2023/07/10 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(7/9~15)米国のウクライナへのクラスター弾供与、プリゴジン帰国、中国の輸出規制、NATO首脳会議
夏真っ盛りのような天気と暑さが続いていますね。梅雨らしさがまったく感じられませんが、このまま梅雨明けして夏本番に突入するのでしょうか。
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先週の動き
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7/3(月)
・ワグネルの創設者プリゴジンが「近い将来に前線での次の勝利を確信している」との音声メッセージをテレグラムに投稿
・中国が半導体素材のガリウムとゲルマニウム関連製品の輸出規制を発表
・香港当局が英国に亡命した民主活動家の羅冠聡(ネイサン・ロー)ら民主活動家ら8人の逮捕に向けて1人当たり最大100万香港ドルの懸賞金をかけると発表
・イスラエル軍がヨルダン川西岸のジェニンでパレスチナ武装勢力への大規模軍事作戦を実施
7/4(火)
・モスクワ市内と市西郊にウクライナのドローン5機が飛来した(すべて撃墜・墜落、ブヌコボ空港で離着陸が一時制限)とロシア国防省が発表
・ウクライナのスムイがロシア軍のドローンによる攻撃を受けたとゼレンスキー大統領が発表
・ウクライナ軍参謀本部がザポリージャ原発の発電施設の屋根に爆発物のようなものが設置されていたと発表
・ザポリージャ原発が外部電源から切り離されたとIAEAが発表
・ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の女性記者ら2人がチェチェンのグロズヌイの空港から市中心部に車で向かう途中で覆面の男数人に襲撃される
・米独立記念日
・ルイジアナ州の連邦地裁がバイデン政権によるSNS大手に対する投稿削除の要求の差止命令
・上海協力機構(SCO)首脳会議(オンライン)
・G77+中国閣僚会合(ハバナ)
・中国軍の航空機24機と艦船4隻の台湾海峡付近での活動と8機の「中間線」超えを台湾国防部が発表
・中韓外務次官級会談(北京)
・豪尼首脳会談(シドニー)
・IAEAのグロッシ事務局長と岸田首相が会談(東京)
・IAEAが東京電力福島第1原子力発電所の処理水を海洋放出する日本の計画はIAEAの安全基準に合致していると結論づける報告書を公表
7/5(水)
・ロシア国営テレビがロシア当局がプリゴジンの保有とされる邸宅を捜索する映像を放送
・ザポリージャ原発が外部電源に再接続されたとIAEAが発表
・米・スウェーデン首脳会談(ワシントンDC)
・米海軍がオマーンの沖合でイランによる商船の拿捕を2回阻止したと発表
・オバマ元大統領の自宅近くで大量の銃器を持っていたことで逮捕されたテイラー・タラント容疑者がトランプ前大統領のトゥルース・ソーシャルへの同元大統領の住所の投稿を見ていたことが検察の資料で判明
7/6(木)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がブルガリアとチェコを訪問
・ロシア軍がウクライナのリヴィウをミサイルで攻撃
・ベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジンはベラルーシ国内にいないと発言(ロシアのペスコフ大統領報道官はプリゴジンの動向を把握していないと発言)
・ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長がザポリージャ原発への脅威は小さくなったと発言
・ロシア大統領府のキリエンコ第1副長官がザポリージャ原発を訪問
・ロシア軍の戦闘機がシリア上空で米空軍の無人偵察機MQ9「リーパー」の進路に照明弾を投下したと米空軍が発表
・中国の習近平国家主席が東部戦区の部隊の施設を訪れ、将兵に「戦争に備えた任務の新局面を切り開くよう努めなければならない」と指示
・日韓産業協力フォーラム(ソウル)
7/7(金)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がスロバキアとトルコを訪問(エルドアン大統領と会談)
・米国防総省がウクライナへのクラスター弾の供与を発表
・ウクライナが5月5日にCPTPP加盟を申請したとNZ外務貿易省が発表
・イエレン財務長官と中国の李強首相が会談(北京)
・G7司法相会合、G7・ASEAN法務相特別対話(東京)
・オランダのルッテ首相が連立政権の崩壊を認め、国王に内閣総辞職の意向を伝えると表明
7/8(土)
・イエレン財務長官と中国の何立峰副首相が会談(北京)
●米国のウクライナへのクラスター弾供与
バイデン政権がウクライナ軍を支援するため、クラスター弾の供与を決定しました。これまで供与を控えてきた方針を転換したことになります。
クラスター弾は、一つの弾体の中に複数の小型弾が搭載され、それが飛び散ることで広範囲に打撃を与える兵器であり、不発弾が発生することから、民間人に被害を与えるとして、オスロ条約で禁止されていました(10年に発効)。
米国はオスロ条約には加盟していませんが(ロシアとウクライナも未加盟)、国内法によって不発率1%以上の国内製クラスター弾の輸出が禁止されています(17年には不発弾1%以上のクラスター弾は製造できないとして輸出を全面禁止)。
しかし今回、バイデン政権は、輸出制限などに関係なく、大統領は、国家安全保障上の利益に関わるものであれば、既存の兵器の在庫を活用できるという対外援助法の規定に基づき、この規制を迂回できるとの解釈をとって、供与に踏み切りました。
異例ともいえる決定について、バイデン大統領、サリバン大統領補佐官、カール国防次官らが相次いでその必要性と相当性を説明しました。ウクライナの反攻作戦で必要とされること、弾薬の不足、ロシア軍(とウクライナ軍)が不発弾の確率が高いクラスター弾を使用してきたこと(ロシア軍のクラスター弾は30~40%、米国製は2.5%以下と説明)、ウクライナ軍には民間人に被害を与えないように書面で約束させたことなどを述べています。
今回の決定は、米国のロシア・ウクライナ戦争に対するアプローチ、戦況の行方、米国の国内政治、米国とNATOの同盟国との関係など様々な分野に影響を及ぼすことが予想されます。そのポイントを解説します(※メルマガで解説)。
●プリゴジンの帰国?
ベラルーシのルカシェンコ大統領が、プリゴジンは今ベラルーシ領内にいない、故郷のサンクトペテルブルクにいる、今朝はおそらくモスクワに向かった、他のところに行ったかもしれない、プリゴジンは「完全に自由の身」であり、プーチン大統領がプリゴジンを「消し去ることはないだろう」と発言しました。また、近いうちにプーチンと会談し、プリゴジンとワグネルの状況についても話し合う、ワグネルのベラルーシ移転問題はまだ解決していないとも述べました。
一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は、我々はプリゴジンの動きを追跡していない、その能力も意志もないと発言しました。この問題に関してはロシアはすでに声明を出しており、新たに加えることはないとも述べました。
またロシア国営テレビは、ロシア当局がプリゴジンの保有とされる邸宅を捜索する映像を放送しました。大量の武器や現金、金の延べ棒、偽造パスポート、ハンマー、切断された頭部の額入り写真、様々な変装をしたプリゴジン自身の自撮り写真などが発見され、プリゴジンの汚れたイメージが拡散されました。
プリゴジンの動向についてはいまだ不明な点が多いですが、現時点での考察を述べます。あわせて、プリゴジンの反乱後のロシア国内の雰囲気についてもお伝えします(※メルマガで解説)。
●中国の輸出規制
中国の商務部と税関総署が「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」の規定に基づき、国家の安全および利益を守るため、ガリウムとゲルマニウムの関連品目に対する輸出規制を実施すると発表しました。8月1日に発効し、それ以降、これらの品目を中国から輸出するためには商務部の許可が必要になります。
今回の輸出規制は、米国の半導体の輸出規制をはじめとする「デリスキング」に対する中国からの初めての実効的な報復措置といえます。その意義と影響、今後の展望について解説します。
また、イエレン財務長官が中国を訪問し、李強首相らと会談しました。以下の記事で指摘したとおりの展開ですが、これについてもコメントします(※メルマガで解説)。
※米大統領選(バイデノミクス含む)については、今回も長くなってしまったので、次回以降の適当なタイミングで取り上げます。
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今週の動き
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(※NATO首脳会議など。メルマガで解説。)
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あとがき
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「先週の動き」で述べたとおり、プリゴジンの自宅が捜索され、大量の武器や現金、金の延べ棒などが発見されましたが、特に話題にされたのは大量のズラと様々な変装をしたプリゴジン自身の自撮り写真でした。
国外で活動しているときに変装が必要だったと言われていますが、それにしても「プリゴジン七変化」ともいうべき多彩な姿・・(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。
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