マーケットの変動の背景とともに、米国の景気動向などにも触れていきたいと思います。

●先週のマーケット
・実質賃金プラス転換
●今週の米国経済統計（予想）
●先週の米国経済統計（結果）
●経済統計分析
１. ISMサービス業7月
２. 新規失業保険申請件数
３. 混乱を極めるマーケット
４. 日銀内田副総裁発言
５. 米家計負債は着実に悪化
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

日経平均株価の過去最大の下げ幅と、過去最大の上げ幅をほんの数日で経験した先週、前週から続く下げの過程で、信用買いに絡んだ追証発生に伴う個人投資家による投げ売りが加速したことも、日経平均の下げを加速させました。某大手ネット証券では、コロナショック時を超える追証が発生したとのこと。レバレッジをかけていたが故に損切りせざるをない状況に追い込まれた個人投資家が多かったということになり、いかに投機的な取引が多かったかをあらわしています。

一方で、中長期投資を基本とする投資信託にも売りが出た模様で、先週7日、国内公募の追加型投信（除、ETF）の設定額から解約額を差し引くと、1609億円の資金流出になったとのこと。

【国内公募追加型投資信託の資金流入額の推移（日次）】

今年は、年始から新NISAが始まったこともあり、年初から8月7日までの日々の資金動向において、資金流出になったのはわずか3回で、その1回が7日だったということです。4500円を超える日経平均の下落があったのが5日ですが、いわゆる狼狽売りの波が公募投信にも押し寄せたといえます。

残高上位25位までの公募投信はこの日いずれも資金流出でした。純資産残高1位のeMAXIS Slim米国株式（S&P500に連動、純資産残高46,490億円）は226億円の流出、2位のeMAXIS Slim全世界株式（通称オルカン、純資産残高36,048億円）は78億円の流出だったとのこと。

オルカンは新NISA開始以降初めての1億円超の資金流出だったとのことですが、長期積立投資で始めたものを一時的な乱高下で解約してしまった、ということになるのでしょうか。積立ですからどんな時も淡々とやり続けることが重要ですが、投資家の焦りが見え隠れします。

また、NISAに至っては、損益通算ができませんから、その点でももったいない気もしますが、そういったことも「オルカン」や「NISA」といったブームに乗って投資をはじめたが故に、暴落や急落といった巷に流れるネガティブなムーブにも乗ってしまったということでしょうか。始めることは大事ですが、リテラシーが追いついていない残念な結果といえます。

そんな世界的な株価急落の折、以前にここでも取り上げた地銀の高齢者への過度な投信取引の事を思い出します。当時相談を受けていたご高齢の投資家の方には個別の事情もあり、6月頃に時価にして3億円全て手仕舞って頂きました。そして、今回の株価の大きな変動。もしあのまま保有していたら、今回の暴落でざっと6000万円減っていたことに。円高の影響、国内の株安の影響も受けていますからその下落率を当てはめれば、当然ですが、金額を見るとなかなかのものです。結果的に良かったね、という話ではなく、いかに某地銀が高齢者に過大なリスクを取らせていたのか、そのまま取引をしていたらどうなっていたかと。

先週、金融庁の審議官にご意見申し上げる機会がありましたので、しっかりやっている金融機関もある中で、一部の金融機関が、相変わらずこうした高齢者などへの不適切な金融商品販売などについて問題提起をしておきました。業界的には長年の問題であり、それが未だに存在していることが大変悩ましい様子でした。

さて、先週は8日に中四国・九州地方で震度6弱の地震が起きました。その後、気象庁は「南海トラフ地震」の想定震源域では大規模地震が発生する可能性が高まっているとして初めて臨時情報を出し、引き続き巨大地震への注意を呼びかけています。南海トラフについてはこれまでも度々話題に上り、注意喚起がされていることではありますが、気象庁が初めて臨時情報を発表したことで、注目度が高まっています。

南海トラフ地震臨時情報が発表されたら！（内閣府）

今のところ、懸念される現象などは見られないようですが、これまでになく警戒が高まったことで、ビーチの閉鎖や花火大会の中止などへと波及してしまっており、夏休みのかきいれ時になんというタイミングだろうと思います。さらに、過度な備蓄や買いだめで水やレトルト食品が店頭からなくなるなど、行き過ぎた対応もみられるようで、ちょっと勘弁してほしいですね。

また、このメルマガ配信時には、東北地方に台風5号が上陸するようです（昨晩から天候は荒れ模様かもしれませんね）。お近くにいらっしゃる方はくれぐれも気を付けてください。東北と言えば、先週編集部からお知らせのあった、トウモロコシの嶽きみの産地も近い。せっかくの夏休み、台風は大暴れせず日本列島を離れて欲しいものです。

と言うわけで今日が3連休最終日の方も、まだまだお盆休みが続く方も、よい1週間をお過ごしください！

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