2025/06/08 17:00 | 先週のマーケット | コメント(0)
先週のマーケット(6月2日~6日)
先週の米国市場ではS&P500が再び節目となる6000を回復。先週を通して公表された経済データには強弱感があったり、イーロンマスクとトランプ大統領の場外乱闘で株価を押し下げたりという信じられない要因はあったものの、週末に公表された堅調な雇用統計などが米株の追い風となり一週間を終えました。
また、前月5月の米国株は5月としては過去35年来の高パフォーマンスを記録しており、その地合いを引き継いだことも月初の株価上昇につながっています。この上昇は、今のところ4月の「解放の日」の暴落に対するリバウンドの域を出ていないとの見方もできますが、S&P500とNASDAQは最高値更新が視野に入ってきており、リバウンド局面から上昇局面に移行できるか注目です。
そのカギを握るのは米中関税交渉となります。トランプ大統領からは中国との貿易交渉は順調に進んでいるとの声は聞こえてくるものの、中国側からは大きく進展したとの発言はなく交渉に焦っている様子は見られません。むしろトランプ大統領の方が苦しい立場に置かれているとも見え、交渉次第では市場の方向性も変わってくると思われます。
さらに、関税交渉に加え財政問題も無視できません。いままさに米国連邦議会で審議中の予算案「One Big Beautiful Bill(大きく美しい法)」は6月24日頃までに上院で投票に付され可決される必要があります。なぜなら、その法案には連邦債務上限引き上げに関する規定も含まれており、それが出来なければ米国の連邦政府はテクニカル・デフォルトに陥るリスクが高まるからです。
イーロンマスクはこのトランプ肝いりの法案をこき下ろす発言をしており、状況は混迷してきています。こういった不確実性の中、上昇をしているのが足元の米国株であり、TACOを意識しているのか株式市場は過度に楽観しているようにも見え、梯子を外される展開には要注意でしょう。
一方、東京市場では、これまで日本株の上昇相場を牽引した海外投資家の動きやスタンスが微妙に変化している中、先週の日本株は重たい展開になりました。先週に引き続き、大きなお金が日本株ファンドなどから流出していることが確認されており、日本株の頭を抑えています。考えられるのは、海外投資家もしくは、金利上昇(債券価格は下落)によって国内外の保有債券で含み損を抱える銀行や生命保険など、金融機関の利益確保のための売りが考えられます。金利上昇が続けばこの株売りも尾を引く可能性もあり、引き続き国内外の金利上昇には注目です。
ただし、日本経済については、日銀も言っているように緩やかに経済回復が続いていることに加え、選挙が迫ると大型経済対策への期待感が高まるため、選挙時期は株価が堅調に推移するという過去の経験則もあります。今後、参議院選挙に向けたマーケットの変化も出てくる可能性もあるでしょう。
それではまずは、先週のマーケットから。
●東証の定点観測(日経平均株価終値 前日比 プライム売買代金)
●先週の米国経済統計(結果)
先週(6月2日~6日)の統計振り返り
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