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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/02/06 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(2/5~11)中国偵察気球撃墜、ブリンケンの訪中延期、ファーウェイ輸出禁止、ロシアのウクライナ侵攻、スウェーデンNATO加盟問題、トルコ大統領選、ミャンマー非常事態宣言延長


先週はかんべえさんの勉強会に参加しました。錚々たる大家の方々が集まり、この中では「若手」に属する私は恐縮しましたが、オープンな雰囲気の中で思ったことを何でも言うことができ、とても刺激的で、楽しい懇談の場となりました。

このところコロナと論文執筆で出不精になりがちでしたが、オンラインばかりではなく、やはり対面で会うのは大事ですね。徐々にこういう機会を増やしていこうと思います。出張も本格的な再開の検討を始めたところです。以前のように現地レポートもお届けしますので、ご期待下さい。

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先週の動き
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1/30(月)
・米国が新型コロナウイルスの感染拡大による国家非常事態宣言を5月11日に解除すると発表
・米国がファーウェイへの輸出の全面禁止を検討しているとの報道
・ブリンケン国務長官とエジプトのシシ大統領が会談(カイロ)
・米韓国防相会談(ソウル)
・台湾の蔡英文総統とチェコのパベル次期大統領が電話会談
・独・ブラジル首脳会談(ブラジリア)
・パキスタンのペシャワールのモスクで自爆テロ

1/31(火)
・ロシアのプーチン大統領とサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が電話会談
・ブリンケン国務長官とイスラエルのネタニヤフ首相が会談(エルサレム)
・ブリンケン国務長官とパレスチナ自治政府のアッバス議長が会談(ラマラ)
・米国がロシアは新STARTに違反しているとして批判
・米印の重要・新興技術分野の連携強化に関する初の高官協議(ワシントンDC)
・ミネソタ州で人工妊娠中絶の権利を保障する法律が成立
・FOMC(~2/1)
・台湾で陳建仁行政院長率いる新内閣が発足
・ユーロ圏の22年10-12月期の実質GDP成長率の発表(前期比+0.1%)
・NATOのストルテンベルグ事務総長と岸田首相が会談(東京)
・ローマ教皇フランシスコがアフリカを訪問(~2/5)

2/1(水)
・ロシア軍がウクライナのドネツク州のクラマトルスクの集合住宅をミサイルで攻撃
・ロシアがロシア産原油の輸入価格に上限を設けた国への原油輸出の5か月間禁止を実施
・ウクライナ当局がオリガルヒのコロモイスキーとアヴァコフ元内相の家宅を捜索
・米国がロシアの軍産複合体を支援し制裁を逃れている組織との関係を理由に22個人・団体に制裁
・米司法省がデラウェア州リホーボスにあるバイデン大統領の私邸を捜索(機密文書は発見されず)
・バイデン大統領とマッカーシー下院議長が会談
・ブリンケン国務長官がソロモン諸島での大使館の開設を発表
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を0.25%引き上げ(4.5~4.75%))
・トルコのエルドアン大統領がフィンランドのNATO加盟には肯定的だがスウェーデン加盟は支持しないと発言
・ミャンマー国軍が非常事態宣言の延長を発表
・OPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)(オンライン)

2/2(木)
・ロシアのプーチン大統領がボルゴグラードでの独ソ戦80周年式典に出席
・米国防総省が中国の偵察気球が米本土上空を飛行していると発表
・バーンズCIA長官が中国の習近平国家主席が27年までに台湾侵攻を成功させるための準備を人民解放軍に指示したことを把握していると発言
・バイデン大統領がNECのディーズ委員長の退任を発表
・米比国防相会談(マニラ)
・米韓共同訓練を米国の戦略爆撃機「B1B」も参加して黄海上空で実施したと韓国国防省が発表
・北朝鮮外務省が米韓軍事演習の拡大を非難する談話を発表
・スウェーデン・フィンランド首脳会談(ストックホルム)
・ECB定例理事会(フランクフルト)

2/3(金)
・中国外交部が米上空を飛行する気球を中国のものと認め、民間の気象研究用の飛行船が航路を外れたと発表
・ブリンケン国務長官が中国の偵察気球の飛行を非難し、2月上旬に予定していた訪中の延期を発表
・米国がウクライナへの21億7500万ドルの追加軍事支援を発表
・G7と豪州がロシア産ディーゼル燃料等の石油製品の価格上限で合意
・ドイツがレオパルト1のウクライナへの輸出を許可したと発表
・EU・ウクライナ首脳会談(キーウ)
・米民主党全国委員会が大統領選予備選の日程変更を決定
・韓国のソウル中央地裁が曹国元法相に私文書偽造罪等で懲役2年の有罪判決
・ASEAN外相会議(ジャカルタ、~4日)

2/4(土)
・米軍が東海岸沖の大西洋上空で中国の偵察気球を撃墜したとオースティン国防長官が発表

●中国偵察気球の撃墜、ブリンケンの訪中中止、ファーウェイへの輸出禁止

米国防総省が中国の偵察気球が米本土上空を飛行していると発表しました。気球はアラスカ州付近を通り、カナダ北西部を経由してモンタナ州に入りましたが、同州にはICBMを運用するマルムストロム空軍基地があり、偵察対象になっていた可能性が指摘されました。

米国は主権の侵害であると強く非難し、ブリンケン国務長官は今月上旬に予定されていた訪中の延期を発表しました。これに対し中国は、気球を中国のものと認め、民間の気象研究用の飛行船が航路を外れたと弁解。「西風の影響を受け、不可抗力で米国に迷い込んだ」として「遺憾」と表明し、ブリンケンの訪中延期については、米国が自主的に判断する事項であり、「尊重する」とのコメントを発表しました。

その後、気球はサウスカロライナ州の沖合で米軍機により撃墜されました。オースティン国防長官は、気球は米本土の戦略的な拠点を監視するため、中国が使用していたものだと指摘し、米国民の安全を常に第一に考え、主権の侵害に効果的に対処することを示したと表明しました。

また、今回の気球事件に先立ち、バイデン政権がファーウェイへの輸出の全面禁止を検討していると報じられました。米国はトランプ政権下の19年5月にファーウェイを輸出管理規則に基づくエンティティ・リストに掲載し、20年5月には外国製品も規制対象とするなど、制裁を強化してきましたが、一部の製品については輸出許可のライセンスを発行してきました。それも打ち切って、完全に輸出を遮断するというものです。

これらの動きが意味するものについてコメントします(※メルマガで解説)。

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(2月6日)で350日目を迎えました。ロシアの侵攻が始まった2月に入りました。

これまでどおり、ハルキウ州東部とルハンスク州西部、ドネツク州ヘルソン州ザポリージャ州という3つの前線で攻防が続いています。ルハンスク州では、ウクライナ軍がスバトベクレミンナの奪還を目指していましたが、ロシア軍が攻勢を強め、ウクライナ軍は守勢に立っているようです。

ドネツク州では、ロシア軍のバフムト攻略に向けた攻撃が一層激化し、親ロシア派武装勢力の幹部やワグネルのプリゴジンは包囲を完成させつつあるとアピール。ウクライナ軍も苦戦を認めるようになっています。ロシア軍はバフムト北のシヴェルスクにも攻勢をかけており、ここからさらに北にあるクレミンナでの攻勢と連動し、この地域を包囲しようとしているとの見方もあります。

米国はウクライナへの21億7500万ドルの追加軍事支援を発表し、新たな長距離兵器として地上発射型小直径弾(GLSDB)を供与することを決めました。その射程は150キロに及び、これまで提供してきたハイマースの射程の2倍となります。

新たなロシア制裁として、G7と豪州がロシア産ディーゼル燃料等の石油製品の価格上限で合意しました。すでに合意されていたEUのロシア産原油の海上輸入禁止とともに、本日から実施されます。一方、ロシアも、すでに発表していたロシア産原油の輸入価格に上限を設けた国への原油輸出の5か月間禁止を実施しました。

EUの首脳(ミシェル欧州理事会議長とフォンデアライエン欧州委員会委員長)がキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。EUはウクライナへの軍事・経済支援やロシア制裁を強化することを強調しましたが、ウクライナのEU加盟については、従来の手続きに従って慎重に加盟要件を審査することが確認されました。

プーチン大統領はボルゴグラード(旧スターリングラード)での独ソ戦80周年式典に出席し、ドイツの戦車(レオパルト2)の供与決定を批判。「ロシアは再びドイツのナチズムの脅威にさらされている」と述べ、ロシア国民を鼓舞しました。

また、ウクライナは汚職対策の強化をあらためて表明し、オリガルヒのコロモイスキーアヴァコフ元内相の家宅を捜索しました。コロモイスキーについては過去に何度か取り上げましたが、かつてはゼレンスキーの後ろ盾だった人物です。

こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●トルコのスウェーデンNATO加盟反対、トルコ大統領選

トルコのエルドアン大統領がフィンランドのNATO加盟には肯定的だがスウェーデン加盟は支持しないと発言しました。トルコはかねてから両国のNATO加盟に難色を示してきましたが(以下の記事参照)、スウェーデンについては、クルド問題に加え、極右団体の代表がコーランに火をつけたことなどを受け、さらに態度を硬化させたものです。

「G7サミットとNATO首脳会議」(22/6/27)
 
これに対し、スウェーデンのクリステション首相とフィンランドのマリン首相がストックホルムで共同記者会見を行い、両国が同時加盟を目指すことをあらためて強調しました。一方、米国では、超党派の上院議員がバイデン大統領に書簡を送り、トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を認めるまでF-16の売却を行うべきではないと訴えました。

この件は、米トルコ関係とトルコの大統領選と深く関わってきます。大統領選については、エルドアンは先月、6月18日から5月14日に実施を前倒しする意向を表明しました。これらの動きのポイントについて、大統領選の展望とともに解説します(※メルマガで解説)。

●ミャンマーの非常事態宣言の延長

ミャンマーで20年2月に発令された非常事態宣言の6か月延長が決定されました。非常事態宣言は当初1年間とされ、その後、2回延長されていたのですが、さらに延長されたことになります。

これにより、8月に予定されていた総選挙は先送りされる見通しになりました。今回の動きを踏まえ、今後の見通しを述べます(※メルマガで解説)。なお、クーデター直後の分析については、以下の総集編をご参照下さい。

「総集編第12号:習近平体制の強化とアジアの民主主義」(22/2/22)

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今週の動き
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(※メルマガで解説。)

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あとがき
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日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る(1月22日付BBC)

話題を呼んでいるらしい記事ですが、80年代から振り返って日本や東京を描いているところは面白く、なるほど、日本社会にはそういう面がたしかにあるなと興味深く感じられるところはあります。しかし、全体を通じて感じたのは、「いつの話をしているんだ」ということです(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。

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