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2022/09/12 00:00  | 今週の動き |  コメント(0)

今週の動き(9/11~17)ロシアのウクライナ侵攻、米中間選挙、英トラス首相、エリザベス女王死去、ロシア地方選、習近平の外遊


ゴルバチョフ元大統領に続き、先週にはエリザベス女王が亡くなりました。第ニ次世界大戦を経験した最後の国家元首が亡くなるという、文字どおり一つの時代の終わりを象徴する出来事となりました。今年は、その第ニ次大戦後の世界秩序を根本から揺るがすような戦争も欧州で起こりました。本当に歴史的な一年になったものです。

まだ3か月ありますから、さらなる激動があるのかもしれません。本メルマガも、引き続きタイムリーな情報とエキサイティングな解説を伝えられるようにします。年内にオンライン講演会を行うことも計画していますので、こちらも近くご案内します。ご期待下さい。

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先週の動き
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9/4(日)
・在ロシア米国大使館がサリバン駐ロ大使の離任を発表
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに占領されていたドネツク州の1つの集落と南部の2つの村落を奪還したと表明
・チリで新憲法の是非を問う国民投票が否決

9/5(月)
・レイバーデー
・バイデン大統領がウィスコンシン州とペンシルバニア州で演説
・フロリダ州の連邦地裁がマール・ア・ラーゴでの押収品について「スペシャル・マスター(特別管理者)」を任命し検証させることを決定
・ウクライナのザポリージャ原発6号機が外部電源から切り離されたとエネルゴアトムが発表
・東方経済フォーラム(ウラジオストク、~8日)
・英国の与党・保守党の党首選出(トラス外相が勝利)
・OPECプラス閣僚級会合(10月の原油生産量を9月より日量10万バレル減らすと決定)(オンライン)
・フィリピン・インドネシア首脳会談(ボゴール)

9/6(火)
・ロシアのプーチン大統領が軍事演習「ボストーク2022」を視察
・IAEAがザポリージャ原子力発電所の調査報告書を公表
・米NSCのカービー戦略広報調整官がロシアは弾薬の調達に向けて北朝鮮と協議していると発言
・米国はロシアをテロ支援国家に指定しない方針をジャンピエール大統領報道官が表明
・英国でトラス新首相が就任
・英・ウクライナ首脳電話会談
・ソウル安保対話(ソウル、~8日)

9/7(水)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに占領されていたハルキウ州の複数の集落を奪還したと表明
・ウクライナのザルジニー総司令官らがクリミア半島のロシア軍基地への攻撃を認める
・北朝鮮の最高人民会議(平壌、~8日)
・アルバニアがイランとの断交を発表

9/8(木)
・G7、NATO、EUの首脳テレビ会議
・ブリンケン国務長官がキーウを訪問(22億ドルの長期的な安全保障支援を発表)
・米主催のウクライナへの軍事支援に関する多国間会議(米国は6億7,500万ドルの追加軍事支援を発表)(ドイツ・ラムシュタイン空軍基地)
・米財務省がロシアへの無人航空機の供与に関与したとしてイランの4団体・1個人に制裁を科したと発表
・IPEF閣僚級会合(LA、~9日)
・米下院軍事委員会のメンバーであるステファニー・マーフィー下院議員率いる超党派の議員団と台湾の蔡英文総統と会談(台北)
・スティーブ・バノン元首席戦略官がNY州の裁判所に出廷、横領容疑を否認
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに占領されていたハルキウ州の1,000平方キロ以上の領土を奪還したと表明
・ロシアのプーチン大統領が東方経済フォーラムで演説
・ECB定例理事会(政策金利を0.75%引き上げ)(フランクフルト)
・英政府がエネルギー価格対策を発表
・英女王のエリザベス2世が死去(チャールズ3世が即位)
・北朝鮮の最高人民会議(核兵器の使用に関する法令を採択)(平壌)

9/9(金)
・ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに占領されていたハルキウ州の1,000平方キロ以上の領土を奪還したと表明
・北朝鮮の建国記念日
・EU財務相会合(プラハ、~10日)
・EU臨時エネルギー相会合(ブリュッセル)
・国連のグテーレス事務総長がパキスタンを訪問(~11日)

9/10(土)
・ウクライナ軍がロシアに占領されていたハルキウ州の30以上の集落を奪還したと表明
・ロシア国防省がハルキウ州のバラクリヤとイジューム周辺の部隊の再配置を発表
・EU財務相会合(プラハ)

●ロシアのウクライナ侵攻

ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(9月12日)で203日目を迎えました。

主戦場は引き続き東部と南部ですが、先週、ロシアの侵攻から200日ほどが経ったところで、驚くべき事態が起こりました。ウクライナ軍が東部のハルキウで急速な反攻を開始し、バラクリヤ、クピャンスク、イジュームという要衝を次々に攻略、1,000平方キロメートルを超える広大な領域を奪還したのです。

ウクライナ軍の進攻は、1日最大50キロに及ぶ電撃的なスピードで行われました。ロシア軍は新たに編成した第3軍団と第90戦車部隊などを支援に向かわせましたが、ウクライナ軍のあまりの速さに間に合わず、ほとんど反撃できないまま撤退に追いやられたようです。ロシア国防省は、バラクリヤとイジューム周辺の部隊をドネツク方面の戦力を強化するため再配置すると発表。計画的なオペレーションであることを強調しつつも、事実上撤退を認めました。

米欧のウクライナへの軍事支援の強化は続いており、バイデン大統領はG7、NATO、EUの首脳テレビ会議を開催、参加国の首脳はウクライナ支援、ロシア制裁、エネルギーや食料の安定供給の確保で一致しました。同じタイミングで、ブリンケン国務長官はキーウを訪問し(4月に続く2回目)、22億ドルの長期的な安全保障支援を発表。また、オースティン国防長官はドイツのラムシュタイン空軍基地でウクライナへの軍事支援に関する多国間会議(ウクライナ・コンタクト・グループ)を開催し、6億7,500万ドルの追加軍事支援を発表しました。

一方、ロシアではウラジオストクで東方経済フォーラムが例年どおり開催され、プーチン大統領が出席。開幕演説でロシアはウクライナでの「特別軍事作戦」で何も失っていない、我々が得たものは主権の強化であると語りました。

東方経済フォーラムには、ミャンマーからミンアウンフライン国軍司令官、中国から栗戦書・全人代常務委員長(常務委員、序列3位)らが参加、インドのモディ首相もビデオメッセージを寄せました。プーチンは、一極体制に代わる新たな世界秩序の形成を唱え、非米欧諸国との連携を目指す姿勢を強調しました。

こうした最新の状況を踏まえ、現状と展望について解説します。戦況は流動的ですが、本稿執筆時点(日曜午前)での情報に基づき、今後の見通しを見る上で注目すべきポイントをお伝えします(※メルマガで解説)。

●米中間選挙まで2か月

先週、レイバーデー(9月第1週目の月曜日)がありましたが、このタイミングで米国の中間選挙はあと2か月となります。この時点で民主・共和両党の予備選はほとんど完了し、候補者が出揃うことになり、ここから本格的な選挙戦が始まるのが通例です。

中間選挙の現時点での展望は、先週の記事(以下のリンク)で述べたところですが、最新のデータなどを踏まえ、説明を補足します(※メルマガで解説)。

「バイデンの演説、アラスカ下院補選、トランプ捜査、中間選挙」(9/5)
 
●英国のトラス首相の就任

英国の保守党の党首選が行われ、リズ・トラス外相がリシ・スナク前財務相を破って勝利。トラスは翌日にエリザベス女王の任命を受け、首相に就任しました。以下の記事で述べたとおりの結果でした。

「英保守党の党首選」(9/5)
 
トラスは首相官邸前で演説を行い、減税や改革による経済成長、エネルギー価格の安定と供給の確保、国営医療サービスの安定を優先課題と表明。主要閣僚人事を発表し、ゼレンスキー大統領らと電話会談を行いました。

そして大型政策として、包括的なエネルギー価格対策を発表しました。標準的な家庭がエネルギー会社に支払う年間の電気・ガス料金の上限を10月1日から2年間、2,500ポンドに抑えるとしています。

トラス新政権の展望については上記記事で解説しましたが、発足の意義など含め、あらためてコメントします(※メルマガで解説)。

●エリザベス女王の死去

英国の女王エリザベス2世が96歳でこの世を去りました。その在位は1952年から70年に及び、第2次世界大戦後の世界の動きをそのまま体現するものでした。

6月には、在位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」の行事が行われ、女王自身もお茶会を開き、くまのパディントンをゲストに招いたところでした。死去の2日前には、トラス新首相を任命し(前項参照)、亡くなる直前まで公務を続けていました。

英国民はもちろん、世界で多くの人々がその死を悼みました。一方、旧植民地国では複雑な反応も見られました。すでに多くの報道が出ており、詳細を述べることはしませんが、私なりのコメントを述べます(※メルマガで解説)。

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今週の動き
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(※ロシア統一地方選挙、習近平の外遊など。メルマガで解説。)

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あとがき
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「ネヴァーマインド」の写真の男性敗訴、米裁判所が児童ポルノの訴え退け(9月6日付CNN)

メルマガ第582号(21/8/30)のあとがきで取り上げた件ですが、結局、原告の敗訴に終わったとのことでした。

まあ当然かと思うのですが、訴え棄却の理由は時効でした。原告の男性は精神的苦痛は成人後も継続しているから、時効の起算点はもっと後だと主張していたようです。その割には、成人になってからもノリノリだったようですが。

しかし原告は控訴して訴えを続ける模様。裁判で負けても、話題にすることで得られる利益があるのでしょうか。プールの中で紙幣を求める赤ん坊の仕草がいまだに続いているようにしか見えませんが・・。

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