2022/07/04 00:00 | 今週の動き | コメント(0)
今週の動き(7/3~9)G7、NATO、ロシアのウクライナ侵攻、米最高裁判決、米議会襲撃事件公聴会
7月になる前に東京でも梅雨明け。6月中の梅雨明けなんて記憶にないと思ったら、過去最速だったそうですね。そして、この猛暑。太陽がギラギラと照りつけて、8月中旬の真夏のようです。世界中で熱波が起きているようですが、一体どうしたのでしょうかね。
そうした中で先週はオンラインサロンの懇談会があり、暑気払いのような趣きでした。今回は私からインドとフィリピンの話をして、それからいつもどおりざっくばらんな懇談となり、あっという間に時間が過ぎました。そろそろリアル懇親会も行いたいとの話もありました。ビアガーデンなどに行きたいものですね。
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先週の動き
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6/26(日)
・G7サミット(ドイツ・エルマウ、~28日)
・日独、日仏首脳会談(同)
・ロシア軍がキーウをミサイルで攻撃
6/27(月)
・G7サミット2日目(ゼレンスキー大統領がオンライン出席)(エルマウ)
・バイデン大統領がロシア産の輸入品570品目の関税の35%への引き上げを発表
・日米、日・EU、日加首脳会談(同)
・ロシア軍がウクライナのポルタワ州クレメンチュクのショピングモールをミサイルで攻撃
・リトアニアがサイバー攻撃を受けていると発表
・ロシア・ブラジル首脳電話会談
6/28(火)
・G7サミット最終日(エルマウ)
・米国がロシア軍への支援を理由に中国企業5社の輸出管理規則に基づく「エンティティ・リスト(EL)」への追加を発表
・米・トルコ首脳電話会談
・トルコ・フィンランド・スウェーデン・NATO首脳会談(マドリード)
・ロシア・タジキスタン首脳会談(ドゥシャンベ)
・ウクライナのヘルソン州の親ロシア派勢力幹部がヘルソン市長を拘束したと発表
・ロシアがジル・バイデン大統領夫人、フランシス・フクヤマら25人の米国人のロシア入国禁止を発表
・中国の習近平国家主席が武漢を視察
・イラン核合意の当事国会合の再開(ドーハ)
・米連邦議会襲撃事件の下院特別調査委員会が緊急公聴会を開催(メドウズ元首席補佐官の元側近キャシディ・ハッチンソンが証言)
・スコットランド行政府のスタージョン首相が独立を目指す住民投票を23年10月19日に実施する計画を発表
6/29(水)
・NATO首脳会議(マドリード、~30日)
・米・トルコ首脳会談(同)
・日米韓首脳会談(同)
・日韓豪NZ首脳会談(同)
・日韓首脳が短時間の会話(同)
・インドネシアのジョコ大統領がキーウを訪問(ゼレンスキー大統領と会談)
・カスピ海沿岸国の首脳会議(プーチン大統領が出席)(アシガバート)
・ロシア・トルクメニスタン首脳会談(同)
・ロシア・イラン首脳会談(同)
・英国がロシアの富豪ポターニンらへの制裁を発表
・環太平洋合同軍事演習(RIMPAC)(ハワイ沖、~8/4)
6/30(木)
・NATO首脳会議最終日(マドリード)
・ロシア軍がオデッサ州沖合の黒海上にあるズメイヌイ(スネーク)島から撤退
・ロシアのプーチン大統領がサハリン2の運営をロシア側が新たに設立する法人に移管し、事業会社の資産を無償譲渡するよう命じる大統領令に署名
・インドネシアのジョコ大統領がロシアを訪問(プーチン大統領と会談)
・米財務省が米国の制裁対象となっているロシアのオリガルヒのスレイマン・ケリモフの資産を隠しているとして、デラウェア州の信託会社の保有財産10億ドルを凍結したと発表
・ウクライナが欧州への商用電力の輸出の開始を発表
・米連邦最高裁が連邦政府による発電所の温暖化ガス排出規制を制限する判断
・米連邦最高裁判事にケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事が就任
・OPECプラス閣僚級会合(オンライン)
・イスラエル国会が解散(ベネット首相が退任、ラピド外相が暫定首相に就任、11月1日に総選挙)
・フィリピンでマルコス新大統領が就任
7/1(金)
・米国がウクライナへの8億2,000万ドルの追加軍事支援を発表
・ロシア軍がウクライナのオデーサをミサイルで攻撃
・香港返還25周年記念式典(習近平国家主席が演説)(香港)
・香港の李家超(ジョン・リー)行政長官の就任式(同)
7/2(土)
・ロシア軍がウクライナのリシチャンスク市内に侵攻
●G7サミット
ドイツのバイエルン州エルマウでG7サミットが開催されました。G7に加え、ウクライナ、インドネシア、インド、アルゼンチン、セネガル、南アがゲスト国として参加しました。
G7首脳はウクライナ支援に関する共同声明を発表し、軍事支援、財政支援、人道支援の継続が確認されました。ゼレンスキー大統領はオンライン演説を行い、重火器の供与の必要性をあらためて訴え、冬が始まる前の年内に戦争を終結させたいと述べました。
ロシア制裁については、ロシア産の金の輸入禁止や軍事関連団体への輸出禁止の拡大などを追加する方針が示されました。また米国はロシア産石油の取引価格に上限を設けることを主張していましたが、「エネルギー輸入価格の上限の導入を探求するというEUの決定を歓迎する」との文言がG7首脳コミュニケに盛り込まれました。
食糧危機については、共同声明が発表され、食料安全保障の強化のために45億ドルを追加拠出することが示されました。ロシアに対しては、ウクライナの食糧生産と輸出を阻止していることを非難し、そうした活動をただちに停止することを求めました。
G7首脳コミュニケには、冒頭に気候変動対策が盛り込まれ、ドイツが提唱する「気候クラブ」を22年末までに設立することが合意されました。また世界が直面するエネルギー危機は、ロシアのウクライナ侵攻によるものと指摘し、エネルギー価格の高騰を軽減し、経済・社会へのさらなる影響を防止するための追加措置を講じ、ロシアのエネルギーへの依存から段階的に脱却することが再確認されました。
中国については、チベットや新疆ウイグル自治区などでの人権状況について深刻な懸念が示されました。また途上国へのインフラ整備支援の枠組みとして、「グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)」が発表されました。27年までに民間資金を含めて6,000億ドルの途上国インフラ投資支援を目指すとしています。
以上のポイントを中心に、今回のサミットの意義を解説します(※メルマガで解説)。
●NATO首脳会議
G7サミットに続いて、スペインのマドリードでNATO首脳会議が開催されました。NATO加盟国30か国に加え、主要パートナー国・機関として、日本、豪州、NZ、韓国、スウェーデン、フィンランド、ジョージア、EUなどが出席しました。日韓豪NZの首脳がNATO首脳会議に出席するのは初めてのことです。
NATOは今後10年の指針となる新たな「戦略概念」を採択しました。これまで「戦略的パートナー」だったロシアを同盟国の安全保障や欧州・大西洋地域の平和と安定に対する「最大かつ直接の脅威」と位置づけ。また、初めて中国に言及し、「ロシアとの協力関係の深化は我々の価値と利益に反する」、中国とは建設的な関係を築くことができるが、米欧の安全保障に「システミックな挑戦」を突き付けていると明記しました。
また、有事の際に即応部隊を10日以内に10万人、30日以内にさらに20万人を派遣できる体制を整えると発表しました。23年までに現在の4万人から7倍超の30万人以上に増員し、180日以内には追加で50万人を送れるようにするとしています。
バイデン大統領は東欧の防衛体制を強化するため米軍の戦力を増強すると発表しました。ポーランドに東欧には初めてとなる米軍の常設司令部を設け、ルーマニアやバルト3国で巡回する部隊を拡充し、英国にF-35戦闘機を追加配備するとしています。
そして、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を認めることで合意しました。トルコのエルドアン大統領は、先々週まではこれら2か国の加盟への反対姿勢を崩していませんでしたが(以下の記事参照)、NATO首脳会議の前日に両国とNATO首脳と会談を行い、一転して加盟を認めると発言。これにより障害が取り除かれることになったものです。
・「G7サミットとNATO首脳会議」(6/27)
その後、バイデンはエルドアンと会談を行い、エルドアンの支持への謝意を表明し、F-16戦闘機のトルコへの売却を認める考えを伝えました。
以上のポイントを中心に、今回のNATO首脳会議の意義を解説します(※メルマガで解説)。
●ロシアのウクライナ侵攻
ロシア軍によるウクライナ侵攻は、本日(7月4日)で133日目を迎えました。
主戦場のドンバスで、ロシア軍はセベロドネツクを陥落させた後、ルハンスク州のウクライナ最後の拠点であるリシチャンスクの攻略に力を注いでいます。週末には、ロシア軍はリシチャンスク市内に侵攻し、中心部を制圧したと発表しました。ウクライナはロシアの発表を否定していますが、防衛戦があったという報告がなく、おそらくウクライナ軍は計画的に撤退したとみられています。
ロシアは、ドンバス以外でも、G7サミットが行われているときに、キーウの集合住宅や幼稚園の運動場をミサイルで攻撃。さらに、ポルタワ州クレメンチュクのショピングモールもミサイルで攻撃しました。
一方、ロシア軍はオデッサ州沖合の黒海上にあるズメイヌイ(スネーク)島から撤退。ロシア国防省は、ウクライナが農作物を輸出できるようにするための「善意の印」と発表しています。しかし、スネーク島からの撤退の翌日、ロシア軍はオデーサの集合住宅や保養地をミサイルで攻撃しました。
米国は、8億2,000万ドル相当の武器をウクライナに追加供与すると発表しました。中距離の地対空ミサイルシステム「ナサムス」2基、高機動ロケット砲システム「ハイマース」の弾薬などが含まれています。
また、プーチン大統領がサハリン2の運営をロシア側が新たに設立する法人に移管し、事業会社の資産を無償譲渡するよう命じる大統領令に署名しました。衝撃的な事態であり、LNG供給(日本の輸入の9%を占める)に影響が出ることも危惧されています。
こうした最新の動きを踏まえ、現状と展望について解説します(※メルマガで解説)。
●米連邦政府の権限を制限する最高裁判決
米環境保護局(EPA)が石炭火力発電所からの温室効果ガス排出量を一律に規制する権限について、連邦最高裁がこれを制限する判断を示しました。
これは、バイデン政権の気候変動対策に大きな影響を与えるとともに、ロー対ウェイド判決の破棄と同様(以下の記事参照)、最高裁の保守的な傾向を強く示すものとして大いに注目される判断です。その意義を解説します(※メルマガで解説)。
「ロー対ウェイド判決の破棄」 (6/27)
●米議会襲撃事件の公聴会
米連邦議会襲撃事件(米国では「9/11」のように「1月6日」「J6」と言われています)の下院特別調査委員会が公聴会を開催していますが(以下の記事参照)、先週、突然に緊急の会合を開催し、メドウズ元首席補佐官の元側近キャシディ・ハッチンソンが証言しました。
・「米議会襲撃事件の公聴会」(6/13)
ハッチンソンは、トランプ前大統領について、1月6日の演説に集まった群衆が武装し危険であることを知りながら議事堂への行進に参加しようとした(車のドライバーが離れようとすると、「私は大統領だ」と叫び、ハンドルを奪おうとした)こと、群衆が20年の選挙結果を覆す明らかな意図を持って暴れていることを知りながら止めることもしなかったことなどを述べました。
衝撃的な証言であり、メディアの報道は集中しました。最新の世論調査では、米国民の半数以上がトランプを起訴すべきと考えているとの結果も出ました。今回のサプライズ公聴会の意義を解説します(※メルマガで解説)。
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今週の動き
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(※メルマガで解説。)
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あとがき
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■ G7首脳の上半身裸など気持ちが悪い=プーチン氏(7月1日付BBC)
プーチン大統領がG7首脳(というかボリス・ジョンソン首相)の揶揄するジョークに反論。「ウエストまで脱ぎたかったのか、もっと下まで脱ぎたかったのか知らないが、どちらにしても気持ちが悪い光景のはずだ」「酒の飲みすぎなど悪い習慣をやめて、運動して、スポーツに励む必要がある」など言いたい放題。
さらに、これまたボリスのプーチンが「女性だったらウクライナに侵攻しなかった」という発言に対し、いや、おたくのサッチャー首相は女性だけど、フォークランド紛争で攻撃を仕掛けたよね?と反論。子どもの悪口の応酬のようですが、しかしよく頭が回るものだと感心します。
また、ジョコ大統領と会ったときには、「ロシアへの初の訪問ですね」と述べたとのこと。ジョコは16年にソチを訪問し、プーチンとも会談しているのですが、歯牙にもかけていなかったのでしょうね。こういうところもプーチン様らしいです。
それにしても、こういったプーチンのユーモラスな言動、いわば「プーチン劇場」も、かつては愛嬌があると思ったものですが、今はもう素直に笑えなくなりました。こういうところでもウクライナ侵攻は風景を一変させてしまったようです。悲しいことです。
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