2022/10/31 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(10/30~11/5)ロシアのウクライナ侵攻、習近平の延安訪問と党規約の改正、英スナク首相、ブラジル大統領選、イスラエル総選挙
日本シリーズはオリックスが26年ぶりの優勝。熱戦の連続でしたね。両軍とも本当に強かった。見事でした。
なお第8戦まで行けば86年の西武-広島以来になったところですが、あのシリーズは私もよくおぼえています。第1戦の引き分けを呼び込んだのは、9回に小早川毅彦とこの年に引退を表明していた山本浩二がエース東尾から放った連続ホームランでした。この名場面についてはぐっちーさんともよく話したものでした。
さて、その日本シリーズの裏番組のような形で(笑)、先週はオンラインセミナーを開催しました。ゲストの安田佐和子さんからは米国経済やドル円相場、私からは中国共産党大会についてお話しました。私の解説はかなりディープというか、マニアックだったと思いますが(苦笑)、参加者の皆さんは目の肥えた方ばかりだったので(質問やコメントを見ても分かりました)、楽しんでいただけたのではないかと思います。
オンラインセミナーはこれからも開催しますが(現時点では年2~3回を想定していますが、リクエストがあれば積極的に検討します)、グッチーポストのオンラインサロンでも、こうしたウェブでのプレゼンや懇談を頻繁に行っています。編集部からも案内がありましたが、ご関心のある方はぜひのぞいてみて下さい。
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先週の動き
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10/23(日)
・中国共産党中央委員会第1回全体会合(1中全会)(北京)
・米ロ、仏ロ、英ロ、ロシア・トルコ国防相電話会談(ショイグ国防相がウクライナはダーティーボムを使用する可能性があると主張)
・米・ウクライナ外相電話会談
・英国のスナク元財務相が保守党の党首選への出馬を表明
・英国のジョンソン前首相が保守党の党首選への不出馬を表明
・スロベニア大統領選挙(1位はロガル元外相、11/13に決選投票)
10/24(月)
・米司法省が中国のスパイ行為に関する3件の事件で13人を起訴したと発表
・中国の22年7-9月期の実質GDP成長率の発表(前年同期比+3.9%)
・台湾の蔡英文総統とドイツ連邦議会人権委員会の議員団が会談(台北)
・英ロ参謀総長電話会談
・英保守党の党首にスナク元財務相が選出
・エチオピア和平交渉(ヨハネスブルグ)
10/25(火)
・ロシア軍の物資調達に関する政府調整会議(プーチン大統領が出席)(モスクワ)
・ロシアが国連安全保障理事会の非公開会合でウクライナはダーティーボムを使用する可能性があると主張
・ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジンがプーチン大統領にロシア軍の戦闘の進め方への不満を伝えたとワシントン・ポストが報道
・米国防総省のライダー報道官がロシアから核戦略運用部隊の演習の実施について通知を受けたと発言
・米民主党のジャヤパル下院議員率いる進歩派議連の議員30人がバイデン政権に対しロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けてロシアと協議することを促す書簡を10月24日に送ったことが判明したが、ジャヤパル議員が撤回を発表
・ドイツのシュタインマイヤー大統領がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・ドイツ主催のウクライナ復興会議(ベルリン)
・EUエネルギー相会合(ブリュッセル)
・英国でスナク新首相が就任(米国、ウクライナ首脳と電話会談)
・サウジ経済投資フォーラム「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」(砂漠のダボス会議)(サウジのアブドルアジズ・エネルギー相が戦略石油備蓄の放出を市場操作に利用している者がいると発言)(リヤド)
10/26(水)
・ロシアの核戦略運用部隊の演習(プーチン大統領が視察)
・中ロ、印ロ国防相電話会談
・独仏首脳会談(パリ)
・ドイツのショルツ政権が中国遠洋運輸(COSCO)によるハンブルク港の物流ターミナルの株式取得を認める決定
・中国共産党規約の全文を新華社が公表
・AIIB年次総会(北京、~27日)
・バイデン大統領とイスラエルのヘルツォグ大統領が会談(ワシントンDC)
・日・リトアニア首脳会談(東京)
・日米韓外務次官級協議(同)
10/27(木)
・バルダイ会議最終日(プーチン大統領がウクライナはダーティーボムを使用する可能性があると主張)(モスクワ)
・中ロ外相電話会談
・中国共産党の習近平総書記をはじめとする政治局常務委員7人が陝西省延安を訪問
・米国防総省が国防戦略と核態勢の見直し(NPR)を公表
・米国の22年7~9月期の実質GDP成長率(速報値)の発表(前期比年率換算+2.6%)
・ECB定例理事会(政策金利を0.75%引き上げ)(フランクフルト)
・ASEAN特別外相会議(ジャカルタ)
・イラク議会がムハンマド・スダニ首相を首班とする内閣を承認
・イーロン・マスクによるツイッター買収が完了
10/28(金)
・ウクライナのヘルソン州の親ロシア派の占領当局がドニエプル川西岸の一部住民の「退避」は完了したと発表
・ロシアのショイグ国防相が部分動員令による約30万人の予備役の招集の終了と8万2,000人の戦地配備をプーチン大統領に報告
・米国がウクライナに対する2億7,500万ドルの追加軍事支援を発表
・ペローシ下院議長の自宅に男が侵入、夫のポール・ペローシに暴行
・北朝鮮が日本海に短距離弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
10/29(土)
・クリミア半島のセヴァストポリの港がドローンによる攻撃を受けたとロシアが任命した同市の「市長」が発表
・ロシア国防省がウクライナ産穀物の輸出合意への参加の停止を発表
・ロシア国防省がノルド・ストリーム1と2のパイプラインのガス漏れは英軍関係者が計画と実行に関与したテロ行為だと発表
・韓国のソウルの梨泰院地区で雑踏事故
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(10月31日)で252日目を迎えました。
ウクライナ軍は、ハルキウ州、ルハンスク州、ヘルソン州では、ロシア軍から限定的な反攻を受けながらも、引き続き主導権を握っています。ヘルソン州の親ロシア派の占領当局はドニエプル川西岸の住民の「退避」が完了したと発表しました。一方、ドネツク州ではロシア軍が勢いを保っており、ウクライナ軍は基本的に守勢にあります。
プーチン大統領は、新たに設置された物資調達に関する政府調整会議で、ウクライナで「問題」に直面していることを認め、ロシア軍への後方支援を行うため、より合理的な意思決定と調整プロセスを行うよう呼びかけました。
ショイグ国防相は、9月21日に発令された部分動員令にもとづき予備兵30万人の招集を完了したとプーチンに報告しました。このうち8万2,000人が戦地に派遣され、残り21万8,000人の訓練を急いでいるとしています。
ロシア軍は、ウクライナの発電所や水供給システムなどのインフラをターゲットにしたミサイルとドローンによる攻撃を続けています。国内の発電所の3~4割が損傷を受け、各地で大規模な停電が起きる中、ゼレンスキー大統領は暗闇のキーウの屋外で演説を行う姿を発信しました。
ショイグは、米国、フランス、英国、トルコ、インドの国防省と次々に電話会談を行い、ウクライナがダーティーボム(放射性物質を拡散する爆弾)を使用する可能性があると主張しました。国連安保理の会合でもロシアはこの懸念を表明し、プーチンもバルダイ会議で、ウクライナはダーティーボムを爆発させてロシアが核攻撃をしたと言うつもりだと主張しました。
またプーチンは、バルダイ会議において、第2次大戦以降、世界は最も重要で危険な十年間を迎えていると発言。米欧のウクライナ支援を牽制し、米欧は核兵器の使用をちらつかせてロシアを脅していると主張。一方、核使用をめぐる発言の中で、ロシアがウクライナをダーティーボムで攻撃することは「軍事的にも政治的にも意味はない」と述べ、同時に、核兵器が存在する限り常に使用の危険性があるとも述べました。
また、米欧は世界で覇権を広げようとしていると批判。世界の文明の基盤は伝統的な価値観にあるとして同性婚への反対を表明し、ドル依存からの脱却に向け中国やインドなど新興国と協力する考えも示しました。
週末になると、ロシア国防省は、ウクライナ軍がドローンを使ってセヴァストポリの港に「テロ攻撃」を行ったと主張(現時点でウクライナから公式な発表はありません)。さらに英国もこの攻撃を支援したと主張しました。これを受けて、ウクライナとの穀物輸出合意への参加を無期限で停止すると発表しました。
こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●習近平の延安訪問と党規約の改正
習近平総書記をはじめとする政治局常務委員7人が陝西省延安を訪問しました。延安は共産党軍が長征の後にたどり着いた地で、毛沢東の主導の下、共産党が根拠地を置いた「革命の聖地」です。習近平らは革命記念館や毛沢東の旧居を訪問しました。
また、新たな共産党規約が公表されました。共産党大会での決議に沿った内容でしたが(以下の記事参照)、ただ決議で言及された「2つの確立」は入りませんでした。
・「中国共産党大会」(10/25)
今回の延安訪問と党規約について解説します(※メルマガで解説)。上記記事(とオンラインセミナーで話したポイント)に沿った動きなので、あわせて参照いただければと思います。
●英国のスナク新首相の就任
英国の保守党の党首選が開催され、リシ・スナク元財務相が無投票で選出されました。対抗馬になるとみられたボリス・ジョンソン元首相とペニー・モーダント下院院内総務は党首選への出馬を見送ったためです。スナクは翌日に首相に就任しました。
ボリスの不出馬とスナクの選出は前回の記事(以下のリンク参照)で指摘したとおりの展開でした。スナク新政権の展望についてコメントします(※メルマガで解説)。
・「英国のトラス首相の辞意表明」(10/24)
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今週の動き
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(※ブラジル大統領選挙、イスラエル総選挙など。メルマガで解説。)
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あとがき
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■ 世界は第二次世界大戦以来の最も危険な10年に直面=プーチン氏(10月28日付ロイター)
>ロシアの軍事ドクトリンは防衛のためにのみ核兵器を使用することを認めているとし、ロシアがウクライナで核兵器の使用を検討しているとの主張を否定。核戦争寸前まで達したキューバ危機を巡り当時のジョン・F・ケネディ米大統領とともに状況を打開した旧ソ連最高指導者ニキータ・フルシチョフ氏のような立場になることは望まないとした。
米ロの核危機といえば、思い浮かぶのはキューバ危機ですが(当時はソ連)、このプーチンのコメントを見ると、「フルシチョフのように屈したとは見られたくない」という考えのようです。後世の評価としては、フルシチョフもケネディも危機を回避した点で立派だった、フルシチョフもトルコからの米国のミサイル撤去という「成果」を得たのでメンツは潰れなかった、米ソのホットライン開設とその後のデタントにつながった・・というポジティブな要素がありますが(一方、核軍備競争を激化させた、米ソ双方において同盟国との関係が複雑になったという負の面も)、プーチンはそのようには考えていないのでしょう。
キューバ危機については、当時の関係者の回顧録やそれをもとにした映画(『13デイズ』)があり、ノンフィクションも多く書かれていますが、私がお勧めするのは、マイケル・ドブズ『核時計零時1分前-キューバ危機13日間のカウントダウン』です・・・(※ここから先はメルマガをご覧下さい)。
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