プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2016/05/06 00:00  | 東南アジア |  コメント(5)

フィリピン大統領選:「ダーティハリー」大統領誕生か


フィリピン大統領選は5月9日に予定されています。大統領選のポイントについては、「2016年大統領選」「ダーティハリーの参戦」「今週の動き(5/2~8)」で説明していますが、簡単にこれまでの展開を振り返ると以下のとおりです。

ジェジョマール・ビナイ副大統領(アキノ大統領の政敵)とマル・ロハス前内務・自治大臣(アキノ大統領の後継者)の一騎打ち
グレース・ポー上院議員の参戦(フロントランナーに)
ロドリゴ・ドゥテルテ・ダバオ市長の参戦
④ポーの大統領資格が認められず失格(支持率が低下)
⑤ポーの大統領資格が最高裁判決により復活(支持率が上昇)
⑥ポーとドゥテルテが支持率1位を僅差で争う展開に
⑦4月に入ってから複数の世論調査でドゥテルテが連続1位

このように、ダントツの本命候補であったポーを「処刑人」「ダーティハリー」「フィリピンのトランプ」といわれるドゥテルテが猛追し、選挙戦はこの二人の争いに収斂します。そして、4月中旬の世論調査ではドゥテルテが1位を固める展開になりました。ポーは大統領資格をめぐる騒動が不利に働いたとみられます。

しかし、この世論調査の直後、ドゥテルテはとんでもない失言をします。それは、1989年のダバオ市における刑務所で豪州人女性が受刑者に人質にとられ殺害された事件について、演説で取り上げた際、「彼女はとても美しかった」「市長である自分が先に暴行する権利があった」という常軌を逸したジョークでした。

当然のことながらドゥテルテは激しい批判にさらされます。メディアや人権団体のみならず、豪州や米国の大使館も非難する事態に。これに対し、ドゥテルテは、謝罪声明を出しながらも、「大使は黙れ」「自分が大統領になったら豪州と米国とは国交断絶する」というこれまた常軌を逸した発言。

この問題の後、ドゥテルテの支持率にどのような影響が及ぶかが注目されました。ところが結果は、ドゥテルテは複数の世論調査でいずれも1位をキープ、それどころか支持率を伸ばし、2位のポーとの間で8~12ポイントの大差をつけました。

失言をすればするほど支持率が伸びる・・大統領選のわずか2週間前で、「フィリピンのトランプ」ともいうべき勢いを見せました。こうなると順当にいけばドゥテルテが次期大統領ということになりそうです。

世論調査の実施期間の後に最後のテレビ公開討論会が行われたこと、ドゥテルテには未報告資産の問題が発生したことがどう影響するかが注目されていますが、おそらくそれほど大きな影響はないでしょう。そうなると、米国のトランプと同様、過激な発言と強烈なキャラクターで人々を魅了するアウトサイダーがトップに立つことになります。

政策面では、得意とする超法規的な犯罪対策を除くと未知数ですが、ダバオ市政に長年携わり経済発展も導いた手腕もあり、基本的にはプロビジネスの路線を継続するとみられています。

ただし、議会、司法、カトリックとの間で対立が生じることは必至です。ダバオ時代の超法規的殺人に関しては刑事訴追や弾劾が相次ぐことが予想されることから、行政が滞る懸念があります。

また、副大統領選では故マルコス元大統領の息子であるボンボン・マルコス上院議員が有力視され、上院議員選では元プロボクサーで国民的英雄であるマニー・パッキャオ下院議員の当選が確実視されています。いずれも将来の有力な大統領候補となるでしょう。

ドゥテルテ、マルコス、パッキャオと相変わらずストロングマンを求めるフィリピン国民の性格が明らかになったといえそうです。

メルマガ「世界情勢ブリーフィング」を購読するためにはご登録のお手続きが必要です。

当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。

5 comments on “フィリピン大統領選:「ダーティハリー」大統領誕生か
  1. ぺルドン より:
    ストロングマン

    どこの国にも人気・・
    米国では・・ストロングウーマンも・・
    新しい流れかな・・

    男が勝てば・・
    霞が関・・ゴウキュ号泣・・
    関白様も・・号泣・・
    我ら海底に沈むか・・穴掘るか・・選択の自由がある・・・(笑

  2. volcano より:
    ドテルテ

    >議会、司法、カトリックとの間で対立が生じることは必至であり、ダバオ時代の超法規的殺人に関しては刑事訴追や弾劾が相次ぐことが予想されることから、行政が滞る懸念が…

    行政は、元々停滞してる(笑)。仕事しない。予算の大半が賄賂で消えるから公共事業も進まない。P警察に予算はなく、殺人事件でも捜査されることはない。刑事訴追や弾劾が相次ぐことは…たぶん無いでせう。元々そういう国。
    ドテルテは治安に力を入れた訳だが、恨みもあるが、ほとんどが財産犯。格差社会に原因がある。ドテルテも分かってるのではないか。では、支配層と対決できるかというと、本当に対決したら自分が消されるだろう。
    よって何も変わらない。歴代大統領のように腐敗に染まるのではないか。P大学20年に1人の逸材と言われたマルコスが、そうであったように。
    ドテルテとトランプは、違うと思いますよ(笑)。トランプの主張は、普通のアメリカ人の素朴な疑問から始まってる。それが格差社会への疑問。ドテルテは、それを明言していない。

    さて、選挙でバラまかれた賄賂。ヘリコプターマネーの如し。フィリピンの景気は良くなったか。シャブの売上が絶好調のようです。盗難アジアの華僑財閥は、元々麻薬ビジネスで大きくなった。バラまかれた金が中華に還流。ショッピングモールといい何から何まで、この仕組み。庶民は奴隷。外資を規制してるから競争も雇用も生まれない。
    マレーシアのように中華を追い出さない限りフィリピンは、変わらない。日本のODAが中華や公務員の賄賂に消える現実を日本政府は、どう思っているのだろうか?

  3. カマキリマン より:
    Davaoの地下鉄

    Davaoの地下鉄、うまくいってほしいですね。

  4. 下北のねこ より:
    ダーティーハリー当選!

    JDさん、さすがの的確な太文字ポイントお見事です。
    「ストロングマンを求めるフィリピン国民の性格」、国内治安がよくないからなのかなあ。
    何より、国内治安の改善をフィリピン国民は望んだのかと個人的には思います。国内が安全になればいいですね。
    個人的に知ってるフィリピンの人はみんな人柄いいんですが。

    しかし、なんで応援する候補って、悪いとは思わないのに落選しちゃうんだろう?
    昔から私が好きな商品はみんな棚から消えるし(終売)、最近では大好きな三菱自動車が危ないし・・・・・。
    東南アジアでは、現地ブランド生産でたくさん走っていたのになあ。

  5. 下北のねこ より:
    ボンボン!

    おおっと、よく見れば、マルコス大統領の息子「ボンボン」とはなんて素敵な名前なんでしょう\(^o^)/。
    マルコス家だったら、ボンボンでも許す。
    海を渡った隣の国のキム・バカボンは党委員長になったそう。
    日本に関しては、南北統一の邪魔するなみたいなコメント出してるそうだけど、邪魔なんかしないよ、むしろ、韓国と在韓米軍の協力で、あのバカボンを文字通りのヘッドハンティング作戦で逮捕して、韓国の国内法で裁いてもらいたいもんです。あの人普通にどこの国の法律でもアウトでしょ。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。