア | コメント(5)
東南アジアの新政権①:民主主義のパラドックス
■ クリントン氏が党候補指名に必要な代議員数を獲得(6月7日付BBC)
7日のカリフォルニアでの予備選を待たずしてヒラリー・クリントンが過半数の代議員を獲得したとのこと。長々と続いたバーニー・サンダースとの戦いもようやく終わり・・とはいかなそうで、サンダースは党大会まで戦う姿勢を明らかにしています。
二人の終わりが見えない死闘は、共和党のまならず民主党の断絶も深いことを露呈しました。一方、共和党も、ドナルド・トランプがポール・ライアン下院議長をはじめとする指導部の支持を取り付けつつありますが、いまだ予断を許さぬ状況です。
そういうわけで、いよいよ大統領本選の見所・・・というところでしたが、これは党大会(共和党:7月18日~21日、クリーブランド、民主党:7月25日~28日、フィラデルフィア)の直前まで様子を見たからの方がよさそうです。そういうわけで、書く内容は固まっているのですが、少しお待ち下さい。
これまでの大統領選の結果や各州の特徴などをふまえ、ヒラリー対トランプという次元を超えた一般的・普遍的・歴史的な洞察をまずは披露したいと思っています。日本のメディアなど他ではなかなか見られないものになると思うので、ご期待下さい。
さて、ということで、今回は大統領選から少し目先を変えて、東南アジアの政治変動について書いてみたいと思います。東南アジアでは、本年に入ってから続々と新政権が成立しています。
まず、1月にベトナムで5年に一度の共産党大会が開催されました。党大会直前まで、史上最強の首相といわれたグエン・タン・ズン首相(当時)が最高指導者である共産党書記長に就任することが予想されていましたが、ふたを開けてみるとグエン・フー・チョン書記長が留任し、ズン首相は引退するというサプライズ人事。4月に国会で国家主席、首相、国会議長が選出され、党書記長を含むトップ4が確定、新体制が発足しました。
次に、3月にミャンマーで55年ぶりに選挙で支持を得た政権が発足しました。新政権の実質的なリーダーとなることが決まっていたアウンサン・スーチーは、外国籍の子どもがいることから憲法の規定により大統領に就任できず、代わりにスーチーの腹心であるティン・チョーが大統領に就任しました。スーチーは、あらたに設立された役職である国家顧問に就任、外相と大統領府相も兼務。文字通り「大統領を超える存在」として、実質的な最高権力者としての地位を固めました。
さらに、5月にフィリピンで大統領選が行われ、ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテが当選しました。ドゥテルテは約30年にわたりダバオ政界で影響力を維持してきたベテラン政治家ですが、中央での政治経験はほとんどなく、マニラで権力をふるってきたこれまでのエリートの政治を一新する存在としてフィリピン国民から期待され、また、その過激で独裁者を彷彿させる言動も注目を集めています。6月30日に大統領に就任する予定です。
このように、東南アジアの主要3か国において、これまでの体制を大きく変える変動が起きています。興味深いのは、権威主義体制の国家が独裁者な権力をふるってきた者を引退させる一方で、民主主義体制の国家が独裁的な権力をふるうとみられる者を指導者として選ぶという、一見するとパラドックスのような現象が起きていることです。これをどうみるか。次回解説したいと思います。
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5 comments on “東南アジアの新政権①:民主主義のパラドックス”
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>>権威主義体制の国家が独裁者な権力をふるってきた者を引退させる一方で、民 主主義体制の国家が独裁的な権力をふるうとみられる者を指導者として選ぶ
民の意見をよく聞き、リーダーシップを取ってくれる良い独裁者もいれば、威張り散らして経済を疲弊させ、私利私欲を肥やす悪い独裁者もいますね。独裁と言うと何か悪いイメージを連想しますが、広い世の中良い独裁者も沢山いるのでしょうね。
>ヒラリー対トランプという次元を超えた一般的・普遍的・歴史的な洞察をまずは披>露したいと思っています。
楽しみにしております。
いつも有難うございます。
サンダース・・オバマに呼ばれてワシントンに・・
双方の選挙責任者同士・・話し合いを始めた・・CNN
サンダース・・党綱領・・民主党選挙改正を含め・・
副大統領の線・・濃厚では・・
副を担保にしない限り・・サンダース派・・承知しないでしょう・・
鍔迫り合い・・まだまだ・・続くにしても・・
今回の勝利は・・サンダース・・
大したジィ様・・Eメール・証言・・どうなったのでしょう・??・・・(笑
大統領候補になった時点で、確保した2つの権限
(1)過去の政権のトップ機密を閲覧できるようになってますので、
ベルドンさん期待のE-メール問題初め、執務室での男クリントンの女子教育
など閲覧して騒ぐ準備をしているでしょうね
この権限確保が無ければ国務省もヒラリーの内規違反はうやむやにしたでしょう
発表時期がピタリ
(2)もう一つの権限である準国家元首として、外国トップとの面談が可能になっていて、サミット中にもうオバマと話ても無駄、
それより俺と言わんばかりに、イギリスから招待があった事を暴露していました
ジャブの使い方がうまい(笑) 彼の危ない発言は結構、計算されてる(笑)
いよいよ権利行使でイギリスのEU離脱に合わせて訪問します
(結論)日本のためには、党大会までの暢気にまたない方がいいと思いますよ!
ヒラリー女史が大統領になる前提で、日本との関係をどのように変えるのか、変えないのか?でしょうか。
もう、トランプ氏への興味は失せました…(苦笑)