というわけで、今回は統計に加えて、為替や株式市場にも焦点を当てた構成になっていますので、ぜひお付き合いください。

●先週のマーケット
・鈍化した都区部CPI
●今週の米国経済統計（予想）
●先週の米国経済統計（結果）
●経済統計分析
１. 低調な米住宅指標
　・住宅着工 6月
　・中古住宅販売件数 6月
　・新築住宅販売件数 6月
２. 新規失業保険申請件数
３. 2Q GDPは堅調そのもの
４. 6月PCEデフレータ
５. 日銀は利上げに慎重
６. 調整深まったマーケット
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

先週、証券取引等監視委員会が、利益を得る目的で嘘の情報を流し、株価を吊り上げたとして、会社役員の男性に課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告したというニュースがありました。保有している企業の株価を釣り上げて利益を得るために、3年前にネット掲示板に嘘の情報を書き込み、当該企業の株価は一時ストップ高になるまで上昇し、男性は139万円の利益を得たとのこと。

これは、金融に携わる方には馴染みのある金融商品取引法上の不公正取引、「風説の流布」の典型的な例ですが、これによって課徴金納付命令の勧告が出るのは初めてとのことで、「初めて」に驚きました。証取委は「こういった投稿、書き込みによる風説の流布などの違反行為も見逃さないという強いメッセージを市場に知らしめたい」とコメントしていますが、今さら・・・という感じもしなくもない。

また、少し前のデータですが、警視庁がSNSを使った投資詐欺やロマンス詐欺について報告をしており、2024年1〜3月に全国で判明した被害額は計約279億8千万円で、前年同期比で約4.5倍に急増しているとのこと。著名人を語り信頼感を演出したり、YouTubeなどのネット広告から誘導したりといった手口の「SNS型投資詐欺」は前年比6倍以上の1700件に増加、被害額は計約219億3千万円で約7.5倍。

こちらの読者の皆様は、リテラシー（ネットリテラシー含む）が高い方が多いので、心配ないと思いますが、ご家族やご友人などもくれぐれもお気をつけてください。ちなみに、被疑者が詐称した職業は「投資家」と「その他著名人」で半数以上を占めているそうです。

と、そんなことを言っていたら、先週、某ネット証券大手の公式Ｘでのポストが話題になりました（すでに削除済みですが、以下原文ママ）。

【つみたて投資をしているみなさんへ】
株価が急落して、こわいけど、がまんして持ち続けましょう！　＃株安に負けるな　＃みんなで長期投資

怖いですね（笑）。22万回も閲覧されたのちに削除されているようですが、これも立派な禁止行為。「顧客に対し、不正確な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為」などに抵触します。金融機関大手がこんな感じじゃ、身も蓋もないですが・・・。

さて、先週は山形県を中心に大変な豪雨となりました。命を落とされてしまった方にご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害にあわれた方々が一日も早く元の生活に戻れるように祈るばかりです。

山形は隔年で最上川が大氾濫している印象がありますが、年始の能登半島の地震同様、頻繁に同じような災害に見舞われてしまう地域への防災・災害対策は本当に何とかならないものかと思います。特に、毎回多くの死者が出てしまうことが、本当に心苦しい。

またその能登では未だに721人もの方が体育館や公民館での生活を余儀なくされています。石川県でも日中の最高気温は30度を超えており、天候が崩れたり、エアコンが壊れて修理が追いつかない、などといった方も多くおられる。そんな中、県が8月中に希望者がほぼ入居できるとしていた仮設住宅について、珠洲市と志賀町の一部では完成が9月にずれ込むという悲惨な状況が重なります。

自然災害によるこうした被害の報道は、時間とともにどんどん少なくなり、我々の記憶からも薄れていきます。そういった状況を見るにつけ、自分事として心にとめておこうと思っています。

さて、いよいよ8月。パリ五輪で寝不足にならないように（リオよりはまし？）、そして熱中症にも気を付けながらお過ごしください！今週も、よろしくお願いします！

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