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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/10/10 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(10/9~15)ロシアのウクライナ侵攻、OPECプラス(米・サウジ)、米国の対中技術規制、ブラジル大統領選、7中全会


先週は天気の悪さもありましたが、急に冬のような寒さに。もうTシャツ、短パンで外に出るのはやめたほうが良いですね。寝るときはタオルケットをかけていたのですが、今日から羽毛布団を出すことにしました。

さて、グッチーポストの秋の特別企画として、10月26日(水)にオンラインセミナーを行うことになりました。

今回はかんべえさんのご紹介で数年前に知り合い、公私にわたり色々な機会にご一緒している安田佐和子さんとのコラボです。安田さんにはマーケットのプロなので、株価や為替の動向についてお話して下さると思います。私からは、米国の政治経済の話が中心になると思いますが、ウクライナや中国などホットなテーマを広く取り上げてお話する予定です。

もちろんこれまでどおり、参加者の方は自由に質問や意見交換をしていただけます。グッチーポストの他のメンバーも参加します。サプライズゲストも来るかもしれません。少しでもご関心をおもちになった方は、ぜひ上記リンクをご覧下さい。

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先週の動き
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10/2(日)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がドネツク州のリマンをロシア軍から完全に奪還したと発表
・サリバン米大統領補佐官とウクライナ大統領府のイエルマク長官が会談(イスタンブール)
・アルメニア・アゼルバイジャン外相会談(ジュネーブ)
・ブルガリア総選挙(中道右派の野党「欧州発展のためのブルガリア市民」が第1党)
・ボスニア・ヘルツェゴビナ総選挙
・イエメン内戦の停戦合意が期限切れで失効
・ブラジル大統領選挙(1位ルーラ元大統領、2位ボルソナロ大統領、10/30に決選投票)

10/3(月)
・ロシア下院がウクライナのドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4州のロシアへの編入条約を承認、関連法案を可決
・ロシアに拘束されていたウクライナのザポロージャ原子力発電所のムラショフ所長が解放されたとIAEAのグロッシ事務局長が発表
・ロシア政府がロシア軍西部軍管区のジュラブリョフ司令官を解任し、新たにベルドニコフ中将を任命したとロシアのメディアが報道
・ロシア内務省が国営テレビ局の生放送でウクライナ侵攻に抗議したジャーナリストのマリーナ・オフシャンニコワさんを指名手配
・ガスプロムがノルド・ストリームの損傷したパイプライン3本からのガスの流出の停止を発表(ノルド・ストリーム2のBラインでのガス供給は可能と説明)
・イランのハメネイ最高指導者が風紀警察に拘束された女性の死亡に抗議するデモの鎮静化に当たっている治安部隊を全面的に支持すると表明
・バイデン大統領がイランの風紀警察に拘束された女性に抗議するデモの弾圧を非難
・米比合同軍事演習(カマンダグ)(日韓がオブザーバー参加)(フィリピン、~14日)
・ブリンケン国務長官とコロンビアのペトロ大統領が会談(ボゴタ)
・トランプ前大統領がCNNを相手方として名誉毀損を理由に4億7,500万ドルの損害賠償請求の訴えをフロリダ州の連邦地裁に提起
・台湾の蔡英文総統とドイツの超党派の国会議員団が会談(台北)
・英国のクワーテング財務相が高所得者向け所得税の減税案の撤回を表明
・ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
・ノーベル生理学・医学賞発表(スバンテ・ペーボ)

10/4(火)
・ロシア上院がウクライナの4州のロシアへの編入条約を承認、関連法案を可決、プーチン大統領が署名
・米国がウクライナに対する6億2,500万ドルの追加軍事支援を発表
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアのプーチン大統領との停戦に向けた交渉は「不可能」と明記した法令に署名
・インド・ウクライナ首脳電話会談
・ウクライナのゼレンスキー大統領とイタリアの第1党FDIのメローニ党首が電話会談
・米FBIによるマール・ア・ラーゴの押収物の捜査に関し、トランプ前大統領の弁護団が連邦最高裁に調停を要請・北朝鮮
・EU財務相理事会(ルクセンブルク)
・北朝鮮が慈江道の舞坪里付近から東に向けて中距離弾道ミサイル1発を発射(青森県上空を通過し、日本のEEZ外側に着弾)
・日米首脳、日米韓外相、日米防衛相電話会談
・日米の戦闘機が共同訓練(日本海上空)
・日本政府が札幌のロシア総領事館の領事にペルソナ・ノン・グラータを通告し国外退去を要求
・ツイッターがテスラのマスクCEOから再び買収の申し出があったと発表
・ノーベル物理学賞発表(アラン・アスペ、ジョン・クラウザー、アントン・ツァイリンガー)

10/5(水)
・プーチン大統領がウクライナのザポロージャ原子力発電所をロシア政府の管理下に置く大統領令に署名
・プーチン大統領が部分動員令の対象者から学生を除外する法令に署名
・ガスプロムがイタリア向けのガス供給の再開を発表
・米情報機関がダリア・ドゥーギナの爆殺事件にはウクライナ政府の一部が関与していたと考えているとNYタイムズが報道
・米州機構総会(リマ、~7日)
・米韓両軍が戦術地対地ミサイル「ATACMS」を日本海に向けて4発発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・国連安保理が北朝鮮の弾道ミサイル発射に関する緊急会合を開催(NY)
・OPECプラス閣僚会議(11月から日量200万バレルの減産で合意、バイデン大統領は「失望」と表明)(ウィーン)
・英保守党の党大会(トラス首相が演説)(バーミンガム)
・ノーベル化学賞発表(バリー・シャープレス、キャロライン・ベルトッツィ、モーテン・メルダル)

10/6(木)
・IAEAのグロッシ事務局長がウクライナのゼレンスキー大統領と会談(キーウ)
・欧州政治共同体(EPC)の初会合(プラハ)
・トルコ・アルメニア首脳会談(同)
・バイデン大統領がマリファナ所持で有罪判決を受けた人への恩赦を発表
・米財務省がイランの風紀警察に拘束された女性に抗議するデモの弾圧やインターネット遮断に関与したとして閣僚や革命防衛隊の幹部7人への制裁を発表
・北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・北朝鮮の軍用機12機が北朝鮮上空で編隊を組んで示威飛行し、射撃訓練を実施したと韓国軍合同参謀本部が発表
・北朝鮮外務省が米国の原子力空母ロナルド・レーガンの日本海への展開を非難する文書を発表
・国連人権理事会が中国新疆ウイグル自治区での人権侵害の状況を23年2月からの次期定例会合で討議する提案を否決
・メキシコのクルティエル経済相が辞任(ブエンロストロ国税庁長官が後任)
・豪州・ソロモン諸島首脳会談(キャンベラ)
・日韓首脳電話会談
・ノーベル文学賞発表(アニー・エルノー)

10/7(金)
・米国が対中技術輸出規制の適用対象を大幅に拡大する包括的な措置を発表
・米国が北朝鮮の弾道ミサイル発射につながる石油精製品を違法に密輸したシンガポール、台湾、マーシャル諸島の企業3社と個人2人への制裁を発表
・バイデン大統領が米・EUの個人データ移転の新たな枠組み導入に向けた大統領令に署名
・米国が北極戦略を発表
・中国共産党中央規律検査委員会の全体会合(北京)
・独立国家共同体(CIS)の非公式首脳会合(サンクトペテルブルク)
・ロシア・トルコ首脳電話会談
・ロシアのプーチン大統領の誕生日(北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記らが祝電)
・ロシアのプーチン大統領がサハリン1の事業を新設のロシア企業に移す大統領令
・EU首脳会議(プラハ)
・カナダがイランの革命防衛隊の上層部の入国禁止を発表
・レソト総選挙
・日本がロシアによるウクライナの4州の「併合」を受けてロシア政府関係者への制裁を発表
・ノーベル平和賞発表(ウクライナとロシアの人権団体(市民自由センターとメモリアル)、アレシ・ビャリャツキ)

10/8(土)
・クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋の一部が爆発により崩落
・ウクライナのザポリージャ原子力発電所が砲撃を受けて外部電源を失った(非常用電源が起動した)とIAEAが発表
・ロシア国防省がウクライナでの軍事作戦を統括する司令官に航空宇宙軍のセルゲイ・スロビキン総司令官が任命されたと発表
・ドイツ北部で列車の運行が約3時間にわたって一時停止(ドイツ鉄道は通信ケーブルへの破壊工作が原因と表明)

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(10月10日)で231日目を迎えました。

東部のハルキウ、ルハンスク、ドネツクでは引き続きウクライナ軍が反攻を続けています。ハルキウではリマンに続き、クレミンナを包囲しようとしており、クピアンスク近辺でも攻撃を継続。ヘルソンでも35キロにも及ぶ大規模な前進を遂げたと言われており、反攻のスピードが上がっています。ロシア軍は防衛ラインを構築して前進を止めようとしています(地図はこちらのリンク参照)。

ゼレンスキー大統領は、この1週間だけで東部では776平方キロの領土を奪還し、合計2,500平方キロと96の集落の解放を達成したと表明しました。一方ロシア軍は、引き続きドネツク州のバフムト方面では攻勢に出ており、先週、ハルキウでの反攻以来始めて占領地の拡大を発表しました。

9月末にロシアはドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャの4州の「併合」を発表しましたが(以下の記事参照)、先週、このための編入条約を議会が承認し、関連法が成立。しかし、これらの地域のロシアの実効支配は一部にとどまり(ドネツクは6割、ルハンスクはほぼ全域、ヘルソンは9割、ザポリージャは7割)、さらにウクライナに奪還されようとしています。

「ロシアのウクライナ侵攻」(10/3)

そうした中で、ペスコフ大統領報道官は、4州の「国境」について、ドネツクとルハンスクは「州境」、ヘルソンとザポリージャは「現地住民と協議して決める」と発言。ロシアが自国の「領土」とする範囲を意図的に曖昧にしました。

そして、週末に驚くべき事態が起きました。クリミア半島とロシア本土をつなぐ19キロにも及ぶ「ケルチ海峡大橋(クリミア大橋)」で大規模な爆発が起き、橋の一部が崩落。少なくとも3人が死亡しました。

クリミア大橋は、14年のクリミア併合後、クリミア半島をロシア本土に接続すべく、18年の大統領選でのアピールも念頭に置いて建設されたもので、プーチン大統領の威信とロシアのクリミア支配にとって重要な意義をもつインフラです。ロシアの南部での軍事作戦にとっても重要な役割を果たしてきました。

ロシア当局(国家反テロ委員会)は、「橋の自動車道路で車両が爆発し、近くを走行していた列車が運搬していた燃料タンクに引火した」と発表。プーチンは原因を究明するために調査委員会の設置を命じました。テロが疑われることを示唆していますが、攻撃があったとの判断はまだ明確にしていません。

一方、ウクライナでは、ゼレンスキーが演説を行いましたが、爆発には言及せず、「我々の未来は晴れている。それはウクライナ全土、特にクリミアで占領者のいない未来だ」と述べ、クリミア奪還への意欲をあらためて表明。ポドリャク大統領府長官顧問は、「クリミア、橋、始まり。すべての違法なものは破壊されるべきだ」とSNSに投稿。公式には攻撃に関与していることを述べず、ただ関与を示唆するにとどまっています。

クリミア大橋での爆発の前日はプーチンの誕生日でした。このタイミングでサンクトペテルブルクで独立国家共同体(CIS)の非公式首脳会合が開かれ、ルカシェンコ大統領らがトラクターなどをプレゼント。金正恩も祝電を送りました。しかしクリミア大橋の爆発は手厳しい「プレゼント」になってしまいました。ネット上では「ハッピー・バースデー!」と爆発を並べて揶揄するミームが拡散されました。

ノルド・ストリーム(NS)の損傷については(上記記事参照)、ガスプロムがパイプライン3本(NS1の2本とNS2の1本)からのガスの流出の停止を発表し、NS2のBラインでのガス供給は可能と説明しました。また、ガスプロムは、オーストリア経由のパイプラインによるイタリアへのガス供給をオーストリアの規制変更を理由に停止しましたが、問題は解決されたとして、供給の再開を発表しました。

こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。

●OPECプラスの減産合意(米・サウジ関係)

OPECプラス閣僚級会合が開かれ、11月から日量200万バレルの減産を行うことで合意しました。7月にバイデン大統領がサウジを訪問し、増産を求めましたが(以下の記事参照)、9月にOPECプラスの会合では日量10万バレルの減産が決定され、今回、さらに大幅な減産に及んだことになります。

「バイデンのサウジ訪問」(7/26)
 
今回の合意は、原油価格のみならず、米・サウジ関係と米国のエネルギー政策、それに中間選挙にも影響を及ぼす可能性があります。今回の合意の意義と今後について解説します(※メルマガで解説。なお、原油価格についてはメルマガ「経済ZAP!!」が解説してくれると思いますので、ぜひご覧ください)。

●米国の対中技術輸出規制の強化

バイデン政権が中国への輸出規制を大幅に強化する措置を発表しました。米企業がAIやスーパーコンピューター向けの先端技術(半導体やコンピューター製品)を中国向けに開発・輸出する場合、商務省のライセンスが必要になると発表されました。

また、中国半導体大手である長江存儲科技(YMTC)を含む中国の31企業・団体を輸出管理規則の「未検証リスト(Unverified List, UVL)」に追加すると発表しました。これらの企業は、米国の輸出規制を遵守していることの検証を求められ、検証ができなければ輸出管理規則の「エンティティ・リスト(EL)」に追加されることになります。

さらに、すでにELに掲載されている28企業・団体に外国直接製品規則(FDPR)を適用するとしています。これは米企業のみならず、第三国の企業の取引を禁止するものであり、トランプ政権下でファーウェイに適用されていました。ファーウェイはこの規制によって大きな打撃を受け、第三国企業の取引も影響を受けましたが、それがより広い範囲に拡大されることになります。

今回の措置は、米国の中国に対する技術規制政策を大きくグレードアップさせるもので、米中の技術覇権、デカップリング、米国の経済安全保障(サプライチェーン強化)、産業政策に大きなインパクトを与えると考えられます。その意義と今後の米中関係についてコメントします(※メルマガで解説)。

●ブラジル大統領選挙

ブラジル大統領選挙の第1回投票が行われ、ルーラ元大統領が1位(48.4%)、ボルソナロ大統領が2位(43.2%)となり、1位のルーラも過半数の票を獲得できなかったため、両者が10月30日の決選投票に臨むことになりました。

また、連邦議会の上下院、知事選挙も行われ、ボルソナロの与党・自由党(PL)の候補やボルソナロが支持した候補の多くが当選しました。

大統領選の結果は前回の記事(以下のリンク参照)で述べたとおりでしたが、ボルソナロは事前予想を上回る票を獲得しました。今回の結果の意義と今後の展望について解説します(※メルマガで解説)。

「ブラジル大統領選挙」(10/3)
 
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今週の動き
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(※7中全会など。メルマガで解説。)

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あとがき
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MLB=大谷が投打の「ダブル規定」到達、Wシリーズ開始後初(10月6日付ロイター)
【ヤクルト】村上宗隆22歳史上最年少3冠王 花添えた56号、3割1分8厘、134打点「村神様」(10月3日付日刊スポーツ)
オリックスが大逆転優勝!歴史的デッドヒート制した ソフトバンクまさかのV逸/Wライブ詳細(10月2日付同)

大谷選手の活躍は説明不要ですが、規定打席と規定投球回数の両方に到達するのは、もはや漫画の世界というか、水島新司先生の漫画などでも見たことがないような気がします。完全に現実が空想を超えていますね。

ポストシーズンでの活躍が見られないのが残念ですが、強い球団に行くと二刀流が難しくなりそうなのが悩ましいところですね。それにしてもあのチームの力で15勝を上げるところもすごいです。

日本では、村上選手がこれまた説明不要、漫画の世界のような大活躍。ホームラン数は背番号の55を超えましたね。誰もが打ちまくるシーズンでの結果ではなく、2位以下とこれだけ大差をつけるのもすごい。まだ22歳。メジャーに行ってもまったく引けをとらない堂々たる体躯ですが、数年後に実現するでしょうか。楽しみです。

そして、オリックスの最終日での劇的な逆転優勝。同率首位というこれまた漫画のような結末。これまで何度となく書いてきましたが、私は阪急時代からのブレーブス(ブルーウェーブ)ファンで、今のオリックスにはそこまで入れ込んでは見てはいませんが、それでも嬉しいです。山本由伸吉田正尚の両選手の圧倒的なパフォーマンスは、見ているだけでワクワクします。

最後に阪神のクライマックスシリーズへの出場。これも劇的というか、開幕9連敗からよくここまで持ち直しましたね。かんべえさんも喜んでおられました。

そんな感じで、いちファンとしての感想になってしまいましたが、やはり野球は良いですね。しばらく球場に行くのもご無沙汰していますが、とりあえずクライマックスシリーズを家で楽しむことにします。

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